次に手にする一台--ペンタックスK10D - (page 2)

ペンタックス
内容:ペンタックスから「K」シリーズ二機種目となる「K10D」が発売された。有効画素数1020万画素、手ブレ補正機構を内蔵する機体だ。さきに発売された「K100D」の兄貴分に位置する「K10D」だが、たんなる高画素モデルというだけではない。それは永きにわたり多くのカメラを世に出して来た老舗カメラメーカーの「本気」の一台と言えるだろう。

デジタルならではの露出制御

 「K10D」ではペンタックス独自の「ハイパー操作系」と呼ばれるユニークな操作系を採用している。たとえばプログラムAEである「ハイパープログラム(P)」時にシャッター速度ダイヤルを操作するとそのまま「シャッター速度優先AE(Tv)」に、また絞り値ダイヤルを操作すると「絞り優先AE(Av)」にと即座に移行するのだ。ふたたび「プログラムAE」に復帰させるにはシャッターボタン脇にある「グリーンボタン」を1プッシュすればよい。モードダイヤルを回転させてTv、Av各モードを選択しても結果としては同じことなのだが、撮影中にファインダーを覗きながら咄嗟にモードを変えることができるという点では実戦的な操作系と言えるだろう。

  • シャッター速度および絞り値設定が独立したダイヤルとして用意されており、シャッターボタン脇のグリーンボタンと組み合わせることでペンタックス独自のハイパー操作系を構成する。パワースイッチと並びプレビュースイッチが配置されているのもとても良い。ファインダーを覗いたまま簡単操作で絞り込み確認ができるからだ(プレビューは液晶画面で確認するデジタルプレビューに設定する事も可能)

 またマニュアル撮影においても「ハイパーマニュアル」と呼ばれる操作系となる。シャッター速度ダイヤルと絞り値ダイヤルの組み合わせによるマニュアル操作に加え、「グリーンボタン」を1プッシュすることにより、その時点における適正露出に自動設定してくれるのだ。この場合の露出設定はプログラムラインに沿った設定値となるので、ここからマニュアル操作による細かい露出設定を行うことになる。

 尚、「ハイパープログラム」「ハイパーマニュアル」ともに設定された露出値よりプログラムシフトを行うには「AELボタン」を押した後にダイヤルを操作することで可能となる。

  • 従来からあるAEモード(全自動、P、Tv、Av)にSv感度優先、TAvシャッター速度&絞り優先が加わった。いずれもダイヤル操作で直感的に設定できる

 また「K10D」ではデジタルならではといえる新たな露出制御方式が採用された。「感度優先AE(Sv)」と「シャッター速度&絞り優先AE(TAv)」モードである。これまで銀塩フィルムカメラの時代から露出を制御する方法として一般的であったのは、固定されたISO感度のもとでシャッター速度と絞りの値を組み合わせる方法である。これらを基にして開発されたAEモードがプログラムAE、シャッター速度優先AE、絞り優先AEである。ここにISO感度を自在に変化させるという発想を持ち込むことで、「シャッター速度+絞り値+ISO感度」の三要素で露出制御を行えるようになった。これはデジタル化されたことによるカメラの大きな進化と言えるだろう。

  • AEモードで自動的に選択されるISO感度域はあらかじめ任意で設定できる(Svモードは電子ダイヤルでISO100〜1600に任意に設定)

 特に「シャッター速度&絞り優先AE(TAv)」モードができた事は大変評価できる。なぜならば私の場合、実際の撮影時においてこのような露出制御方法をすることがよくあるからだ。たとえばシャッター速度と絞り値の特定の組み合わせにおいて、動感や被写界深度などを活かした効果的な演出を行う場合、それぞれの値を固定したままで撮影するためには露出調整をISO感度で行いたい。また、たとえば劇場での舞台撮影など場面展開において被写体の明暗差が激しく変化してしまう撮影でも、ISO感度を変えることで露出調整することが良くある。ブレを抑えるために低速シャッターは使えず、レンズの絞り値も開放値まで開けてしまっている。そのような場合は薄暗い場面ではやむなく高感度撮影、明るい場面になった場合にはISO感度を下げて撮影することでノイズを抑える必要があるからだ。このような時、TAvモードを使用すれば、その場面において被写体が適正露出となるようにISO感度をコントロールしてくれる。むやみにISO感度を上げたまま撮影してしまうこともなく、結果的にはノイズを抑えることもできるのだ。これぞデジタルカメラの新しい露出制御法と言えるだろう。

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