35mmサイズカメラの正統な後継者 キヤノンEOS-5D - (page 2)

キヤノン
EOS5D
内容: ここ数年でデジタル一眼レフカメラはその画質の向上と低価格化によって、急速にシェアを伸ばして来ている。いまや初めて手にする一眼レフカメラがデジカメであることも珍しいことではないだろう。だが銀塩フィルムを使用する一眼レフカメラと大きく異なる点は、その多くの一眼デジカメに搭載された記録画素がAPS-Cなどの、35mmフィルムよりも小さな面積の記録素子であるということだ。したがって35mmフィルムの面積では写す事ができていた画像が、中心部を切り取る形でしか記録できないのだ。これがいわゆる「レンズ焦点距離の1.5

実際の撮影においての「EOS 5D」の実力

 では実際の撮影においての「EOS 5D」の実力はどうであろうか。さまざまなシーンにおいて撮影をしてみた。

  • EOS 5D+EF24-105mm/F4L IS USM ISO100、F7.1、1/250s、WB太陽光 プログラムモード +1/3EV補正 ピクチャースタイル:スタンダード 港に停泊する帆船。真上からの太陽の強い光がマストや白い船体を照らす。輝度の高い被写体だが滲む事もなく縦横に張られたロープもきっちり描写されている。

  • EOS 5D+EF24-105mm/F4L IS USM ISO100、F5.6、1/200s、WB太陽光 マニュアルモード ピクチャースタイル:スタンダード 満開の桜の花びらとそれを支える枝もしっかりと分離して描写されている。さすが1280万画素というところか。

  • EOS 5D+EF24-105mm/F4L IS USM ISO100、F5.6、1/200s、WB太陽光 マニュアルモード ピクチャースタイル:スタンダード ズームレンズのワイド側24mmでの撮影。24mmの画角いっぱいまで使うことで、ワイド感を表現できるのもフルサイズ機の大きな強み。

  • 当然といえば当然だが、14mmの超広角レンズもちゃんと14mmの画角として使用できる。

  • EOS 5D+EF14mm/F2.8L USM ISO100、F8、1/250s、WBオート プログラムモード ピクチャースタイル:スタンダード 14mmレンズの誇張されたパースペクティブを最大限に活かす為にもフルサイズは必須。

  • EOS 5D+EF28-105mm/F3.5-4.5 USM ISO100、F5.6、1.3s、WBオート マニュアルモード ピクチャースタイル:スタンダード オートホワイトバランスでの撮影だが、色付きの照明に過敏な反応することもなく自然な夜景として表現されている。総じてEOSデジタルのオートWBは至って優秀だ。

     

同じ被写体をISO感度設定を変えて撮影した。

  • ISO100

  • ISO200

  • ISO400

  • ISO800

  • ISO1600

  • ISO3200

 ISO感度を上げて撮影することでノイズが発生するが、これらの画像を見るとISO400までは十分に常用感度と考えることができるようだ。被写体の状況によってはISO1600での撮影も実用できる範囲だと思われる。

  • EOS 5D+EF70-200mm/F2.8L IS USM ISO1600、F2.8、1/80s、WBオート マニュアルモード ピクチャースタイル:スタンダード RAWモードにて撮影後、「DegitalPhotoProfessional2.1」にてJPEG現像 高感度ノイズが現れてはいるが、薄暗い室内での撮影が可能であることを考えると十分に実用的な画質と言えるだろう。

  • EOS 5D+EF24-105mm/F4LI S USM ISO100、F4、1/60s、WBオート 絞り優先AEモード ピクチャースタイル:スタンダード 窓外からの明るい陽射しでも白飛びしきってしまう事なく諧調が残っている。単純にフルサイズ化しただけの画素ではないということだ。

  • EOS 5D+EF50mm/F1.4 USM ISO100、F3.2、1/200s、WBオート プログラムモード ピクチャースタイル:スタンダード ハイライト部でも白飛びすることなく粘り強く色が残っている。

  • EOS 5D+EF50mm/F1.4 USM ISO800、F2.8、1/200s、WBオート プログラムモード ピクチャースタイル:スタンダード 50mmレンズ特有の画角と空気感を遺憾なく発揮できるのもフルサイズならでは。

   

「写真機であるデジカメを創る責任」

 

 今回このテストをするにあたり私が念頭においたことは、「EOS 5D」は「写真」を撮ることのできるカメラであるか、プロ級の撮影現場においてちゃんと使えるカメラであるかの二点である。現状においてプロ機としてキヤノンが提示しているフルサイズ機は「EOS 1Dsマーク2」である。たしかにこの機体はその能力においても最強であるといえる。だが今回のテストによって、この「EOS 5D」はフルサイズの描写力、正統なレンズ画角、高いレスポンスによってその期待に十分に応えてくれた。条件によっては「EOS 1Dsマーク2」をも凌ぐ解像感とパフォーマンスを発揮してくれる。「EOS 1Dsマーク2」ではなく「EOS 5D」を選ぶ。これは決して妥協とは言えないだろう。

     

 ついにキヤノンまでもが事実上銀塩カメラの開発を終了し、デジタルカメラへと移行するとの表明がなされた。これに伴い写真文化そのものがデジタル化していくこととなるだろう。この趨勢のなか、写真の世界をいつまでも狭い画素に閉じ込めていてはいけない。その為にもフルサイズ画素機を手がけるキヤノンの責任はとても重要だと私は思う。より高品質で価格も身近なフルサイズデジカメをこれからも期待していきたい。

 isopyの物欲度 すでに実戦投入済み

 

以上

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