「EasyShare V570」の名につく「EasyShare」の意味だが、コダックの提案する画像シェアシステムである。デジカメ、PCソフト、プリンター、プリントショップをリンクさせることで写真を総合的に簡単に楽しもうというものである。その理念に基づいてこの「EasyShare V570」も画像リンクシステムに組み込まれている。それを実現させているのが、カメラに同梱されている「KODAK EASYSHAREフォトフレームドック2」である。「EasyShare V570」を「フォトフレームドック2」にセットすることでカメラ内のバッテリーへ充電がなされるほか、shareボタンを押すことで撮影された画像をPCへ転送することができる。またカメラ内の画像をカメラ液晶に表示・スライドショーも可能だ。これを机の上に置いておくことで、デジカメが小粋なフォトフレームに変身するという考えだろう。こういうところも米国人の考えそうなところだ。また付属の「KODAK EASYSHAREソフトウェア」を利用することで画像の管理、プリントもシステム的に行うことができる。このように写真というものを包括的に考えることができるのは、写真文化を築いてきたコダックの得意な分野であろう。ただ私個人の画像管理方法からいうとあまり使い勝手が良いとは思えない。たとえばカメラを「フォトフレームドック2」にセットしてもPC上において外部ディスクとして認識されない。つまりカメラ内のメモリー画像をPCから直接操作することはできない。すべて一旦「EASYSHAREソフトウェア」を介して取り込むか、メディアカードをカメラから抜いて直接PCに読み込ませるしかないのだ。
スタイリッシュな外観、超広角レンズを搭載したコダックレチナデュアルレンズ・テクノロジー、2つの有効画素数500万画素CCD搭載、超広角レンズの特徴を最大限に生かせるウルトラワイドパノラマ機能、写真の楽しみを簡単に広げるEasyShareシステム。このように個性的な「EasyShare V570」は写真というものを知り尽くしたコダックからの新しい提案だといえる。昨今のコンパクトデジカメのなかでも魅力的な点のある一台と言えるだろう。しかし、デジカメ本来の基本的な機能に及んでは平均点を超えることはない。画像描写の緩さや光のにじみに至っては一世代前の性能だ。ストロボ発光禁止モードが電源を入れなおす度に解除されてしまうという仕様を挙げても、実際に使用するユーザーの意思を理解しているとは思えない。このような基本的な部分をまずしっかり作り上げてほしい。
なんといっても世界のコダックである。今世紀も写真文化をリードするブランドでいてほしいと切に願う。
「EasyShare V570」の物欲度☆☆
1967年福岡県生まれ、千葉県君津市育ち。小学生のときに自分専用のカメラを手にしてから写真の世界に魅せられる。東京写真専門学校(現、東京ビジュアルアーツ)卒業後、広告写真プロダクションにて撮影の基礎を学ぶ。現在はフリーカメラマンとして人物、商品、雑誌、舞台撮影など活動範囲は多岐に渡る。デジカメ専門誌においては撮影と記事を担当。
ZDNetにおいてもデジカメ新機種のレビューを担当する。さまざまな経験から導かれた撮影心情は、すべての被写体に愛情をもって接すること。どうやら、子どもと動物には好かれるらしい。
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