耳に合わせて音を自動補正--JBL「EVEREST ELITE 700」を試す - (page 2)

聴きやすい音に自動調整してくれる「オートキャリブレーション機能」

 続いて中身の確認に入ろう。音の決め手となるドライバには独自開発された40㎜径ダイナミックドライバを採用。近年は高級ヘッドホンにおけるドライバの大口径化が進んでおり、40㎜径自体はさほど珍しくはないが、長年スピーカ作りを手掛けてきたJBLだけに、レンジの広さと、特に低音の迫力に期待が持てる。

 そして初搭載された大きな特徴として「オートキャリブレーション機能」が挙げられる。これは使用者の耳の形状を本体がスキャニングし、最適な音へと自動的にセットアップしてくれるというもの。設定方法は簡単で、本体を装着したら電源を入れ、小さく「S」と書かれたスマートボタンを長押しするだけ。すると中から「ピュイーン」といったスウィーピングノイズが聞こえてくるから、それが「ポン」と音がするまで聞けば設定は完了。あまりにあっけないので、「えっ、これで終わり?」と不安になる人がいるかもしれない。

  • 「オートキャリブレーション」機能は専用アプリ「JBL Headphones」からも設定が可能。スタートボタンを押すと――

  • 信号音が鳴り――

  • オートキャリブレーションがあっという間に終了する

 先に試聴感を述べておくと、この機能は音質を向上させるというより、音の尖った部分をマイルドにしてくれるイコライジング補正と考えたほうがよい。普通の人はマニュアルでの音質調整なんて、機能があっても使わないケースがほとんど。その意味ではボタン1つで聴き疲れのしない音に自動設定してくれるこの機能はお手軽で便利だと思う。

  • アプリからはノイズキャンセリングのオン、オフに加え、左右のチャンネルごとにレベルをlow、medium、highの3段階に変更できる

 そのほかではノイズキャンセリング機能も装備している。こちらはJBLから専用のiOSアプリをダウンロードして操作するもので、オン/オフに加えて、low、medium、highの三段階に変更が可能。外部の状況に合わせてかなりのレベルまで騒音をシャットアウトできる。ちなみにこのアプリには「Jazz」「Vocal」「Bass」のプリセットされた3種類のイコライジングモードがあり、それをさらにHIGH(16、8、4kHz)、MID(2kHz、1kHz、500Hz、250Hz)、LOW(125、64、32Hz)の各段階において細かなマニュアル調整が可能。自分だけのプリセットモードとして保存できるかなりマニアックな作りとなっている。

  • あらかじめプリセットされたイコライジングモード3種に加え、自分なりのオリジナルモードを設定し、カスタムイコライズとして保存しておくこともできる

 Bluetooth 4.0対応で、対応プロファイルはA2DP V1.2、AVRCP V1.4、HFP V1.6。付属のUSBケーブルを使えば、3時間の充電で最大約15時間のワイヤレス再生が可能と、かなり効率がよい。付属ケーブルを使えばワイヤードとしても使用できる。ハウジング部にはマイクが内蔵されており、エコーキャンセリング機能による快適なハンズフリー通話も実現している。また、電源のオン、オフやBluetoothのペアリング時には、内蔵された音声ガイドで「Power in On」とか「Connected」と言葉で知らせてくれるのでわかりやすい。

Bluetooth接続を主にしたカジュアルユーザーにお薦め

 では、いよいよ音質のチェック。オートキャリブレーション機能はオンだが、ノイズキャンセリングなどはオフの状態で試聴した。低域には厚みがあり、ドラムやベースの音はしっかりと力強く伝わってくる。中高域はバランスを取りつつも、ボーカルがやや前に出てくる印象。特に女性ボーカルは声に張りがあり、伸び伸びと響く。高域はクリアだが、とげとげしいところはなくまろやか。全体としては明るく元気なサウンドで、ジャンル的にはポップスやロックと相性がよさそうだ。

 ワイヤード接続にすると音質から安定性まで、すべての面がワンランク向上し、よりクリアで快適な音が楽しめる。状況が許すなら断然こちらの方がお薦めだ。

 対応コーデックがSBCのみ、周波数特性が10Hz~22kHzというスペックは、ハイレゾ音源への対応ではやや物足りなさが残るところ。しかし「Bluetooth対応」「ノイズキャンセリング搭載」「オートキャリブレーション機能」といった主な特徴からわかる通り、本機は屋内外でのワイヤレス接続使用をメインに見据えた、カジュアルなポータブルヘッドホンだ。だからBluetooth対応型ヘッドホンの中で、音質、携帯性、操作性、便利機能といった項目を過不足なく満たした本機は、その手の商品を求めている人にとって有力な候補の1つとなるだろう。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]