吉川日出行(富士総合研究所)
2003/04/15 10:00
現在のモノが売れない日本の状況を反映してか、ここ数年CRMやSFAといったキーワードがこの業界を駆け巡っている。特にCRMについては多くの主要メーカーが参入、実際に大規模なシステムの導入事例も散見されるようになり、いよいよ成熟段階に入った感がある。
そんな中最近耳にし始めた新しいキーワードに「PRM」がある。PRMとはパートナーリレーションシップマネージメント(Partner Relationship Management)の略で、代理店などのパートナー企業を使って商品を販売しているベンダー企業が、パートナー企業の情報を収集し、パフォーマンスを上げるような戦略立案やアクションに役立てるという考え方である。
なぜPRMが必要なのか。まず、ウェブの発達によって顧客紹介のプロセスが逆転したことがあげられる。ベンダー企業が充実したウェブサイトを持っていれば、その製品を購入しようとした顧客は直接ベンダーのウェブサイトを訪れるのが当たり前となってきている。そうした引合いを顧客から受けた場合、ベンダーは適切な代理店を選びそこへ顧客を誘導し、最終的な売上を獲得することを期待する。
しかし現実には多くのベンダー企業が、この代理店への誘導や紹介までは行うものの、その後のプロセスが途切れてしまっている。代理店が適切なフォローを行い、きちんと商談をクロージングできているのかを調べる術もほとんどないに等しい。そもそも見込み顧客を適切な代理店へ紹介しているのかを検証する手段さえもない。加えてこのスピード時代には顧客の代理店へ誘導はできるだけすばやく行なう必要がある。ウェブから問い合わせを行なった顧客を2日と待たせると顧客は競合他社に流れていってしまうかもしれないのだ。
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インターネットで広がる顧客と中間業者の逆転現象
一方で、ウェブを通じた情報提供は、顧客と代理店の情報量の逆転も生み出している。ウェブで勉強をした顧客が、代理店の製品販売担当者を軽く凌駕する知識を持っていることも珍しくない。客の方が売り手より情報を持っているという状況では、顧客から信頼されるセールスを行うのは難しい。それ故に、代理店側営業担当者の知識強化が、ベンダーと代理店の双方にとって緊急かつ重要な問題となっている。
PRMという名前のついたシステムの多くは、こういった課題に対応するために、引合い情報の共有や再配布の機能や製品カタログをはじめとする情報提供や、代理店側の教育支援といった機能を当然実装している。より詳細な分析機能によって、代理店の評価や選別を行なったり、新たな代理店の開拓といったマーケティング的な機能を持ったものもある。
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PRM関係の具体的な製品やベンダーとしては、まずCRM最大手のSiebel SystemsがPRMに早くから取り組んでおり、日本においても昨年あたりから彼らのウェブサイト上にPRMというキーワードが煩雑に掲載されるようになった。
また米国にはいくつかのPRM専業(中心)ベンダーと製品が存在しており、その中でもClick Commerceが、3月24日に同じくPRM分野での主要プレイヤーであるAllegisを買収することで合意したと発表した。Blue Martini SoftwareやChannelWave Softwareについては日本企業とパートナー契約を行なって展開するなど日本での動きも今年になってさらに加速している。
その他ERP大手のPeopleSoftもPRM強化ソフトを発表、ERPの王者SAPやCRM系のOnyx SoftwareやPivotalといったベンダーも虎視眈々とPRマーケットを窺っている状況である。
PRMは日本企業向き
しかし、なぜ今PRMなのだろうか。これは「Eビジネス」全盛期のCRMを使ったダイレクトマーケティングの反動に見える。
Eビジネス全盛期には、CRMを使って「卸」や「代理店」「小売」などの中間業者を抜いて、ダイレクトに顧客と結ぶというコンセプトがもてはやされた。Eビジネスを売り物にするコンサルティングファームやシステムインテグレーター、ITベンダーはこぞって「卸」や「小売」「代理店」といった中間業者の存在を悪者扱いし、自社のサービスや製品の導入を企業に迫ったのである。
たが、ブームも落ち着いてみると、結局全ての取引をダイレクトにすることは無理だということが分かってきた。実際に、ある統計データでは企業の販売に占める間接販売の比率は全体の8割にのぼるともいわれている。さらに商慣行が複雑な日本では、中間業者を抜いてダイレクトマーケティングを行うには情報システムの導入だけでは上手く行かない。企業全体の組織体制やワークフローを変える必要が出てくるが、そこまでやれる企業は日本にはほとんどなかった。
中間業者を無くせないという現実に気が付いた企業やITベンダーは、今度は発想を変えて彼らとの関係の強化のためのシステムが必要だという結論にたどり着いたのである。そういう意味で、このPRMというアプローチは、日本企業にとって、うってつけなシステムといえるかもしれない。
富士総合研究所 シニアシステムコンサルタント 吉川 日出行
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