グーグルのユーチューブ買収----「今日中にも発表」か

坂和敏(編集部)2006年10月09日 23時41分

 「GoogleがYouTubeを買収するのではないか」という話題が、この週末内外のメディアやブログスフィアを賑わせている。CNET Japanでも金曜日(10月6日)晩にいち早くお伝えしたこの話題について、以下に続報を記したい。

 両社の交渉については、6日に上記の記事をあげた時点では、TechCrunchのMichael Arringtonが「Completely Unsubstantiated Google/YouTube Rumor」というブログエントリで報じていただけだったが、その後まもなくThe Wall Street Journal(有料:ユーザー登録必要)やThe New York Timesがそれぞれ同様の趣旨--「買収金額は約16億ドル」「両社が交渉を進めているのは事実だが、まだ買収が確定したわけではなく、まとまらない可能性もあり得る」等--の記事を公開したため、この話がいっきに信憑性のあるものとして広まった。なお、前述のArringtonは「WSJやNWTは私には接触してきていない。両社がどんなネタ元からこの話を聞いたかはわからない」とその後のブログ(「Will GoogleTube Be Announced This Week?」)のなかで述べている。

「YouTubeは次のGoogleになりえる」とMichael Moritz

 この話題に関して、Dow Jones MarketWatchのBambi Franciscoのブログ(とビデオ)をみていてちょっと気にかかる記述に出くわした。Sequoia Capitalのベンチャーキャピタリスト(VC)、Michael Moritzが先週あったGoogleの「Zeitgeist」というイベントで、「YouTubeは売りに出てはいない」と言っていたという(「そんな台詞にはなんの意味もない」というその後の一文に注意)。

Michael Moritz, partner at Sequoia Capital, an early investor in YouTube, told an interested buyer attending the Google event that YouTube's not selling. Of course, that's just a line that means absolutely nothing. Of course, everyone is for sale, at a price.
So, what price for YouTube? It's whatever the market will support. Moritz apparently thinks YouTube is the next Google. For that possibility, any price can be justified.

 引用文のなかにもあるように、MoritzはYouTubeに資金を提供しているSequoia Capitalのパートナーであり、Kleiner, Perkins, Caufield & Byers(KPCB)のJohn Doerrと並ぶ著名なVCである。そしてこの2人はともにGoogleへの投資で大きなリターンを得て、いまなおGoogleの社外取締役を務める人物だ。

 これはあくまで状況証拠にもとづいた憶測に過ぎないが、GoogleとYouTubeとの交渉で「仲人(なこうど)役」を勤めているのは、このMichael Moritzではないか(Sequoia CapitalにはYahoo!の立ち上げを支援した実績もあるが、会社の資本面の体力や既存の広告クライアントとの関係等々を勘案すると、YouTubeを買えるのはYahoo!ではなくGoogle・・ということになるのか)。いずれにしても、ベンチャー企業の「出口(エグジット)」に関して影響力を持つVCが、売却候補先とも密な関係にあるとすれば、話がまとまる可能性はそれだけ高いと考えてもおかしくはないだろう(・・・それとも逆に、利害の衝突が生じて話を難しくさせてしまうのか)。

 噂される買収金額16億ドルが高いかどうかについては、今後もしばらく議論が続くことだろう。ただし、「他人の持ち物」になってしまったMySpaceに約9億ドルを支払う約束をして(しかも、わずか3年半という期間限定で)、自社の集めた検索広告を表示させることにしたGoogleにとっては、決して高すぎはしない、という見方も成り立つのではないか。また、SequoiaのMoritzは「YouTubeは次のGoogleになりえる」と考えているということから、それだけの潜在力を持つ(もしくは潜在的脅威となり得る)ものが16億ドルで買えるとなれば、1250億ドル程度の膨大な時価総額を誇るGoogleにとっては、むしろ「非常に安い買い物」と言えなくもないだろう。

 それよりもむしろ問題なのは、両社の結びつきから充分な補完関係が期待できるか、という点だ。この点に関しては、別に機会を設けて検討できればと思う。

PS:
 この原稿の入稿直前に、News.comの編集者にインスタントメッセンジャー(IM)で状況を確認したところ、「この買収話が今日(米国時間9日月曜)にも発表になる可能性がある」との情報を得た。複数のジャーナリストがそう考えているようだ。たとえば、9日朝に放映のビジネスニュース番組に出演したNew York Timesのある記者は、「GoogleによるYouTubeの買収が同日の株式市場の終了後(米国東部時間16時以降)か翌日の午前中にも発表になるかもしれない」と語っていたという(同紙のウェブサイトにある「Dealbook」のコーナーにも「Google Moves Closer to YouTube Deal」というタイトルで同内容の記事が上がっている)。無論、この種の話では大詰めになって話がご破算になることもめずらしくはないが・・・はたしてどういう結果になるのか、成り行きを見守りたい。

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