永井美智子(編集部)
2007/11/16 18:32
この本では4章に出てくる「ロールモデル思考法」が肝です(編集部注:お手本とするものを直感的に選び、それを真似するサイクルを繰り返すことで、自分のなりたいものに近づく方法)。苦労したし悩んだし、恥ずかしいとも思ったんですが、書きました。実は、この本にもロールモデルがあります。僕は本を書くときにはロールモデルを作ります。「この本がロールモデルです」と言うと「お前のこの本と比べるなんて何様だ」と、ネットには厳しい人が多いのですぐ言われるんですが。ただ、子どもが王貞治になりたいというのと一緒で、どんなにえらいものでも消費してしまえというのがこの考え方です。
「ウェブ進化論」でロールモデルにしたのは小林秀雄の「近代絵画」です。僕は子供の頃からとにかく絵心がなくて、美術館に行っても全然感動しない。結婚してから、欧州に行くとむりやり妻に美術館に連れて行かれるんだけれども、どうしても面白いと思えない。でも「近代絵画」を読んで、目からうろこが何回も落ちた。
ウェブについて、僕が絵画に抱いていたような気持ちを抱いている人に、この本から受けたようなインパクトを与える本が書きたいと思ってロールモデルにしました。
「ウェブ時代をゆく」については、「ウェブ進化論」と対になるものだから、2冊で完結しているものをモデルにしました。それが福沢諭吉の「西洋事情」と「学問のすすめ」。「西洋事情」が「西洋はこうなってますよ」と説明するのに対し、「学問のすすめ」はそういった中でどうやって生きていったらいいかを書いた本です。対になっているという意味で、これをロールモデルに置きました。
もっと言えば、それぞれの章にもロールモデルを置いています。たとえば序章は、犬養道子の「新約聖書物語」をモデルにしています。「新約聖書物語」は「旧約聖書物語」との2部作で、序章はキリストが出てくる前、つまり「旧約聖書物語」をぎゅっと縮めて、「新約聖書物語」だけを読んでも読者が世界に入っていけるようにした、短くて格調高い文章になっています。こういうのを書きたい、と思ってモデルにしています。
後半につづく

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