NECフィールディング、今期業績回復期待で株価反転上昇加速へ

 コンピュータシステム保守業務のNECフィールディングの株価が戻り歩調となってきた。株価は2006年7月以降小幅なボックス圏での推移となっていたが、ここにきて上放れて1500円台に乗せてきた。

 しかし、連結PERは17倍と依然割安水準のままとなっている。中期的には、2000円台を目指す展開も十分期待できそうだ。今期2008年3月期の連結業績について会社側は、売上高2160億円(前期比1.6%増)、営業利益90億円(同9.1%増)、経常利益90億円(同5.5%増)、純利益50億円(同12.5%増)と前期の2007年3月期の減収減益決算から、一転して増収増益業績へと回復基調を見込んでいる。

 2007年3月期の連結決算は、売上高2126億円(前々期比7.9%減)、営業利益82.5億円(同17.5%減)経常利益85億円(同17%減)、純利益44億円(同25%減)と減収減益決算となった。売上高が未達となったのは、ITインフラなどの導入・運用サービスを行うフィールディングソリューション事業や、ソフトウエアなどの保守、運用サポート、セキュリティ、IP電話導入などの事業でも売上高が当初計画に比べて未達となった。

 2008年3月期については、増収増益を見込んでいる。部門別の売上計画では、コンピュータなどの保守を行うプロアクティブ・メンテナンスが、コンピュータの小型化やそれに伴う単価下落などにより、引き続き減収を見込んでいるものの、フィールディングソリューション事業では増収を予想している。

 さらに、ソフトウエアなどの保守、運用サポート、セキュリティ、IP電話導入などに加え、今期から本格化するオフィス関連用品のウエブ販売「いーるでぃんぐ」の寄与も見込まれている。

 同社では、今期システム運用事業の強化を打ち出している。サーバーなどの保守技術者にソフト類の運用管理のスキルを習得させ、運用技術者を2009年度までに現在の2倍に相当する1000人に増やす計画だ。同社は6月5日、客先駐在型の運用サポートサービス提供を主な業務とする新会社「フィールディングテクノロジー」を、100%出資子会社として設立し、7月1日から営業を開始すると発表した。

 NECフィールディングに分散する運用サポートサービス関連の要因を新会社に集中することで、要因配置の自由度を高め効率化を図るとともに、システム運用のスキルやノウハウの共有による高品質なサービス提供を目的にしている。同社では、運用サポートサービス事業を注力事業と位置づけており、この事業で今期200億円以上の売上高を見込み、2009年度には300億円規模までの拡大を目指している。新会社の従業員数は約120人と関連会社の約180人の合計300人でスタートし、2009年度までには1000人規模の運用サービス体制を構築する計画だ。

 同社の株価は、5月21日に年初来安値1392円を付けたあと、同25日の1397円で2番底を付けて反転上昇軌道に復帰し、1カ月後の6月25日には一時、1632円まで急速な値戻しをみせている。短期間でのハイピッチな上昇の後だけに、しばらくは1500円台固めの期間が必要と判断できるものの、連結PER17倍台という株価指標面での割安さを考慮すれば、中期的には2000円台乗せへの期待も高まりそうだ。

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