なぜか人気がいまひとつ、最近の新規公開ネット関連企業

 昨年後半のあの熱狂はいったいどこへいってしまったのか。最近、新規公開銘柄の人気にかげりが見えはじめている。去年までは個人投資家の人気を一身に集めていたネット関連の企業もその影響からは逃れられず、上場後の株価も低迷状態を強いられているケースが目立つ。

 1月28日に上場したインターネットでの市場調査を手掛けるマクロミルは、公開初日に公開価格2.2倍の151万円で初値をつけ、一時2月12日に196万円の高値をつけたものの、その後は調整状態となり現在170万円台での推移が続いている。

 また、2月13日に上場したインターネット専業の広告代理店オプトも、公開初値こそ公開価格の2.5倍の185万円と好調な滑り出しをみせたものの、その後は翌日から下落トレンドとなり、24日には136万円と26%もの下落に見まわれた。その後はやや下げ渋りをみせているものの、現在も150万円台での推移を続け、当面は初値をクリアすることが難しい状態に追い込まれている。

 さらに、2月27日に上場した情報通信製品のマーケティングから販売までを手掛けるネクサスにしても、初値は公開価格を35%上回る70万円で寄り付いたものの、その後は一時70万円を下回るなど、ほぼ初値水準に近い圏内で鳴かず飛ばずの小幅な値動きとなっている。

 これに比べ、昨年10月9日に上場したカカクコムは、異常なほどの買い人気を集めていた。上場2日目でようやく公開価格(120万円)の3.5倍の420万円で初値を付け、その後一時は555万円(公開価格の4.6倍)まで上昇をみせた。しかし、12月末に1対5株の株式分割を実施、300万円の株価が理論価格の60万円になって以来、買い人気が離散し、現在までほとんど動きのない状態に追い込まれている。

 新規公開企業の株価人気が低迷している背景について外国証券のアナリストは「まず考えられるのが、2月半ば以降、東証1部など本流の大型株に対して外国投資家が積極的な買い姿勢をみせはじめ、昨年までと資金の流れや物色対象が大きく変化していること。さらに、ライブドア(旧エッジ)の1対100株の株式分割に伴う株価の異常な乱高下などが、ネット関連銘柄に対する投資のリスクとして個人投資家にマイナス印象を与えた面もあるようだ」と指摘している。

 さらに、国内準大手証券のIPO担当アナリストは「新規公開自体の抱える問題もある。昨年12月には年末の駆け込みもあって1カ月間に24社という大量のIPOが集中したが、今年に入っても、1月こそ季節要因で3社と少なかったものの、2月に17社、3月に18社とほぼ1日1社というペースで上場ラッシュの状態が続いている。これでは供給過剰が明らかで投資家の資金が追いつかず、人気が継続しないことも頷ける」としている。

 こうした新規公開後あまり時間が経っていないネット関連の銘柄を投資対象としているのは、ネット証券を利用して比較的目まぐるしく売買を繰り返す、いわゆるデイトレーダーが多いとされている。したがって、物色の対象として「旬」と判断できるセクターに資金が集中する傾向は否定できない。今後は、全員参加型の相場が可能な知名度の高いスター企業が登場するときが、新規公開株復活のきっかけとなりそうだ。

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