NTT、業績上方修正観測で株価も底打ち反転上昇か

 携帯電話通信キャリア各社では、競争激化による先行き業績不安が高まっているが、固定電話事業を主力とするNTTの業績は地味ながら順調な推移をみせはじめている。市場関係者の一部から今3月期の連結業績について上方修正観測も浮上しており、下落トレンドを続けていた株価もようやく底打ち反転上昇の兆しをみせはじめているようだ。

 NTTは2月5日、2004年3月期の第3四半期(4〜12月)連結業績について売上高のみを発表した。それによると、同社の第3四半期の連結売上高は8兆1990億円で、通期の会社側計画に対する進ちょく率は74.3%となった。これをグループ各社別にみると、NTT東日本75.2%、同西日本74.7%、同コミュニケーションズ(コム)73.3%、同データ64.2%、同ドコモ76.1%となった。

 今回の第3四半期決算で注目したいのは、固定事業を主力とする東日本、西日本、コムの3社について、これまで続いていた売上高の減収傾向に歯止めがかかる兆しがみえてきたことだ。さらに、外国証券のアナリストは「今回の決算発表では売上高のみ明らかにされたが、固定電話系のグループ企業については9月中間決算の決算発表時点でコスト削減が進んでいるとしており、利益面では通期で上方修正となる可能性が濃厚となっている」と指摘している。

 NTT自体は、今回の第3四半期の決算発表に伴って通期連結業績見通しの11兆400億円(前期比1.1%増)、税引前利益1兆4120億円(前期比0.5%増)は据え置いたものの、実際には上方修正となる可能性が高そうだ。

 さらに、NTTのシェアを圧迫する懸念があるとして問題となっていたIP電話の今春からの本格普及による収益悪化への影響が、当初の予想に比べて限定されたものとなった場合、来期の業績向上への期待感が高まることも予想される。

 こうしたNTTの堅調な業績推移を反映して、株価にも底打ち反転上昇の兆しが見えはじめている。同社の今年に入ってからの株価は、1月6日に高値53万8000円をつけて以来全体の軟調相場の影響もあってか、ほぼ一貫して下落トレンドをたどり50万円を割り込んでいた。この株価が、2月5日の第3四半期の決算発表を受けるかたちで、10日の46万7000円という安値以降、反転上昇の兆しをみせはじめている。

 株価50万円で試算した今期の連結PER(株価収益率)は13倍台と依然割安水準にあり、現在の株価に割高感はない。さらに、日本たばこ産業やJR各社については、年度内の政府保有株の追加売却が有力視されているなかで、NTTについては年度内売却の可能性が少ないことも株価の下支え要因となりそうだ。

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