デスクトップLinuxユーザーは確実に増加を続けている。それはもちろん、Vistaのハードウェア要件が大きすぎることなど「敵失」の影響も大きい(Vistaのメモリは2Gが標準という記事など)。また、OS環境の違いによるLinuxの不利も、どんどん解消されてきている。たとえば、昨日「フランスで海賊行為者のウェブアクセスを禁じる新制度」という記事がCNETに掲載されたが、本題とは別に私が興味をそそられたのは、本題よりも、規制強化の代償として「今回の合意では、映画製作会社や音楽企業にも一定の義務を負わせている。これらの企業は、作品をより迅速にオンライン上で入手可能にすること、特定のプラットフォーム上で音楽を読み取れないようにするなどの技術的障害を除去すること、の2点」という記述があることだ。この「特定のプラットフォーム上で音楽を読み取れないようにするなどの技術的障害」(原文:technical barriers such as those that make music tracks unreadable on certain platforms)とは、つまり「Windows以外のOS上では読めないようなコーデック」ということだと思う。そういったプラットフォーム依存を解決するようフランス政府は企業に求めているわけだが、フランス政府といえば議会で公式にUbuntuを採用したことからもわかるように、オープンソースの大きな支持者。ある意味、いかにもフランスらしい要求であるが、技術に国境はないから、フランスでプラットフォームに依存しない方向が進めば、世界的にもますますOSプラットフォームへの依存が減少していくのは間違いないだろう。
とまあ、状況が追い風ということはもちろんあるのだが、「確実な増加」の根拠としては、もっと別な方面からの数字の裏付けがある。それは、1日あたり5000台は売れるといわれているEee PCであり、遅ればせながら量産を開始したOLPCのXOであり、クリスマス商戦に向け第二ラウンドの販売を始めたEverexのgPCであり、マケドニアで採用されたUbuntu搭載PCである。これらは全て、LinuxをOSとして採用している。そして、来年1年間に予想されるこれら製品の販売数の総計だけで、現在のデスクトップLinuxユーザーの数を上回るだろう。現在デスクトップLinuxを常用しているユーザーがどの程度の数か正確には不明だが、数百万人のオーダー、おそらく百万人以上五百万人以下ではないかと私は推定している。Eee PCの販売数だけでこの程度の数には到達するだろう。もちろん、Eee PCのWindows版があまり売れないと仮定しての話ではあるが。それでも他のプリインストールマシンを加えれば、やっぱりプリインストール機の販売数だけで1年後にはLinuxユーザーは少なく見積もっても倍増している。これにプリインストールマシン以外の増加分が加わるから、もうこれは「確実な増加」といってしまって決して言い過ぎではない。
実際、プリインストールマシンの発売は状況を一変させた。いまだに、「Linuxはまだ今年は家族に勧められない」というような議論がされ、そういった考察に説得力がなくはないのは事実である。しかし、「ドライバを探し回る」ようなGeekyな操作は、プリインストールマシンに関しては必要はない。したがって、プリインストールマシンに関しては、Linuxはもう家族に勧めたいOSになってしまっている。実際、アメリカではEee PCはクリスマスの贈り物のウィッシュリストのNo.1だし、Linuxの採用は「斬新さ」として受け止められている。
しかし、こんな大変革の嵐の渦中にいて、一人忘れ去られたような存在がある。それは、Eee PCがOSとして採用したXandrosである。
Eee PCが本当に400万台近くも売れるのかどうか、疑いがないわけではないが、もしもそれが事実だとしたら(そしてその販売数の大部分がLinux版だとしたら)、Xandrosは一気にデスクトップLinuxのトップクラスに躍り出る。おそらくUbuntuと一二を争うシェアになるのではないだろうか。わずか1年で、そういう事態になる。それは2年前にはまだマイナーだったUbuntuが一気に人気No.1の位置を占めた以上の激変のように思える。であるのに、Xandrosの話題は、ブログを検索してもたいして出てこない。実売数ならはるかに少ないgPCの採用しているgOSの方がむしろ話題をさらっている。
それは、gOSがフリーでダウンロードできるのに対して、Xandrosが有償で配布するパッケージだということも関係しているのだろう。また、Eee PCの採用しているパッケージが、Xandrosそのものではなく、そこからさらにカスタマイズしたパッケージだということもあるだろう。ちなみに、このEee PCの中核部はGPLに基づいているのにソースコードが公開されていないことがブログで指摘され、報道されている(たとえばここ)。ただし、こちらの意見では、これはAsusの人手不足のせいで、時間がたてばきちんと対応されるのではないかという観測。私もそう思う。
ともかくも、Xandrosに関しては、もうちょっとしっかりウォッチしなければと思う。公式サイトに行ってみても、大した情報はない。DebianをベースにWineの商用版であるCrossOverなどを組み込んだもののようだが、Geekでない私にはそれ以上のことはわからない。ライセンス上必要な部分に関してはソースコードを公開するFTPサイトもあるし、フォーラムは登録ユーザー数が28238人と、Ubuntuに比べれば桁違いに少ないが、まずまずはきちんと機能しているようだ。今年の話題としてはMicrosoftとクロスライセンス(ではないのだろうが、そのようなもの)を結んだこと。AsusがXandrosを採用した理由には、このような政治的状況があったのかもしれない。ちなみに、Eee PCにCrossOver Linuxが組み込まれているのかどうかはよくわからなかった。入っていないという話を以前に聞いたような気がするが、だとしたら、販売されているパッケージとはかなり内容が違うのだろう。当然、XandrosがAsusから受け取るライセンス料も、一般販売よりはかなり低額と考えられる。それでも販売数が桁違いだから、相当な売上になるだろう。
現在、デスクトップ用のLinuxは、ほぼフリーのものが主流。もちろんサポート付きの有償パッケージもあるが、シェアは低い。そういった状況が、一年後には一変するわけだ。それがどういった効果をもたらすのか、私にはよくわからない。わからないなりに、気をつけていこうと思っている。
さて、追加で、その他のEee PCウォッチ。
まず、AsusはEee PCの中国本土での販売を開始したそうだ。Acerの動きなど、こちらの記事は興味深い。 一方、台湾本土では他の市場には流れていないうす緑のEee PCも出回っているそうだが、そういう製品がドイツに輸入されたということが英語圏で話題になるというわけのわからない現象まで起こっている。
一方、Eee PCを追いかけるようにPackard Bellは低価格のモバイルPCをシンガポールで発表したそうだが、この製品、VIAのプロセッサを搭載している。Everexが来年発売するとされている低価格モバイルは、実はPackard Bellの製品と同じではないかともされているが、価格は同じではない。このあたり、情報が錯綜してよくわからない。いずれにせよ、Eee PCは、他のPCメーカーにも大きな刺激を与えているようだ。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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