歴史のある巨大なブランドであるAppleと比較するのは多くの意味において妥当ではないのだが、昨日から嵐のようにあちこちで報道されている「Asusが人気のEee PCのデスクトップ版を来年リリースする」という報道を聞いて、私は「AsusはEeeブランドをMacのように仕立てあげようとしているのではないだろうか」と思った。スケールはずっと小さいかもしれないが、MacのようなOSとハードウェアを統合したブランドがもうひとつできるのは、それはそれで面白いことだと思う。
11月のリリースにもかかわらず、Asusは今年中に30万台のEee PCの出荷を見込んでいるそうだし、来年4月には低価格を保ったままより高性能な新モデルも企画しているという。メディアの評判も上々で、「立ち上がるのが早いのがいい」「シンプルで必要充分」「別にLinuxだから不都合があるわけじゃない」などと好意的な評が「キーボードが小さくて文字が打ちづらい」「画面が狭くてWebページが全部表示されない」「記憶容量が小さすぎる」などのマイナスの評価を圧倒している。そういった短所があっても、長所がそれをはるかに上回るというのが大方の見方。増産が追い付かないほどの人気も頷ける。
それで、面白いのは、あるブロガーが「Eee PCユーザーからのコメントはMacファンの口調に似ている」と書いていたことだ。私自身Mac愛好者だったから心理はよくわかるのだが、Macユーザーには自らの機械に対する誇りと愛情がある。リリース後わずかの時間でそういった感情を(一部のユーザーかもしれないが)抱かせることができたのだとしたら、これは大成功だろう。
その理由は、やっぱり、ハードウェアとソフトウェアがよく統合されているからではないかと思う。たとえばこれがWindowsマシンだったらどうだろう。同じWindowsマシン同士で比較して、「同じモバイルだったらやっぱり東芝の方がいいよねえ」なんて感想をもつのではないだろうか。新しい器には新しい酒。Linuxの採用は、そういった比較する心理を生じさせにくくするだろう。Xandrosという比較的人気のないディストリビューションを採用し、しかもそれをEee仕様にかなり手を加えているようだ。だから、同様にLinuxマシン同士の比較もされにくい。さらに、そうやってよくカスタマイズしたソフト群は、マシンにスペック以上の働きをさせる。30秒の起動時間は、ハードディスクに替えてフラッシュメモリを採用した効果ばかりでもないだろう。
そして、こういったソフトとハードを統合していくアプローチは、Appleが創業以来伝統的にやってきた戦略だ。Asusは、Eeeでその足跡をたどっているように見える。そして、AppleがiMacのシリーズで見せたようなカラフルなバリエーションも投入したし、来年にはデスクトップ版。AppleがMacで必要充分なラインアップをそろえていく戦略を、さらに追随しているようにも見える。ただし、デスクトップ版を単なる廉価PCとして企画するのでなければという話だけれど。
Macほどの大ブランドではなくともEeeが同じような性格のブランドを確立するには、たぶん、今後は周辺機器が重要になっていくのではないだろうか。Macの成功には、Mac向けの周辺機器やアクセサリーの充実が大きな要素になったように思う。EeeにiPodに匹敵するような周辺機器が整備されるだろうか。その一方、Eeeのページを見ると、どうもEeeユーザーに対するポータルサイト化を狙っているような印象を受ける。これはAppleも失敗した局面。Web2.0時代に重要な方向ではあっても、1.0時代の発想では無理があるような気がする。
Eee PCは、Windows版も来月にリリースされるそうだが、これは単なる話題だけで終わるような気がしてならない。やっぱりあのスペックでは、軽快にWindowsを走らせるのは無理だと思うから。「そのつもりならWindowsだってどうにかなりますよ」というデモンストレーションで終わるのではないだろうか。それとも、強引にモバイル用にWindowsをカスタマイズするのだろうか。普通に考えたら、どう見ても4GのディスクにWindowsは納まりきらないのだから。
まあ、Asusの経営陣がどういう考えでいるのかよくわからないから、以上は単なる外野の憶測に過ぎない。けれど、私がもし買うとしたら、単なる「安かろう、悪かろう」のPCではないだろうと思う。そのぐらいの消費者心理は、Asusも心得ているんじゃないだろうか。
追記:Eee PCの日本発売は来年2月とかいう噂を聞きました。どの程度の確度のものかはわかりませんが。出所はこちらです。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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