最終更新時刻:2009年11月27日(金) 18時18分
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何故iPhone 3Gは日本で失敗したか (6/13)

公開日時:
2008/11/29 10:56
著者:
きゅうびの

今回も前回に続き、iPodとiPhoneを導入する上で検討されるべき差異について見てゆくが、今回はユーザ経験から半歩ほど販売側の視点に軸足を移してみたい……のだが、「iPodの話」が余りに長くなってしまったので、展開の都合上今回はiPodのビジネスモデルについてざっと見てゆきたい。

この話題については余り触れたくない。既存の文献や資料は、我々が「iPodが如何にして人気を博したか?」という問題を前にしたとき、状況からの類推を積み重ねたものに終始するのが一般的であり…などと偉そうにブチあげたところで自分も同様の結論に達するのが目にみえているので避けたいのだが、「他の方の記事を参照のこと」で済ませるのも失礼かと思い、ざっと纏めてゆく。

・なぜiPodは売れなかったのか

結果論だが、iPodは絶妙のタイミングで登場したアイテムである。まず改めて確認しておきたいのだが、確かに最初iPodはそれほど人気では無かった。今では考えられないことだが、発売から30ヶ月の間に、300万台のiPodを売り切ることさえ出来なかったのだが、そこにはいくつかの要因が挙げられよう。

・非常にバッテリーが持たなかった

当初、iPodは非常にバッテリーの持ちが悪かった。iPod出現まで主要な音楽プレイヤであったCDやMDのポータブル再生機器が100時間再生を達成しようかという時分に、iPodは精々10時間というところだった。今や、ハードディスクタイプのiPodは、カラー画面…しかも当初のiPodの何倍もの情報を多岐にわたって表示出来る…を持ちながらその3倍以上の再生時間を確保している(メーカー値)。

・昔は高くて大きかった

CDwalkmanが100ドル出さずに買えた時代、ハードディスクタイプとはいえ、iPodは5GBという(今にして思えば)低容量な記憶領域しか備えていなかった。そのくせ、現在のハードディスクタイプのiPodよりも重たく、高価だった。

・Mac用しかなかった時代もある

当初、iPodはAppleのコンピュータを介してしか利用出来なかった。当時、既にコンシューマ向け市場においてMacintoshのWindowsに対する劣勢は明白だったが、Appleが突然発売した魅力的な音楽プレイヤは、Windowsユーザからも垂涎のまなざしを向けられたものの、市場におけるマイクロソフトとAppleの優劣を覆すには至らなかった。幸い、今はラインアップにある全てのiPodがWindowsで利用出来る(※1)。

・iTunesも使えなかった

iPodのエコシステムを語る上で欠かせないiTunesは、当初Windowsでは使えなかった。つまり、iPodは、「最初はWindowsで使う事が出来ず」「一応Windowsで使えるようになったものの、iTunesの便利さも体験出来ない」時期があったわけである(※2)。

・今ほどは見た目も操作性も洗練されていなかった

これは完全に好みの問題だが、デザイン上のフォーマットとして、自分は現行世代のiPodは過去のそれより優れていると考えている。UIと機能、そしてデザインが相互に必然性を持って連携している様は、モノの有りようとして純粋に美しい。かつて、iPodがモノクロの画面しかもたず、画面には数行のテキストを表示するのが精一杯で、無骨なボタンを指で押し込まなければ操作出来なかったことをご存じだろうか?

・PCを使うという行為がそれほど一般的ではなかった

iPhoneと同様、基本的にiPodは「ユーザが自分でコンピュータを操作すること」を要求する。だが、iPodが出た当時、それほどPCは人々にとって当たり前のものではなかった。皆様は「FireWire」なる代物をご存じだろうか。そのような規格が存在するということさえご存じない方もいらっしゃるのではないかと思うが、昔のiPodは、大半のWindowsマシンには搭載されていなかったFireWireなる端子を備えていなければ利用することが出来なかったのである。PC用のメールアドレスを持っていれば「パソコンに詳しい人」扱いされ、「ググる」よりもYahoo!のリンクからお目当てのページを探す人の方が多かった時代、iPodが求めるハード的・ソフト的な要件を満たす人は少数であったと言える(※3)。

・エコシステムにとって本質的に重要なことは

などなど、今から見ればいろいろのアラのあるiPodであり、また「何故売れたのか」などという後付の解釈において上記の問題を解決したから……などと述べることは容易い。

しかしながら、現実にはAppleの戦術を模倣せんと試みたあらゆるメーカーがiPodに敗れ去っている。その事実から逆説的に類推されるのは、iPod成功の秘訣は既に模倣することが不可能な戦略であるか、あるいは成功の秘訣を読み誤っているかのいずれかであるということである。

だが、iPodが売れていった最大の理由について、ひとつだけ明らかにしておくべき事がある。それは、「iPod成功の理由は、"エコシステムが形成されたから"では無い」ということである。

それぞれのユーザがiPodを選択した理由は、例えば大容量な割に安価であるとか、デザインが他のモノより好みだったとか、iTunesが使いやすかったとか色々あるだろうが、エコシステムのキモは、コアとなるエッセンスの魅力である。この場合は、iPodという端末そのものだ。

iPodの何処が消費者にとって魅力あるものであったかについての分析は今日何を言ったところで後付の説明になってしまうが、エコシステムのキモが何であるかを物語る端的なサンプルは、ソニーのPlaystation 3である。

初代Playstationから2に至るまで、一時は圧倒的なエコシステムを形成し据え置き型ゲーム機の王者に君臨したPlaystationは、今やXboxの後塵を拝する立場に甘んじている。ゲーム機にゲーム機以上の役割を与えるなど、ソニーはソニーなりに取り組みたいことがあったのだろうが、結局の所エコシステムの価値を判定するのは不特定多数の消費者であることを忘れてはならない。

次回は「では、何故iPodが成功したか」について見てゆきたい。

※1 不幸なことに、自分が愛用しているWindows 2000は対応OSから省かれてしまった。全く余談だが、結局iPhoneを買うにあたって自分はWindows 2000のマシンからXP機へと乗り換えた。

※2 iTunesの利用を基本的に強制されることについて、ファイラなどで音楽ライブラリを管理したいユーザなどからは強い反感を買っている側面もある。かくいう自分もあの手の「ファイル管理ソフト」なる代物が非常にニガテであり、普段使っているファイラを利用したいと考えて居た……のだが、いざ使ってみると数日で慣れた。今はもうiTunes無しでは満足にエンコードさえ出来ない有様である。

※3 FireWire(IEEE 1394)はAppleが牽引した規格でもあり、当時のMacでは当然の用に搭載されていたと思う。その他、ビデオ編集を訴求していたSONYのVaioや、IBMのThinkpadでも搭載されているケースが多かったような記憶がある。外付けドライブをIEEE 1394で接続すると、当時の非力なコンピュータでは負荷が小さく済んで有りがたい存在だったのだが、この度、MacbookからもFireWireが消えることとなったようだ。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

3

App Storeで魅力的なソフトが溢れてくると、Touchも気になって来ますよね。噂によると、Touchの方がiPhoneよりも端末の動作周波数が高いそうで、アプリによっては快適にたのしめるなんてことも……?

  きゅうびの on 2008/12/15

2

→常に1位(か2位)辺り

今確認したところそうでもないですね。
まあ上位に定着しだしたといったところでしょうか。

  hitori on 2008/11/29

1

最近気づいたのですが、日本でもiPodの売れ筋が徐々にiPod Touchに移行しているようです。カカクコムやアマゾン、BCNなどのランキングをを見てみると、MP3プレーヤーのカテゴリーでは常に1位(か2位)辺りに登場しています。これは今までの低空飛行状態からは考えられないことです(汗)

値下げ、AppStore(最近はアプリ本数も1万本を突破した?ようです)の成功が功を奏しているのかも知れません。

  hitori on 2008/11/29

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