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    アクセシビリティ:視覚障がい者、音声ブラウザ(読み上げソフト)のシェア

    2007-12-26 00:37:26

    プロフィール

    羽山 祥樹

    未来への興味が止まらない、新進気鋭のウェブ論。Web制作、Webデザイン, Webマーケティング, UXD/IA, ユーザエクスペリエンスデザイン, 情報アーキテクチャ, インフォメーションアーキテクチャ, アクセシビリティ, JIS X 8341-3, WCAG
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    この記事のトピック


    Web担当者の悩み:音声ブラウザのシェアがわからない

    こんにちは。“時代の3歩先をねらうWeb屋さん”ミキ・オキタです。
    このブログ「WebClip ウェブデザインのニュース」では、Webデザイン・Webマーケティングの話題をお届けしています。

    今回はWebアクセシビリティの話題。Web担当者なら必ず頭を悩ます音声ブラウザのシェアについて。

    以前の記事でも書いたが、アクセシビリティはSEOではない。Web標準とも異なる(アクセシビリティはもっと広範囲にわたる)。かといって、結果の見えづらい「社会貢献」扱いでは、現場のモチベーションが保ちづらい。
    企業がなぜアクセシビリティに取り組むのか、その動機づけははっきりさせておかなければならない。

    上のことを踏まえてだが、アクセシビリティに企業が取り組もうとすると「ある問題」が、けっこう議論になる。

    企業の財力は無限ではない。アクセシビリティに取り組むといっても、悲しいかな、現実問題として、あらゆる障がい者を想定してチェックとテストを繰り返すことはできない。
    スコープを絞る必要が出る。そこで、多くの企業が、多くのWeb担当者が壁にぶつかる。

    「音声ブラウザって何だ?」

    多くのWeb担当者は音声ブラウザ(または読み上げソフト)には触れたこともない。
    実際、音声ブラウザはInternet ExplorerやFirefox、Safariなど「いわゆる意味での」ブラウザに比べ、固有の特性があり、それを理解した上でないと正しいアクセシビリティは実現できない。

    音声ブラウザには複数の種類がある。シェアの大きいところでは、IBMのIBM ホームページ・リーダー(通称HPR)や、高知システム開発のPC-Talkerや、Freedom ScientificのJAWS(ジョーズと読む)などだ。 (※この記事ではわかりやすく説明するため並列にしたが、ホームページ・リーダーは音声ブラウザ、PC-Talkerはスクリーンリーダーで、厳密には別用途)

    ここで「ある問題」にあたる。果たして、いったいどの音声ブラウザを対象にして、Webサイトを作成すればいいのだろうか。
    Internet ExplorerやFirefoxなら、ある程度のシェアはGoogleやインターネット白書を調べればわかるかもしれない。しかし、音声ブラウザのシェアに関する情報は非常に希少だ。
    僕自身も、この点には大変悩まされた。

    悲しいかな、基本的にアクセシビリティは現場にも管理側にとっても「面倒くさい」と思われていると思ったほうがいい。社会貢献という看板があるので正面から批判はしづらいが、できれば関わりたくないと思っている人が大半だ(実際、自分が取り組むまでは、僕がその最たるものだった)。
    まさに冒頭の動機づけの部分だが、アクセシビリティの実現にはWeb担当者、制作会社、決裁権者など、関係者のコンセンサスがきちんととれていないと実現は難しい。コンセンサスを取る上で「どこまでやればよいかわからない」ものなど、最初に無視される。
    客観的で明確な根拠(データ)がないと、関係者の合意を得ることができない。

    視覚障害者のパソコン・インターネット・携帯電話利用状況調査2007

    さて、アクセシビリティに取り組む上で当たるこの「問題」だが、なんと、その回答にあたる調査が今年の夏に実施された。Web担当者が感涙にむせぶこの調査。報告会が12月2日(日)に実施されたので、拝聴してきた。
    調査は「視覚障害者のパソコン・インターネット・携帯電話利用状況調査2007」というもので、国立特別支援教育総合研究所の渡辺哲也氏らが実施したものだ。

    視覚障がい者のICT(パソコンや携帯電話、インターネットなど)の利用状況を調査したものだが、ここではとくに視覚障がい者のインターネット利用についての発表箇所をピックアップする。

    • 有効回答数413人のうち、パソコンの利用している人は391人。調査は主にインターネットと公共施設を中心に行われたため、パソコン利用者が多いと思われる(この点には補足調査がある)。
    • インターネット利用者は386人で、パソコン利用者391人の99%にあたる。
    • 利用OSはWinXP 349人、Win98 44人、DOS 21人、WinME 22人。VISTA わずか16人。WinXPの圧倒的シェア。
    • Web閲覧ソフトはホームページ・リーダー 165人、PC-Talker 146人で、僅差。3位は95Reader 43人と極端に減る。
    • インターネット利用者386人のうち300人はほぼ毎日利用。
    • インターネット利用目的は情報収集 368人、電子メール 346人、オンラインショッピング 189人、情報発信(ブログ・SNSなど) 117人。情報収集の内訳は、趣味等、生活実用関連、ニュース等、仕事関連、行政・公的団体関連。

    現時点でのシェアは、ホームページ・リーダーとPC-Talkerが圧倒的と言ってよさそうだ(「現時点での」と枕詞をつけたのは、ホームページ・リーダーはVISTAに「対応しない」ことを宣言しているため、今後はPC-Talkerや他の音声ブラウザへ移動する可能性がある)。

    さらに、Web担当者として興味深いのは、障がい者の生の声として、使いづらいウェブサイトの課題がまとめられていたことだ。以下に僕が会場でメモした内容を掲載する。

    1. 文字の表示
      • 文字サイズが小さい。または文字サイズがバラバラで読みづらい。
      • 文字サイズを変更できない。また、変更するとレイアウトが崩れる。
      • 背景とのコントラストが低い。白黒反転できない、または白黒反転すると読めなくなる。視覚障がい者はWindowsの補助機能で画面の文字色や背景色を変更していることがある。
      • PDFが読みづらい。
      • アニメーションバナーが見づらい。動きが早い。文字サイズの拡大ができない。
    2. 音声読み上げ
      • 画像の代替テキストがない。
      • PDFファイルが読めない。PC-TalkerはPDFが苦手で、ホームページ・リーダーにいたっては再生できない。また、スキャン画像をPDF化したものは当然ながら読み上げられない。
      • 画像認証が読み上げられない。画像認証があると音声ブラウザの利用者は何もできなくなる。
      • 他の音声・BGMがかぶさる。音声ブラウザの合成音声が聴き取れなくなってしまう。
      • 読み上げ順がおかしい。画面のレイアウトと対応していないと、どこを読んでいるのかわからなくなる。
      • 音声ブラウザが使いづらい。
    3. ページ
      • レイアウトがわかりづらい。
      • レイアウトが複雑。また、サイトの階層が深い。
      • 1ページあたりの情報が多い。同様に、リンクが多い
      • 広告と本文が判別しづらい。音声ブラウザでは、明確に広告であることが宣言されないまま、コンテンツの途中やコンテンツに続けて広告があると、それがコンテンツなのか宣伝なのか区別できない。
    4. 操作
      • キーボードで操作できない、ナビゲーションがない。
      • フォーム入力ができない。サイトの終着点がお問い合わせフォームであるのはよくあることだが、音声ブラウザはフォーム入力に癖がある。フォームは特に配慮が必要だ。
      • 仮想カーソル(読み上げソフトの現在読み上げ位置を示すカーソル)が操作できない。
      • Flashなどが操作できない。
    5. セキュリティ・エラー表示
      • セキュリティソフトの音声対応が不十分。
      • ウイルスの情報が少ない。
      • ハングアップしやすい。
      • エラーがわかりづらい。
      • サポートが視覚障害に対応していない。

    これらはWeb担当者が目にすることが難しい、視覚障がい者からの生の意見。非常に貴重だ。

    なお、報告会のサマリーは、以下のURLに掲示されている。統計データも掲載されている。まさにWeb担当者感涙。ぜひ参考にして、関係者のコンセンサス獲得をしていただきたい。

    視覚障害者のパソコン・インターネット・携帯電話利用状況調査2007

    ※追記 2007年12月29日 Yasuharu OISHIさんよりご指摘いただき、JAWSの開発元をIBMからFreedomScientificへ変更


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    ※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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