総合危機管理講座(前期)の第三回(平成18年11月15日)は、日下 公人(くさか きみんど)氏による「危機管理の発想法」。
この日下氏がSAFETY JAPANに掲載しているコラム「現実主義に目覚めよ、日本!」が面白い。「えぇ??本当に?」って感じの内容に、つい惹き込まれてしまう。お伽噺なのか、調査結果なのか、信条なのか、真実なのか?なんて、自分の立ち位置を明確にせざるをえなくなるような気持ちで有難い。
この講座を受講した一番の動機は、今回の、日下氏の話と直接に触れる事だった。(結果だって?大満足に決まってるじゃないか!)
受講生の席を見渡すと、この日は何だか若い人が多いように感じた。それも、ちょっと血気盛んな雰囲気を感じる。
と、思っていたら、佐々氏が御夫婦で御聴講だ。「日下さんは、変なことを言うけどビックリしないで下さい。」との一言にはビックリした。
そして、日下氏の登壇。
「出来るだろうと期待して頼むのだから、頼まれ仕事は楽だ。」
と、いきなりの一言でガツンとやられた気がした。人から期待された事は出来るもので、自分で考え出したもの、新しい事が難しいのだ、と。まるで、ベンチャー起業の自己啓発セミナーに参加した気分だ。
「理想主義は我が身を滅ぼす。滅びないのは、ちゃんとやらないからだ。」
と、皮肉まじりに指摘をする。「理想」と掲げた時点で現実に出来ない事は分かっているのかもしれない。
中国が、日本の孔子研究所を支援しているのは、中国の思想を日本に浸透させる目的があるという可能性も念頭に置かなければならない、という趣旨もあったが、セキュリティ的に安全と安心を考えた守りの考え方には必要な視点だ。そもそも、外と内を明確にさせて、それを維持するという、強い意志が必要だ。
「名前が付いた、お化けは、もう怖くない。」
「ウルトラ警備隊は、何で怪獣の名前を知っているのか?」なんて笑い話が通じる世代の人には、この話は良く分かると思うのだけれど、本当に怖いのは「正体不明」という事だ。厳密に言うと、正体が分かっているのに対策が見つからないという状態も怖いような気がするけれど、そんな事を怖がっていちゃぁいけないのかな?
「2007年は日本語で話せる事が重要になる。英語で話してると注文が来なくなるよ。」
「注文が来なくなる」は大袈裟かもしれないけれど、IT業界では、中堅・中小企業へ向けた営業活動が活性化している中で、カタカナやアルファベット3文字略語を多用していては活動に支障をきたしてしまう事は実感している事だろう。
僕は、日本語っていうのは、軽い暗号の一種だと思っている。日本語に限らず、言語というものにそういう要素があるのではないか。日本語は大切にしたい。幼子を育てていると、更に強く感じる時がある。英語や中国語を話せる事も便利だけれども、主(メイン)と従(サブ)は明確に持っていなければならない。
外資系企業など外国語に触れる仕事をすると、日本語や国という概念を強く持つようになると思う。ちょっとだけ、井の中から首を出したからだろう。
「よい日本語を教えてあげる。と、よいアメリ力になる。と、安全になる。」
この日、最も感動した言葉だ。教えてあげる事で、廻り回って皆が、自分が、よくなる、という考え方は、とても強かだと思うし、偉大だ。
「例えば、アメリカには『潔い』という言葉がない。古い言葉にmanlyがある。」
「マンガかア二メにすると、アメリカの子供が解って育つ。」
と、続けた。前述のSAFETY JAPANのコラム「『ポケモンの哲学』で世界を説得せよ!」が面白い。
「リスクを予見せよ。」
「現場、現実主義でいけ。」
リスクは個々人(各社)のもの。「これがリスク」というものは、ないよ、と説いた。
さらに、航空機内での運用例を挙げて、
「客が不安な時は行動させろ。」
というのがあるそうだ。トラブルがあった際に、ビデオを観させるかゲームをさせるとかで、不安は和らぐのだそうだ。
「行動していると分かる事がある。」
「行動とセットで情報は入ってくる。」
学者やコンサルタントよりも、現場で働いている人達の方が、本当の事を知っている、という事は、今や誰でも感じている事で、現場の人が忘れていたり気付き難い事を指摘してあげたり、外の知らない情報を教えてあげるのが学者やコンサルタントの役目だと、僕は思っている。現場に全てはあるのだ。だから戦争を続けているアメリカは戦争に強いのだろうな。日本の情報セキュリティ業界は、どれだけ強いのだろうか?
日下氏の講義を聴いていて、歌手の故 高田 渡さんを思い出した。渡さんが聞いたら怒るかもしれないけれど、物事の本質を深く抉って、言葉に吐くその様は、同じなんじゃないかな。
施されるより、施せ。〔わをん〕
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