僕らの使っているパソコンのソフトウェアの多くは、米国製だ。それは、急速に進化しているコンピュータの世界で、次々と新しい会社が、新しいソフトウェアやサービスを考え、生み出してきているからだ、と僕は思っている。
Web 2.0だなんて流行によって、モバイル・パソコンの進化が足踏みせざるを得なくなっていたら嫌だなぁ、ケータイだけのモバイル・コンピューティングなんて寂しいなぁ、とも思っている。まだまだ進化しようぜ!
新しい会社が出来る背景には、べンチャーが育ちやすい環境が整っているのだという。
よく言われているのは、失敗をしても再挑戦がし易いとか、ファンドやエンジェルなど投資家による協力が盛んだとか、が多いけれど、ここでは、もうひとつについて取り上げたい。
米国では、政府機関がベンチャーの新技術を積極的に買って使っているのだ。
つまり、供給側の促進作用だけではなく、需要側の促進作用も働いて(働かせて)いるという事。
日本の官公庁って、こんなアピールしないから、「国の軍が使うなんて凄いなぁ。」というインパクトがあるけれど、この記事(プレゼン内容)は、米国では大したインパクトはないんじゃないかと思う。
日本では、国が特定の企業を贔屓にしているとか、出る杭は打たれるのを恐れるだとかで、このようなアピールをベンダーに許可しないのだろう。
ところが米国では、よくある話だ。マイクロソフトだから信頼されてという話ではない。
社員が100人もいないようなベンチャー企業のソフトウェアだって、結構、買っていると思う。それも初期のカスタマーとして。
僕が勤めていた、PivotalというカナダのCRMソフトウェア会社では、オフライン・モバイルのシステムを構成する事が出来て、社内のCRMシステムを必要なデータだけモバイルPCへ複製して、外出先でも社内と同じ機能が使えて、ネットワークに接続して同期させる、という便利で先進的な機能を持っていた。
僕なんか、客先でも出張先ででも、顧客や商談の情報を参照・更新して、いただいた名刺の情報は、移動中の喫茶店や新幹線で入力したものだ。回線速度の遅いホテルでは、シャワーを浴びている間に同期させたりしていたのを思い出す。便利だった。
そのPivotalのモバイル・システムの事例にも、米国海軍が紹介されていた。
社員50人くらいの規模で、NASDAQへ上場する前の会社のソフトウェアを海軍が買う?当時の僕には、それが凄い事だと思ったし、国内で製品や会社を紹介する時の自慢のひとつだった。
しかし、それから何年も外資系ソフトウェア業界に係わってきて、気が付いた。
他にも、米国空軍などが導入事例で、多くのベンダーで紹介されているのだ。
それも多くの顧客に買ってもらう前の、初期段階において。見込み客から見れば、ちょっとした品質保証の様に感じるだろう。
調べた訳でなくて恐縮だけど、これはきっと、政府機関が意図的かつ積極的に買っているのだろう。
新しい技術を見つけて、買って、使って、使いものになるか試しているのではないか。完成度が低くても、叩いて鍛えてあげるのだろう。
そもそも、インターネットそのものが、軍用に開発されたものと聞く。そして、米国は、有事があるとIT技術者を多く雇用して、高度な技術開発を行ない、有事が去ると解雇して民間へ放出される、のだとも聞いた事がある。
ちなみに、僕が取引してもらっている北米のセキュリティ会社のCTOは、米国海軍に勤めてPC関連の職に就いていた事があるそうだ。日本のソニーだって、大東亜戦争(第二次世界大戦:太平洋戦争)中に潜水艦の音波探知機(ソナー)などの技師をやっていた人の技術が根源にあるという。
このような事は、現在の日本も米国から学んで、大いに真似るべきなのではないだろうか?
お墨付きを与えたくなければ、「試験採用」とでも名付けて買ってあげれば良い。
業者との癒着と思われたくなければ、「2社から購入」すれば良い。
どうしても、官公庁での早期購入や導入事例の公表が無理ならば、大企業がその役割を担って欲しい。その方が日本的かもしれない。国産ならば国から補助金を出すとか、ソフトウェア産業を支援する方法は幾らでもあると思う。
「日の丸 検索エンジン」とか呼ばれているようだけれども、このようなプロジェクトは、ここで願った事への一環であると願い、今後に期待したい。
セキュリティの面から考えると、情報を絞ったり遮断したりする事が可能な以上、国としてそれらを操作されないツールは、少なくともひとつは、なければならないと思う。
同じ意味でも、国内のソフトウェア・ベンダーが、自社開発せずに海外のセキュリティ・ソフトウェアを販売しているのは一時的なものと信じたい。開発すべきだ。
押し出す者だけではなく、引き入れる者も、在った方が良い。
施されるより、施せ。〔わをん〕
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