最終更新時刻:2009年7月10日(金) 7時16分
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漫画誌休刊と漫画家の行方

公開日時:
2008/06/02 11:08
著者:
渡辺聡

あるいは、ビークルの破綻と乗せ物コンテンツの行方。
 
ちらちらと噂のあったヤングサンデーの休刊が先週アナウンスされた。「Dr.コトー診療所」「クロサギ」、などの映画化ドラマ化されたヒット作を持っており、ぱっと見ではそこそこ評価されてるんじゃないの?という雰囲気のなかでの発表だったため、予想されていたとはいえ、軽いどよめきが近所のそこここで起きていた。
  
発表を見る限りコミック誌全体の整理(統合)を交えての動き、ということで、先んじてジャンプSQを開始している集英社とだぶって見える。
 
 
休刊ラッシュに入るのか
 
出版業界の噂をあちこちから拾っていると、どうも今年から来年のかけては休刊ラッシュになりそうな気配が漂っている。象徴的なのは、「広告批評」の休刊。なんとなく、一時代に区切りが付いた感が強い。

広告が大きく変わろうとしている今、ひとつの区切り時を迎えているということです。『広告批評』と言う時の『広告』は、マスメディアとしての広告を指してやってきました。テレビCMが全盛期を迎えて、今は30年くらい経ったところにきています。時代の終わりを告げて、やめるとしたら今かなと思っていました

コミック誌が無くなると決まって、ファンとして気になるのは、”私の読んでたあの連載作はどうなるの?”だろう。周囲の漫画好きの間で、「イージスどうなるの?」「とめはねは移るとしたらどの雑誌が合う?」などと話が飛び交っていた。言ってしまえば、そこだけ守られればあとは「時代の流れですねぇ」で済ませてしまっている場合が少なくないように思える。
 
他社も含めて、全体として、雑誌媒体数は減る傾向にある。ついでに、市場全体での広告掲載額、発行部数など複数のいくつかの代表指標のいずれも市場縮小を示している。となると、雑誌をフィールドとしての作家の出番は少なくなっていくのが普通考えられるシナリオとなる。根強いファンを持つ作家であれば単行本の方で収益を上げられるのだろうが、既存の書き手が減って生き残り戦をしていると、新人の出番は更に少なくなる。
 
同じように、媒体流通が減っている類似業界としてはレコード業界(レコードという言い方もいい加減あれなのであるが・・・)がある。こちらは、CD売り上げがぐんと減って、ダウンロード販売に移っているのがここ1,2年の顕著な流れにある。音楽ダウンロードについても喧々諤々の議論は当初あったが、家電量販店に行って手に入るのがデジタルオーディオプレイヤーが主流になっている以上、もはやCD販売に戻っていくことは無いだろう。新しいルールの中でどうやりくりしていくかを決着つけるしかない。
(ゆえに、文化庁あたりの動きは業界課題としてピリピリすることになる)
 
というような、媒体シフトが起きているようでいまひとつはっきりしていないのが漫画の世界となる。モバイルコミック、オンラインでのデジタル配信など出てきてはいるが、フォーマットの違いが大きいためか、業界の癖なのか、音楽ほどのドラスティックな展開の感じは得られない。
 
 
残された時間と打ち手は?
 
細かい事情を知らないフリして外から見る分には、余力のあるうちに構造変化に対応しておかないと、徐々に打ち手の範囲も狭まって悪いスパイラルに入っていくパターンに見える(この辺りは当然理解されてると思うが)。
 
業界の勝負どころとして、以前は3〜5年くらいのタイムスパンをイメージしていたが、実際にはもう少し短く、2〜3年くらいと見るのが現実なのかもしれない。
 
現行の仕組みでは先細っていくとなると、代わりの流通を見つけてくるか、現行資産を別転用するかなどしか無い。といったところでどれくらいのことが出来るのか。
 
例えばの話として、このところ街中を歩くと、缶コーヒーのRootsの宣伝が駅ポスターなどで良く目に付く。しかも、芸の細かいことに駅ごとにセリフが微妙に違っていたりと思案の跡が伺える。このキャンペーンの是非や好き嫌いはともかく、こういったような手を打っていくのが、これから大事になっていくのかもしれないと思いつつ、缶コーヒーを飲まない私としては脇目で眺めてブランド認知はしつつも素通りしてしまうのだった。
 
漫画家としても描いていればよい、という時代は幕を下ろしつつあるのかも。

ちょいっと角度を変えた続き

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このエントリーへのコメント

7

WEBで配信というのを試している雑誌社もありますね。
印刷代、倉庫代、運送費等のコストが発生しないからだとか。

電子ブックの普及も今一だし、まだまだな気がしますが・・。

  きむこう on 2008/06/14

6

(表の)コンテンツ産業全体を見ていると漫画が明らかにテストベッドとして機能しているんですよね。崩れていくとなると、仰るとおりテレビやらなんやらに影響するんだろうな、と。一段コスト構造の安い同人とかが抜けたところをカバー出来るかと問われるとこれもまた微妙で。

  渡辺聡 on 2008/06/03

5

実情は、大手3社の編集部が情報共有をして、可能性のある漫画家を探しているものの、なかなかいないという状況です。従って、テレビ化、版権収入のアライアンスを業界を超えて構築した上で漫画をなんとか流行らせているという現状もあります。TV局のドラマもまた同じ構造に陥っています。雑誌社の収益源は週刊誌の売上ではなく、コミック化した売上。すでにコミックの売上自体でもまかなえなくなってきたということでしょう。付け加えていうならば、漫画は出版社の優等生。それが淘汰されるということは、出版社自体の淘汰の時代がこれから来ます。

  yassylucky on 2008/06/03

4

某コーヒーの路上宣伝はすでに大手出版社の遺産的著作権の範疇ですからいいとして
インターネットメディアでの漫画新人発掘・発表・連載・マルチメディア化というのが必要ですかね?

  porepore90 on 2008/06/03

3

>レコードという言い方もいい加減あれなのであるが・
20年くらい前になるのか、中野ブロードウエイ2Fのある店にいて、店員さんが「うちはレコード扱っていないから」と電話で応答していて、確かに見回してみると、CDとLD(DVDはなかった)ばかりで、ハットした経験があります。

常時接続とかしていない人なので、CDとかが法外に高くなければいいのにと思います。

//

  ルート134 on 2008/06/02

2

という、クリエイティブ集団とか新しい役割分担が出てくるんでしょう、きっと。そう思っています。

  渡辺聡 on 2008/06/02

1

あるいは、超売れっ子以外の普通の漫画家にもエージェントが必要になる時代に行く可能性もありますね。
そして漫画を描けるスキルを漫画雑誌以外のいろいろなところとコラボレーションさせていくという。

  いちる on 2008/06/02

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