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企業ポイントインフレと信任

2008/04/08 08:56
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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通貨投資に詳しい知人と、ポイント制度にインフレが起きているのでは?という議論をしていた。とはいえ、厳密な意味でのインフレの定義や測定方法がある訳ではない、体感としての議論になる。
 
状況としては、

  • ポイントの普及、発行額が増えている。実際、野村総研の推計では12年度には7800億という推定値が出るなど、着々と市場規模は大きくなっている。
  • 顧客獲得、販促目的と思われるボーナスポイントの発行機会が多い、多く目に付く。**をすればお得、みたいな話はごろごろしている。例えば後述のマイレージだと、ANAがSuicaとの交換開始で(これも単体として気になるニュース)、10%のレートボーナスをつけている。
  • 行き過ぎからか、サービス設計の見直しが続いている

というところからの総合判断となる。
 
 
三井住友カードのマイレージとのレート変更
 
例えば、最近気になったものとしては、こちらの記事にある三井住友カードのマイレージとのレート変更がある。これはいわば通貨価値の切り下げに等しい。
 
企業ポイントの提携関係を見ていると、マイレージが一種の基軸として機能している。利用場面の少ないポイントも、とりあえずマイレージに交換しておけばあちこちで使えるため、いわばドル持っていればまぁ世界中どこでも概ね使えるよね、という実際の基軸通貨のような役割を担っている。
 
となると、やはり上の三井住友カードのレート変更、

年度の交換手数料6300円を無料にするが、比率を1ポイント=10マイルから1ポイント=3マイルに下げる

は、やはり対ドルでの通貨価値切り下げと似てくることになる。
 
一般的に(というほど世界中の事例が十分かは議論があるが)、通貨の切り下げに伴って信任を失ってしまうと、格付けの低下や該当通貨での購買力の低下から経済にはマイナスに働く。加えて、格付けと経済の失速は更なる通貨価値の下落を招いて悪いスパイラルに入る。
 
三井住友カードの事例の場合は、主サービスがカード決済でありポイントはあくまで従のサービスであるため、ここまで深刻な影響は無いと考えられるが、お得感が下がることには変わりない。「せっかくポイント貯めてきたのに・・・」と思うユーザーが自然だろう。外貨のように為替レートの変更がありうる、との事前認識が無いならなおのこととなる。
 
 
ポイント制度の信任
  
さて、こうなってくると気になるのが、想定をもう一歩進めて「大手の発行体が破綻、あるいは維持できないほどの財務状態の悪化に至った場合にどうなるか」である。
 
国の通貨の健全具合はざっくりとまとめるとフローとストックの状態から測られる。簡単には輸出が好調で貿易黒字であり、財政が健全で外貨も積まれていると信用される(詳しくは資本収支や経済やインフレや多数のファクターがあるがややこしくなるので割愛)。同じく、企業でも基本はフロー=PLの状態とストック=BSの状態から・・・というのは一応セオリーになるのだがここではたとひっかかる。
 
ポイントサービスを利用する一般ユーザーが企業の財務の健全性をわざわざ見るかと問われたら、どうひっくり返っても普通は見ない。おそらく、直接紐づいているのはサービスブランドと企業ブランドの評価イメージだろう。
(同様に、為替取引をしている人もその国の信用度合いをチェックしている人はどれくらいいるのだろうか?) 
 
ポイントサービスについては、発行量が増えると財務への影響度が多くなることもあり、会計処理をどうするかも現在詰められている最中である。また、財務リスク項目になるのならディスクロージャーをどうするか、サービス利用のユーザーに健全性をどう伝えていくかという話にもなってくる。保険業のようにソルベンシー・マージン比率みたいなものを定めたり、FX業者で目下話題になってるように信託保全の仕組みを入れたりするのだろうか? 
 
などなど、黎明の乱立期から徐々にルール整備と適度な整理のタイミングに入ってきたのではないかと思われる。
 
という訳で、本日はプチファイナンステーマでのエントリでありました。アジア通貨危機なんかを振り返っているとこんなことに。
 

 
余談になるが、この前資本市場関連の資料を見ていると、通貨価値と人口動態の関連をまとめたものがあった、例外はあるだろうが、緩やかな正の相関となる。なるのなら、企業ポイントの健全性を測るサブ指標としてはユーザー数顧客数といったところになるのだろうか。このあたりももうちょっと考えてみたいテーマとなる。

余談の余談。こういうこともしていこう、ということで、日本株のスクリーニング例を公開してます。参考まで。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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