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HD DVD撤退の反応に見るメディアと市場の温度差
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いつ決着が付くのか、それとも長期化するのか、というVHSとベータの歴史を何度と無く思い起こさせていた次世代DVD規格の競争は東芝の市場撤退ということで一旦区切りがついた。
勝った負けたというフレームで見ると一応ブルーレイの勝利となる。しかし、少なからず聞こえてくるあるのが、「それはそれだけど、結局のところネットワーク配信がこれからの主流になるのでは」という声である。例えば、分かりやすいところで、シーゲートのCEOであるBill Watkins氏が、年頭CESで「勝者はBlu-rayでもHD DVDでもなく、ハードディスク」との発言したのがちょっとした話題を呼んでいた。
もちろん、言うまでも無く、ディスクドライブメーカーであるシーゲイトの立場からのポジショントークではあるが、それを分かった上でリアリティを持って受け止めてしまったというのが周囲の気持ちなのだろう。
という話もあるにはあるが、この構図整理は一種お約束みたいなものなので、この程度とする。今回取り上げたいのはそこではなく、東芝の決定と周囲の反応の構図が割りと面白かったこと、経営判断として記憶しておいても良いものなのでざっとまとめたい。
第一報への反応
雰囲気はニュースの検索結果からタイトルを斜め読めば概ね分かるだろう。踊っている文字は、失敗、撤退、責任、不満、戸惑いといったところになる。元々どっちが勝つかという対立勝ち負け構図でのフレーミングが多かったため、このようなまとめ方になるのは流れを受けて自然なところとも言える。
では、市場の反応はどうだったか。ロイターの記事を引くのがおそらく一番コンパクトだろう。ちなみに結論から書くと、ポジティブ。発表当日の株価もすっきり上昇している。
正式発表前の記事となるため、若干の前置きがコメントに入っていたりするが、こんなところとなる。
大和総研のアナリスト、佐藤雅晴氏は、ロイターの取材に対し、「HD事業撤退が事実ならば」と前置きしつつ、「東芝の業績はHD事業の動向が不透明要因になっていたが、それが払拭されることになり、2008年度以降の業績にはポジティブな動きと考える」と語った。同氏は、「悪い状況を引きずる最悪のシナリオの回避になる。西田厚聡社長をはじめ経営陣の決断の早さは評価できる」と述べた。
解釈としては、典型的な重しとしてのリスク要素が取れた際の市場の反応と言える。これまでのR&Dコストは決して重くないものの、撤退コストがそう大きくはならず、且つずるずると難しい戦いを長引かせて疲弊していくよりは遥かに良いというのがマーケットから出されたメッセージと言える。
厳密には、同じ記者会見の席でフラッシュメモリ事業の強化が発表されていることから、こちらもポジティブ解釈だったとすると、HD DVDの話は影響として半分程度とのざっくりの見方も出来る。しかし、少なくとも、ニュースでの悲観的な空気とは逆を行っているのは間違いない。この感覚は
「ブルーレイ・ディスク(BD)」方式との規格争いで敗色濃厚となり、早期に見切りをつけたことが、同社の「選択と集中」路線に沿った判断と市場関係者からは評価されたようだ。
良く分かる 。
メディアと市場、どちらが一方的に正しいというものでもないが、こうして見方が綺麗に分かれることも珍しくないという典型ケースとして。
東芝の戦略と動き
意外だったというか、はっきりと評価して見直さないとならないと感じたのは、今日発表されたソニーとの高性能半導体の生産合弁会社設立の話。もちろん、PS3のエンジンであるCELLも対象に含まれる。出資比率でみても、東芝60%、ソニー20%、SCE20%となっており、メジャーは東芝が取っている。
チップの層の競争と、最終製品の競争については別物なため、このような味方なんだか敵なんだか分からない構図に入っている会社というのは決して無い訳ではない。しかし、撤退発表の話も記憶から消えないうちに、(一般的な見方では敵方であった)ソニーとがっちり手を組んで事業を進めているというのは、部門が違うとはいえ、なんとなくなぁなぁで経営していては出来ない。最終的な数値評価は少し先の決算を見てということになるが、経営の手の打ち方と感覚としては評価したい。
ちなみに、レコーダー事業については記者会見の席で、
次世代レコーダーに関しては、「NAND型フラッシュメモリや小型HDDといったストレージ技術、画像処理技術、次世代CPU、ワイヤレス技術、暗号処理技術などをいかし、新たなデジタルコンバージェンス時代に適した次世代映像事業を行っていきたい」
というところで、DVD媒体ではない道を模索していくとのこと。BD製品を作るか否かという議論も一部であるが、むしろ、こうした新しい設計思想での可能性を模索する方が消費者利益に繋がっていくところかもしれない。
個人的な結論としては、製品市場での覇権争いには敗れたものの、経営の仕方としては評価したいし、今後どのような結果に繋がっていくのかはまた改めて見てみたいというものになる。手放し無条件ではないが、ポジティブとなる。
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