隙間シリーズでリテールマーケティングの話を書きたいのだが、前準備として、個人向け金融サービス周辺の話を幾つか。
◇
ある朝、仕事をしようとPCの電源を入れると面白いニュースが飛び込んできた。
201X年XX月XX日
東京メトロは全日本空輸株式会社(以下ANA)と推し進めてきた提携をベースとして、鉄道会社としては世界で初めて、スターアライアンスに加盟することを発表した。ANAとの間で実現していたTokyo Metro To Me CARDのメトロポイントの相互交換を他のスターアライアンスにも順次広げていくほか、座席のアップグレードサービス、メンバーラウンジの利用など、幅広いサービスの乗り入れを検討している。
・・・というのはもちろん、フィクションである。本当に実現するのかと問われると、鉄道会社と航空会社の業務や商流の違いなど阻害要因が多く挙げられる。ちょっとしたソーシャルSFというレベルのものと言える。
とはいえ、ポイントサービスを核とした相互の顧客紹介とサービス向上という基本目標を素直に捉えて行くと、流れによってはありえない話ではない。交通機関という広い枠でユーザーメリットを考えると、出てきても面白い。
FSP(Frequent Shoppers Program)とポイント制度
(優良)顧客との関係維持と、事業者間での相互紹介の試みは過去たくさん行われているが、最近はツールと制度の進化からポイントプログラムを介在させてのアプローチが目立っている。
要因としては、情報化投資が小さくまとめやすくなっていること、インターネットの普及によりユーザーコミュニケーションの方法が変わりつつあること、併せてオンライン販売が普及していること、携帯電話の普及とFelicaのようなプラットフォーム普及により(というよりは、主要プレイヤーの動きを見ているとFelicaプラットフォームの普及と言ってよい)、カード発行という物理制約がユーザー側から取れようとしていることが挙げられる。
長期的な効果として今後期待しているのは、携帯端末を中心としてのプラットフォームとサービスの統合になる。
昨今、町のパン屋さんから世界的大企業まで、なんらかのクーポンやポイントなど広義のFSPに関連したツールを採用している商店や企業は幾らでもある。あるのは良いが、あちこちでカードを配布されると、こういう細々としたものを管理してお得感を積み上げていくのを喜びとする豆な人を除いて、だんだん管理が面倒になってくる。
紙にハンコでも磁気カードでも店側が実現したいのは、
・顧客の認識(及び、利用状況の把握)
・認識した顧客へのサービス提供(ポイント利用のサービス還元)
・上記による顧客利用の頻度と単価向上
というところが基本となる。
この認証及びステータス管理は環境さえ整えば情報化出来る。とはいえ、プラットフォームとして何が良いか?という問題がクリアされておらず、少し形を変えた形として例えばセゾンカードがカード発行運営業務を他社にOEM提供しているようなパターンはあった。しかし、この形では「たくさんカードが増えてしまう」というユーザー側の問題は解消されず、統合認証や相互乗り入れという現在的な課題については十分アプローチ出来ていなかった。
Felicaプラットフォーム
というところで、Felica携帯が出てくるというのは今更確認するまでも無い。端末も一通り揃ってきたとはいえ、まだまだ新しい物好きがリサーチも兼ねて使っているという場面が目立つものの、カード機能の統合やお財布軽量化計画を実施しているというのを聞いたのは一回や二回ではない。
実際に使ってみての感想としては、紙カードよりもやはり使いやすく、利用範囲が広がる傾向がある。磁気カードだとわざわざ利用者登録をするのもと思っていたところでも、サービス利用を続けているところがある。
とはいえ、何もかも便利かと問われると、物理物体が無い分カードよりサービスを理解することが抽象的になる。また情報機器の操作を乗り越えないとならないので、リテラシーの有無に依存してしまう。難しい人には難しいだろう。自分の名前と利用履歴のハンコというのは、見たそのままなので分かりやすいが、アプリをダウンロード、あるいは会員サイトで登録をしてという作業が万人向けかと問われるとやはり厳しい面がある。
また、携帯の端末購入した際、ポイント移行の話や注意資料を何枚も読み聞きしながら感じていたのは「携帯買うのもややこしくなったなぁ」というもの。さすがに車や不動産というまでは行かないものの、チャージしたお金=ポイントを一旦事業者側に預けて移行準備をした上で端末切り替えをしてください、そうでないと失効してしまいますという事前注意を聞いていると、分からないからもういいやと言いたくなる人は確実にいるだろうというのは分かる。
マーケティング支援
さて、最後に少しマーケの話に引き戻して。
Felicaを使ってのマーケティングという領域は間違いなく出てくるという話を随分前からしていたが、電通とリクルートが株式会社DRUM(ドラム)を共同で設立して動いている。
電通は、従来から、広告主に対して販促領域も含めた統合的なマーケティング・コミュニケーションサービスを展開。この度の電子マネー技術を利用した販促ソリューションを組み込むことで、生活者のメディア接触から店舗への送客、購買まで過程を、コミュニケーションサービスとして広告主に提供可能になると見込んでいる。
一方のリクルートは、さまざまな生活消費領域において、メディアツールによる店舗集客や販促支援のサービスを提供。電子マネー技術により、付加価値のある商品やサービス提供が可能になるとしている。
このあたり、どれくらい動いていくのかもまた一個見ものとなる。
また、この話はひとつエアポケットを生むのかもしれないという風に考えていたりもする。このテーマは次回。
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