最終更新時刻:2008年10月10日(金) 23時50分

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NGNとユーティリティコンピューティングの隙間

公開日時:
2007/06/11 19:53
著者:
渡辺聡

世の中大きなテーマが動くと周辺に隙間や余分が多く発生する。需要のエアポケットだった場合はニッチ市場と呼ばれて目ざとい企業がさらっと取りに行ったり、構造的に需要が無くなるところだと整理撤退系の仕事が発生したりもする。
 
世の中周りを見渡すと、各業界「これがキーワードだ!」と囁かれているものは山のようにある。通信だったら筆頭にNGN、FMC。コンピューター系であればグリッド、ユーティリティ。ネット系であればWeb2.0、あるいはなんでも2.0などなど。(最近は携帯電話業界でもどうも使われているらしいと小耳に挟んでいるが定義としてはどのようなものになるのだろうか)
 
これらのテーマを眺めていて良く考えるのが、ビッグキーワード間の動きはどこでどのように揃うのかという点。例えば、本日タイトルのようにNGNとユーティリティはどこで出会うのか。棲み分けと組み合わせパターンはどのようになるのか。
 
やや唐突に脱線するが、放送と通信の融合と呼ばれるテーマはなぜ情報がキーワードとして前面に出ていないのか。通信に含まれるとするのか(ネットは含まれて考えられてる節がある)、情報技術は全体にまぶされてるからあまり気にしないとしてるのか、配信インフラ部分に注目フォーカスしているが故にやはり上位レイヤーに近いところは範囲外にされているのか。フレーズとしてはくどくなるが、放送と通信と情報の融合、というような表現になってないのが既に、たとえ意図していなかったとしても、調整ポイントを劣後させてしまうのではという印象を受けている。
 
 
サービス化する通信
 
必ずしも専門とは呼べないが、NGN周辺もちらちらと大きな動向くらいはチェックをかけている。まとまったレポートを幾つか見ていると共通して受けるのが、通信業界の範囲内を視野範囲としてとして物事を考えてるのではないかという印象となる。
(NGNの立ち位置と政治的な役割も含めて考えると、そうなる理由も分からなくはないが、話が主題から外れてややこしくなるのでこの場では割愛)
  
通信サービスを柔軟に受けれるようになる、契約体系も過去やりにくかったスポット利用などがもしかしたら可能になるなどという話はユーザーにとってはメリットになる。この辺などは良い。
 
インフラの更新という切羽詰った問題に加えて語られる、通信をサービス化する、サービスバンドルを行うという「賢いネットワーク」という表現がある。この言葉が指すものをお隣からガイドラインをさらっと借りると、いわゆる電話サービス以外にこのような表現がでている。

B)インターネットのアプリケーションに近似したサービス
・マルチメディアサービス(テレビ電話、ゲーム、テレビ放送の再送信等)
・インターネットアクセス(インターネットのインフラとしての利用)
C)VPNなど企業用途向けのサービス
・その他(VPN、ファイル転送、センサーネット等)

ばっくり書くと、現行インターネット上で様々提供されているものや、地デジやワンセグで視野に入っているものが含まれている。
 
このあたり、類似サービスが近接業界から出されているものの採用選定する事業会社はどのような基準でサービスの購入先を決めていくのが良いのか。実態がはっきり見えてないもののことを考えるのはやや早計という指摘も可能だが、いずれ出てくるだろうと考えると気になるところである。
 
 
反対側でのユーティリティ
 
オチは既に書いているが、ユーティリティ側、つまり情報の側の話を少しだけ触れておきたい。
 
米Amazonの提供するユーティリティコンピューティングサービスの記事があり、なんとなく眺めていた。記事内容自体は各所で語られていることのサマリであり、新規性という面では特にない。Linuxカンファレンスレポートのひとつの切り口として紹介されている。
 
サービス会社であり、もっと原点を辿るとオンラインの小売業であるAmazonがコンピューティングリソースの提供を行っているという構図も既にひとつ面白い論点ではあるが、ここは触れない。
 
二箇所ほど引くと、

「アマゾンが取り組んできたユーティリティ・コンピューティングはすでに現実のソリューションとして完成しており、サービスの形態でユーザーに提供されている」

「ご存じのように、ユーティリティ・コンピューティングとは、電気、ガス、水道といった公共サービスのように、コンピューティング・リソースを利用できるようにするモデルである」

のあたりだろうか。これらも目新しいものではないが、1)既に稼働していること(NGNは商業ベースでは実稼働していないと言ってよい)、2)比喩表現として公共サービスが出ている、というところを考えると、見ているフィールドは上記NGNの引用箇所とそこかしこが重なって見える。稼働してユーザーもいるというのは地味に強い。
 
もちろん、通信サービス部分は競合しない山の向こう海の向こうに自分の契約しているコンピューティングリソースがあるとして、どうやってそのリソースプールにアクセスするのかと問われたら、まさかいまどき物理媒体を持ってセンターまで行って帰ってくるなどと悠長なことは普通しないだろう。ネットワークを組むに決まっている。
 
このネットワーク部分は通信業者が提供すると考えるのが普通だろう。
 
が、上に乗るサービス部分はどうなるかと言われるとやっぱり分からない。現時点で予想的な切り分けを行ってあたりをつけることは出来ても、実際世の中がそうなるかというのは予想レベルでしか読めない。加えて、国によっても異なってくるだろう。
 
 
利用者の意思決定
 
改めて繰り返すが、ユーザーは何がしか選ばなくてはならない。通信は通信、情報は情報とどうも言いづらくなりそうな気配だけ出ているのが現時点となる。また、最終的にどこに落ちていくかは業者間の競争だけでなく、政治行政レベルでの調整も出てくる。更に加えると、産業政策が出てきたとして、出てきたものが絶対的に正しいとは限らない。各国産業政策で失敗したものがあるのは言うまでもないところである。(もちろん、素晴らしく良かったものもある)
 
という、複数業界と上位の政策層をまとめて眺めて考えるのが面倒だからなのか分からないが、個別のビックキーワードの語られ方に比べると、使う側が現実ぶつかるであろうこうした問題についての議論はほとんど耳にしない。
 
第三者の余計な杞憂で終わったら良いのだが、どうもそうは簡単には収まらないんじゃないのかというのが個人的な見立てとなる。企業のコアプロセスは表に出てこないものなので、メディアでは語られてなくても現場はふうふう言いながら対応しているなんてことは情報関係では珍しくない光景だけに。
 
さしあたり汎用的な打ち手としては、リアルオプションも含めて長期計画を立てつつも契約はあまり長期ではしないというくらいになるのだろうか。読めないものは無理に読もうとせずに柔軟性を高めて対応するというのもひとつのアプローチとなる。
 
こうなると、単なる技術管理や優位比較というものではなく、長期の管理ガバナンスをどうするかというこれまたあまり取り扱われてない問題にぶつかる。前回ガバナンスフレームを紹介したが、この手の体系の実務導入は難しい。情報と経営と財務を繋げて整然と動かせるというのはかなり組織体として力がいる。
 

 
などというエアポケット的な話は昨今あちこちに転がっている。生かすか逃すかは、まず見ているかどうかがスタートライン、次に見た上で適切に考えて事業方針に落としこめているかというところになる。
 
あちこちの会社にお邪魔していて肌身で感じるのは、見た上で自分たちなりに考え、且つ世の流れに棹を差さない設計に落としこんでいくというのは、なかなか難題であるということ。これがコツです、というような表現方法というのがるだろうか?と自問しているのだが、いまのところ、チームのスキルセットをきっちり揃えることと、意思決定とガバナンスを周囲のステークホルダーも含めてしっかり取りまとめられるように環境整備しておくというくらいしか思いつかない。
 
外から見ていると、新規性が勝負軸と思われているものでも、蓋を開けると全体の統括力が肝だったというのは、感じ取っているよりも多いのかもしれない。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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