最終更新時刻:2008年7月19日(土) 13時00分

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制度運用コストと制度メリットのバランス

公開日時:
2007/04/05 09:49
著者:
渡辺聡

縦串シリーズの続き。
 
個人情報保護法、システム安定稼動保証、SLAなど関連するものは多いが、ある仕組みを導入するコストと効果想定の問題及び、なんらかの理由で入れなきゃならない具合のバランスをどう取っていくかというテーマ。
 
物凄い余談になるが学生時代はこの視点を政策レベルで詰めて行くのが専門領域だった。よって、法律系も同じような視点で再解析していたのでメタ運用みたいな話ばかりになってしまい、なんだか変なことになってしまっていたのが当時の友人一同達である。
 
例えば、小さいところから話を始めると、プロジェクト管理、事業管理をするにある程度フォーマットに嵌めてしまうと品質維持の保険がかけられる。しかし、チームがやり方に慣れておらず、リソースが不足気味で動いていたりする場合は形式に嵌めすぎると却って処理速度が落ち、管理する方も大変になるため、適度に省略出来る管理項目は落としてしまう方が理に適っていたりする。。
 
世のプロマネのみなさまもこのさじ加減をどの程度にするのか、その折々のメンバーの顔ぶれを見ながら思案されてることだろう。
 
 
リスク管理の要所
 
とはいえ、こういう前向きな手抜きが出来るのは対外的な説明を厳密に行う必要が無く、且つどこで手抜きしても最終品質には影響が出ないのか実行効果の勘所を押さえながら動ける場合だけとなる。がっちりと作りこまないとならない場合は取りにくい選択だが、プロジェクトの要所要所のアウトプットはこうして適度に力のかけ具合を調整して投資効果を引き出しやすいように動いている。
 
法務系のBlog「ビジネス法務の部屋」に目を通していて、コンプライアンスをテーマに予防とリスク管理、どちらを重視するのかで解釈(と動き)が変わってくるという指摘がされている。

法令遵守というものが、企業不祥事を未然に防止することに主眼を置いたものであるならば、形式的な遵守体制の整備と違反者に対する責任追及の厳格化、といったところに企業の体制整備の力点があると思いますが、コンプライアンスはリスク管理の一種である、と捉えるならば、企業は関係者の責任追及とは別に、発生した不祥事をどうやって早期に発見するか、その不祥事の損害どうやって最小限度に抑制するか、といったところに力点が置かれます。

不祥事あってはまかりならんという方向で臨めば、がちがちに嵌めるほうに向かう。ゆれ戻しの話が出つつある米国SOX法も当初はがちがちなところから始まっている。
 
とはいえ、「いくらなんでもやりすぎではないのか?」という制度運用の柔らかさを求める声と、一律に全ての不祥事を同じレベルで事前管理するのは割に合わないという現実から(及び、そもそもの積極的なリスク管理の発想から)、落としどころの再調整が議論されている。
 
 
制度間のバランス
  
以上を簡単にフレームワークとして受け取ったとして、運用を考えるとややこしくなるのが、こういったような問題系に当たるとき。

不二家のCSR経営と不祥事との関係などは、このたびどう扱われたのでしょうか。環境問題への配慮から、できるだけ商品廃棄は避けよ、といった社訓が徹底されていた場合、その社訓にしたがって消費期限切れ商品を捨てられない風潮があったとか、労働問題への貢献策として「再雇用の積極的利用」を謳っていた不二家として、工場労働者が昔の勘に頼りすぎてしまい、消費期限を無視していた、といった意識があった、といったケースはなかったのでしょうか。

文中では事例的な分かりやすさから不二家が挙げられているが、この文章はほとんど汎用テンプレートと化している。雪印でも似たようなことは言えてしまうだろうし、流通小売や外食においても使えてしまう。
 
最近も数件不祥事系のニュースが報道されていた。一部はあからさまに利用者を騙していたもの。一部は明確は悪意は無かったものの、業務管理上薄いところがあり、善意とも言い切れないというもの。前者については議論するところは無いとして問題は後者。 

私利私欲をむさぼる経営者不正以外における企業不祥事といったものは、不正を犯す目的と、もうひとつ、自らの行動を正当化するに足るだけの別の目的があるはずです。(このことは、すでに「コンプライアンス経営はむずかしい」シリーズでも、何度か取り上げました)この不二家事件におきましても、現場で消費期限切れ商品を(おかしい)と知りつつ使用し続けていた裏には、何かこういった正当化(もちろんそれが世間に対して正当なものとして、通用するものでないことも事実でありますが)する原因があったのではないでしょうか。

次の決算の数字が出ないと予測がついているとき経営者は事業部長クラスはどう考えるか。営業目標に数字が届かなくて首がかかっている営業担当はどう動こうとするか。設備資産を大事にちゃんと使い切ろうという文化が事故率や環境負荷を高めているとなるときにどう仕切りなおせばよいのか。
 
案の定結論など単純には出せないのだが、責を負う場面を想定すると重い。まずありえない仮定だが、不二家の再生を責任ある立場で関わるとしたらどのように振舞っていくのが良いのか。そのような可能性が自分や知り合いの誰かにあると想像すると、どのような立ち位置で出来事を評価していけば良いのか。安易に叩いてカタルシスを得ていた翌月に友達のお父さんが責任を負う立場になったとして、その友達にどのような顔をして会いに行けば良いのか。
 

 
なお、蛇足だが本エントリは不二家に温情を、というのを暗に言いたいものではない。当事者及び周囲の事後対応のプロセスとしてどういうものが望ましいと言えるのか、事業の健全化を目標とした場合の制度運用と制度設計についてなんとなく呟いてみるというのが意図とんっている。
(合わせて、更に話がややこしくなるが、安易にTBS批判を意図したものでもない)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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