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CNET Japan ブログ

コンプライアンス対応の補助線

2007/03/28 01:46
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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ある出来事を見るに、出来事の中身より周囲の反応の方が大事ということがしばしばある。ライブドア、日興コーディアルと並べられて語られることの多い二つの事件だが、これらも同じように裁判の内容是非よりも、コンプライアンス関係のテーマ事例として解釈した場合、どのような各所で受け止め方をされているのかを気にして見ている。
 
 
日興の上場維持とシティのコンプライアンスコスト算定
 
仕事案件のヒアリングで金融関係の方に話を伺っている最中に、ガバナンス構築やコンプライアンス周りに積極的にお金を出す(日本)企業はどれくらいあるのかという話題が出てきた。例えば、制度化されなかったとしたらどれくらいの支出が予定されていただろうか。この話題の反対側で思い出していたのが、日興シティの件。
 
結局、紆余曲折の末に日興コーディアルグループは上場維持となった。単純な買収価格を見るとシティの負担は増えることになるが、実は全体では上場維持してる方が安くつくのではという見方もある。帳尻合わせになるのはコンプライアンスリスク。上場した状態を維持することでコンプライアンス上のリスクを落とす効果で買取価格が上がった分はお釣りが来るというものになる。裏取りが出来ない以上推測の域は出ないが、事実として当たっていても違和感は無い。
 
ちなみに、最終的にどう転ぶかは分からないが、ライブドアに対して外からの訴訟としては、郵政公社の10億フジテレビの345億というのが目立つところとなる。
 
これらの事例が標準的なものか問われると議論の余地は残る。とはいえ、雪印不二家などの他の事例に置いても消えた傾いたというレベルで問題化していることを考えると、コスト感規模感において、極例とも言い切れない。
 
  
最適投資額と投資の質を如何に判断するか
 
さて。では何をどれくらい手間隙とコストをかけると最適と言えるのか。答えとしては、考えるまでもないが判で押したようなものはないだろうというのが結論と考えている。参考モデルみたいなのは作れるかもしれないが、システム投資額もやり方によって大きく変わるように、公式に当てはめたら出てくるというような単純なものは無いだろう。
 
算定を行うなら、個別事情に鑑みた上で、やらなかったら失われる可能性のある損失額から導いたリスク管理費用と、ぐるっと回って得られる効率化の二点を合わせて出すいう物凄くスタンダードなプロセスに嵌めて出していくことになるだろう。
 
ここでずっと気になって探っているのが、効率化の方向性。いろいろと話を聞いているとやはり、純粋なコスト要因と考えられている場面ばかり耳にする。これは分からなくは無いが、上から下まで設計に関わっていると、少なくともそうは言えない面もあるのではという思いが強くなる。感覚理解が先行しており、まったくもって定式化は出来ていないが、おそらく、単に制度化されたから対応しなきゃいけないという税金のような発想ではなく、財務からオペレーションにかけての効率化に向けての施策の打ち方があるはずである。
 
というよりは、単純な心情も含めて、せっかくやるのなら積極的にメリットを取りに行く道筋をつけたい。同じ投資でも出し手の動きでリターンの質は大きく変わる。
 
 
IT投資と企業業績の関係
 
などという問題意識でいるとこの記事に目が止まった。

IT投資の質とリターンは組織オペレーションの質と支える文化によって変わってくるという実証研究のサマリとなる。

 組織能力を測るには、「組織IQ」という概念が有効である。組織IQは、ヘイム・メンデルソンとヨハネス・ジーグラーの著書『スマート・カンパニー』(ダイヤモンド社)で紹介されている。組織メンバー個人の知識やスキルではなく、組織全体として意思決定の仕組みやルールが整備されているかどうかに着目した概念である。

 我々の分析によると、組織IQが高い企業と低い企業で、IT投資の成果には差があることが分かった。組織IQが高い企業のグループでは、IT投資額が多い企業ほど利益率が高くなっている。一方で、組織IQが低い企業のグループでは、IT投資額が多くても利益率は高まらず、むしろ多額の IT投資が業績を悪化させている傾向がある(グラフを参照)。

手元にはこの記事以上の情報はないが、プロジェクト管理や組織評価の現場で見ている体感と合致する。
 
同じような体制とチーム構成で臨んでも、発注側の動きと癖でプロジェクトの質は大きく変わる。受注側にも発注側にも、作業者にもプロジェクト管理者にも監査的な立場にも立ったことがあるが、受注側にいるときは発注要件や一歩上に行って事業計画の意思決定のところをなんとか調整かけられないのか、どこをどう解いたら今のプロジェクトのスタートラインとして適切なものになるのかを考え続けていた。
 
事業計画を含めてビジネス層周辺のところに手が届くようになると、日常的なオペレーションの質やガバナンスの質、組織の癖とテクノロジー投資の関連が分かるようになってきた。業者や現場がどう動くかという話の前に、あるいはその後にやることはたくさんある。実際予算に含めるかは別として、傾向として、上流をケチる会社はその後安物買いの銭失いの言葉通り、後手後手の追加投資に追い込まれているケースは珍しくない。そして、関わった案件では実は早い段階でその指摘は、有形無形プロジェクト内でされていたりする。
 
根っこの根っこを追っていくと、責任は重くなるが発注側経営サイドに近いところから体制を作っていくのが問題を解くには一番良い。
 
 
オペレーションを支えるもの
 
という話がコンプライアンスとコントロールとどれくらい繋がるのかというところであるが、とりあえず前回の冒頭文だけ触れておきたい。

とある内部統制プロジェクトの状況を専門家の方と意見交換をしていて、どうも話している内容が何かに似ているという感じがしたためあれこれと探っていると、大規模システム開発、特にERPシステムの導入プロジェクトと構図が似ているという話に行き着いた。

だからといって、全てすとんと繋がるとは思えないが、まぁ何がしか共通項は出てくるだろう。
 

 
補助線を引くのなら、企業の縦串シリーズこのあたりだろうか。
 
追伸:
などと書いていると、類似の趣旨の記事があるのを見つけた。

非常に地味ではあるが「内部統制の整備」によって、会社業務の改善につながっている。これらの例から、内部統制構築は法律対応までの短期プロジェクトではなく、会社が存続していく限り継続すべきもので、継続するうえで、様々な経営の改善策の発見につながるということが言える。

実務家の端くれとして、ボード経験者の端くれとして強く賛同したい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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