書き物や本業の事業支援系の仕事が切羽詰ってくると、時事テーマをそのときのタイミングで切り取ってまとめるというところにエネルギーを割くのがどうしても後回しとなってしまう。というところで、ここしばらくフォローのしてなかったテーマを順番に。
まずはタイトルの通り次世代ゲームプラットフォームとしてようやく両者共にベールが取り払われて比較しやすくなった二つについて。
立ち位置の違い
年末商戦でタイミングがぶつかるということや過去から紡がれた両者の歴史を踏まえて、WiiとPS3は同種のものとして比較されるのが通例となっている。両方ともゲーム機と銘打って出されるので、この反応は当然といえば当然ではあるが、中身を見ているとあまり比べてはいけないものでもある。
両者は(あるいは、場合によってはアップルのiTVを加えても良い)は、ホームエンターテイメントで良いポジションを確保したいという大きなところでは市場を同じにしているが、純粋にゲーム機として作っている任天堂と、Blu-ray Discの対応プラットフォームをなるべく増やしたついでにBRAVIAもたくさん売りたいと考えているソニーでは立ち位置と戦略上の位置づけがまったく違う。
個別製品の話は十分されてるだろうことから、このあたりを少し掘り下げてみたい。
ライトユーザー向けエンターテイメント
Wii及び、路線としては類似になるDSでも任天堂が強く意識し続けているのが以下のテーマ。
・ゲーム人口を拡大する
・毎日電源を入れてもらえる
・狭義ではゲームじゃないものを積極的に取り込む
・処理性能のスペック向上を進化のベクトルにしない
この辺のテーマは全体像が初お目見えとなったWii Previewのプレゼンテーションでも扱われている。
(商品発表の方法とメディアコミュニケーションでも、任天堂のアプローチは面白いが本稿では割愛)
具体的な動きとしては、脳トレやえいご漬け!、お料理ナビといったラインナップが揃えられ、Wiiでも同じ方針が採られている。
また、フォトサービス、天気、ニュースなどを初期パッケージとして開始されるチャンネルと命名されたサービスは、ライトユーザーに向けへの最大公約数で必要なサービスを取りまとめたものとなっている。最終的には実機を十分に触って判断したいが、安心して簡単に使えることにフォーカスして作っていることがデモ映像からも窺える。
複雑になりがちなネットサービスをごくごくシンプルな形にパッケージングして上手く普及したmixiのように、ヘビーユーザーではなくなるべくたくさんの人に日常的にWiiに(あるいはDSに触れてもらい)、延長線上でゲームも楽しんで貰えればという導線設計になっている。
その先に、大画面で綺麗な映像の映画を見て欲しいという狙いは、少なくとも今のところ無い。またハードウェアスペックからしてもこの先加えられることは無いだろう。AV機器としての意識が強いPS3とはこの点で大きく異なる。
あるとすれば、むしろネットサービスとの競合の方になる。PCを使うことが障害になっているユーザーに、専用機として届けられるWiiが今のネットユーザーとまったく違う市場を捉える可能性は十分に考えられる。
うっかりしていると見過ごしてしまいそうになるが、そのための窓口も(Wiiのチャンネル)、連動して動く携帯端末も(DS)、決済(バーチャルコンソール)もさりげなく揃っている。実際に舵を切るかは現時点では見えない。ただ、ヘルスパックなどを見ていると視野に入っていると考えた方が話の整合性は取れる。
総じて、広い意味でのゲームを中心にして、ライトユーザーを強く意識したエンターテイメントボックスに仕上がっているのがWiiと捉えられる。
(この辺りのテーマについては、カイ氏伝のWii関連エントリでも詳しく掘り下げられているので是非)
ソニー的王道エンターテイメントを歩むPS3
対して、PS3はソニーの未来を詰め込めるだけ詰め込んだ作りとなっている。
・cellチップ
・Blu-ray Disc対応
・いくらでもハイエンドゲーム
・HDMI出力端子、AVマルチ出力
・Gigabit Ethernet
と、スペックを伸ばしきってその先に何が出来るかというのをこれから改めてまた考え直すというくらいのものになっている。ソニーらしいと言えば非常にソニーらしい。
ブラウザ、詳細は分からないがゲームデータや将来は映像コンテンツも取り扱いたいと予定されている「PLAYSTATION Store」、フォトプレーヤー、ミュージックプレーヤーと上記のスペックも合わせるとゲーム機というよりはハイスペックAV家電としての機能がどうしても目に付く。
CEATECで現物を見た平田さんが
PS3 を買う人は、BRAVIA Xとか、金に糸目をつけずに、とにかくフルHD パネルを用意したほうがよさそうです。そうでないと PS3 の性能を活かすことができません。
とコメントしているが、PS3の性能を出し切ろうとするとオーディオからディスプレイまで十分なスペックが求められる。
その辺りは当然、「せっかくだからソニー製品を買ってね」という話以外の何者でもない。フラットパネルが一般家庭に普及しはじめ、地上波のデジタル化もいろいろ議論を残しつつもカウントダウンに入っている。DVDの規格も入れ替わり、高速回線を生かしてのコンテンツサービスもどこまでやろうかという現実的な範囲を定めて動く時期になろうとしている。
このあたりの放送とコンテンツ周辺の動きを思い起こして補助線とし、PS3と繋げた方が諸々のスペックは理解しやすい。
人によっては、「そういえば、これってゲームも出来るんだよね」との勢いで、手軽に買えるBlu-ray再生マシンと見てしまう場合もあるだろう。ゲーム機ではあるが、ゲーム機のその先に焦点が据えられているのがPS3となる。ソニー全体から見ると、ゲーム機であるというのは目的ではなく手段といっても良い。むしろ、先々はWiiよりも、特に米国ではアップルがどのような動きをしてくるのかの方が課題になるかもしれない。オンラインでの映画音楽のコンテンツ販売では彼らの方が一日の長でありユーザーシェアを抱えている。
とはいえ、どちらもゲーム機ではあることに変わりなく、発売日の近さもあり両方買う人は多数派ではないだろう。お財布とリビングスペースの置き場所のシェアを考えると両者は真っ向ぶつかる。ぶつからないがぶつかっているという現実は、もしかしたら当事者が一番悩ましく思ってるのかもしれない。
余談的にPCの立ち位置
余談になるが、WiiもPS3もSNSとまでは行かないがコミュニケーションサービスを準備している。Wiiはチャンネルとも連動しているWiiConnect24やリモコン(コントローラー)に入れて持ち運べるアバター的サービスであるmii。PS3では、メッセージングやチャットの行える「フレンド」機能が搭載されている。
これらは、オンラインゲームや、オンライン越しの対戦などで使われるものであるが、フォトサービスなどと組み合わさるとBlogやSNSで提供されている友人知人とのコミュニケーションや情報の共有をある程度代替するものとなる。
ネットサービスのヘビーユーザーからすると、物足りないものと見えてしまうかもしれないが、「ネットもPCも難しくて良く分からない」というユーザーの方が数からすると多い。そもそも機器を使うことに抵抗のあるPC系のサービスと異なる市場を開いていくのではという期待も微かにしている。
もし、大きく普及することになると、オンラインサービスのシェアと力を持つメディアはどこになるのか。やや想像を逞しくしすぎの感はあるものの、シナリオを組んでみると面白いところではある。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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