最終更新時刻:2008年7月25日(金) 21時03分

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GoogleのYouTube買収と日本のテレビ業界(2)

公開日時:
2006/10/11 16:01
著者:
渡辺聡

映像(配信)の方から続きの話をお願いされてしまったこともあり、テキパキと前回書けなかった日本のテレビへの影響についてを。
 
問題としたいのは、日本の放送メディア及び関連の広告ビジネスの関係者にとって、このディールは本当に対岸の火事なのだろうか?ということにある。
 
外形だけみれば、
 ・米国市場の話であり
 ・放送ではなく、ネットの話であり
 ・動画とはいえPCを中心とした世界であり
 ・コンテンツのサイズ、企画も異なり
とあまり関係ないという見方も出来なくは無い。しかし、合法違法は別としてYouTubeのコンテンツの少なからずの部分が日本からアップされており、ユーザーも一定数ついている。加えて、知人とのやりとりでも出て来たが、日本語の広告が増えている。日米のデータトラフィックの6分の1がYouTube関連などというデータがあるというのは先も触れた通り
 
つまり、まだまだサイズは小さいものの、コンテンツと広告の流通が米国のサービス事業者に持って行かれていることになる。
 
 
メディアの身体感覚の違い
 
「いやいや、テレビとPCはユーザーの利用感覚や視聴形態が違うよ。テレビが直接食われる訳ではない。」 このような声もしばしば聞く。確かに、この言葉には強く賛同する。大画面に向かってリビングでリモコンをぽちぽちやっているときの感覚と、机に座ってPCの前でマウスをカチカチやっているときのメディア感覚は異なる。コンテンツとの距離感も異なる。

しかし、機器的にはデジタル化が進み、言われて久しいホームネットワークへの動きも亀のごときではあるが進んではいる。デスクトップを中心としてではあるが、PCでテレビのコンテンツを受け、ソフトウェア的に放送映像を取り扱おうと思ったらちょっと奮発して高めのデスクトップを買えばすぐ手に入るものである。IPネットワーク経由で落としたコンテンツをPCなりストレージに貯めておき、HDDレコーダーからリモコン経由で呼び出すというのは、実装普及はされてないが、やろうと思えば技術的にはもう普通に出来る。

となると、テレビとPCは違うというのは、本当に視聴形態の最後の差だけしか無いのかもしれない。そして、その差は今の産業規模を説明する説明ロジックとしてどの程度使えるものになるのか。

言うまでもないが、見え方としてのサービスが同一であれば、一般ユーザーにとってバックエンドの実装やインフラはどうでも良い。何をどう見られるのか体験出来るのかだけが普通のユーザーの判断ポイントになる。放送だろうがストレージだろうがストリーミングだろうがP2Pだろうが何でも良い。
 
 
グローバル化するメディアビジネス
 
昼にお会いしていた上記の「映像(配信)の方」とも話をしていて話題に出たのだが、今回のM&Aはグローバル化しつつあると同時に産業間での競争構図が鮮明になりつつあるメディア及びメディア周辺ビジネスの現状を掬い取ったものに見える。特に日本側から見ていると強く思う。
 
80年代をピークに製造業のサプライチェーンはグローバル経済対応を強力に推し進めた。良く言われたのが米国でマーケティングを行いアジアで作るナイキだったり、最近だと中国に生産能力を移転する話、ソフトウェア領域だとインドへの開発アウトソーシングなど類例には事欠かない。
 
世界中でもっとも有利な条件で資材調達を行い、有利な国で生産し、もっとも高く売れる国で売る。最近では漁業でも、獲った瞬間にもっとも高く売れる市場がどこかを調べて売り先を決めるようになってきている(築地市場の立場はどこへ)。
 
コンテンツ制作の流通制作を中心にして、メディアビジネスも国を越えての最適化が普通になってきているのではということ、更に距離の概念が希薄なインターネットという配信媒体が有効になると、相互乗り入れは容易になる。最小で考えると、サービスサイトのローカライズだけでグローバル対応が済んでしまう。
 
日本の御家事情で出来ないことを米国市場で行われて、ユーザーがその方が良いと受け入れれば、広告スポンサーも同様にそっちの方がマーケティングとして効果が高いと判断すると、産業の空洞化が意外な形で起きる。
 
※とはいえ、ビジネスプロセスのリストラクチャリング、リエンジニアリングというのはこうやって起きるものでもあるので他の産業を見ているとさして珍しい現象ではない。
 
今日明日にというのではもちろんないが、シナリオの端っこしては有り得てしまうというのが買収のニュースを聞いた瞬間に思い浮かんだことだった。
  

 
Yahoo!やMySpaceなどとの競争関係がどうなるというのは、考えればいろいろと浮かぶ話であり、それはそれで複雑怪奇に面白いところではある。とはいえストレートな議論でもあるので、順に整理して追っていけば良いところとなる。
(ちなみに、リスクファクターは綺麗に整理されたものがある)
 
「僕たちはニュートラルだ。テクノロジー供給が使命でメディアのことは関係ない」と言いたいのかどうかは本人たちの本音を聞かない限り分からない。また、先も書いたがどのようなリスク算定と対応戦略を組んでいるのかも分からない。しかし、判断フレームとしては、もはやハイテク産業ではなく、メディアビジネスのロジックの方が大きくなってしまっていると思わざるを得ない。
 
Google+YouTubeにTerry Samelが果たしているかいないのか。

追記:
先ほど自分のBlogを読み返していて触れてなかったことに気づいたのですが、

まだ発表から一月経ってないが、Appleの経営陣にGoogleのシュミットが加わっている。

(中略)

Googleがビデオ広告サービスに力を入れていること、MTVのコンテンツを配信するなど、単に広告ではなく、コンテンツ配信ネットワークとしての使い方も模索していることは忘れたくない。



Googleから見ると、アップルはコンテンツのバイヤーと捉えられる。

間接的ではありますが、AppleとYouTubeの導線もうっすらと引かれてる訳です。
 

 
関連シリーズ:
GoogleのYouTube買収と日本のテレビ業界
GoogleのYouTube買収と日本のテレビ業界(2)

遠くで関連:
映画ダウンロードサービスの先に見えるAppleとGoogleの提携関係

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