浮いては沈み、忘れては思い出しという感じでずっとひっかかっているテーマがある。インダストリアル・デザイナーのDavid Tonge氏とも話をしていて出てきたのだがハードからソフト、一部はコンテンツにまたがって情報デザイン、もしくはエクスペアリエンス・デザインという仕事をしている人をどう呼称すればよいだろう?という話となる。
例えば、Ajaxを使って動的な画面設計をしつつ、コミュニケーションデザインをページに盛り込んでいる人はプログラマーかデザイナーかなんなのか(役割としては両方が入り混じっている)。
LAMPにせよ、Web2.0にせよ、ロングテールにせよ、適切な名があることは物事を理解する助けになる。実体があってはじめてという原則はもちろん消えることはないが、カテゴライズや括りは大事である。
デザインという言葉の限界
本当は、デザイナーという言葉が使えれば一番良い。元々の英語のニュアンスからしても間違ったところではないだろう。しかしデザインというカタカナ日本語はどうも見た目の話、綺麗でかっこいい物と作り出すという視覚的や美的センスのニュアンスをどうにも持ってしまっているので、機能性やユーザビリティという観点が少し薄くなってしまい理解がぶれる。
中間的なところだろう情報デザインという言葉の説明のされ方を幾つかのページから抜いてみる。
知能情報デザイン研究室の「情報デザインとは」より。
情報デザインとは、グラフィックデザインのように物事の〈ある側面〉をデザインするといった事ではなく、それをも内包する統合的・総合的なデザイン行為である、と言えます。具体的に言えば、情報の収集・整理・分析・提案・実行・結果分析というプロセスやビジネススキームまでもが情報デザインといえるでしょう。
定義としてはこの辺の書き方が標準的なところだろう。プロセスまで踏み込むかどうかは定義する人によって分かれるところになる。狭義の情報デザインでは配置設計の方に重心が置かれる場合が多い。
ラプラス取説研究所の「情報デザインが求められる理由」より。
情報デザインの本質は「読み手/聞き手が理解しやすいように、対象を変換(翻訳)して表現する」ことにあります。「情報デザインとは、情報を図などの形式で視覚化することである」(それは単なるインフォメーション・グラフィックス)ということに限定したところで、視覚的にわかりやすく魅力的な情報としてまとめるには、こみいった対象から要素を抽出して相互関係を的確に把握・構造化するという前段階の作業が、(無意識であっても)必要であることに変わりありません。
こちらは作業プロセスの位置づけ確認が少々。
いずれにせよ、なんとなくの話は分かるが、ちょっとフワフワしているところもある。例えば、車の搭乗者向けの機器配置やインターフェース設計、合わせてカーナビの設計といった課題を取り扱うには上記の定義から進むにはちょっと心許ない感覚がある。
インフォメーション・アーキテクト
デザインという言い方も良いが、もうちょっと仕事の実体に近づけたい、単なる見た目の問題ではなく、ユーザーにとって使いやすいかどうかという視点を入れ、手で触って動かしてみるところまでを表現した言葉は無いかと議論をしていて、仮ではあるが、デザインではなくアーキテクトという言葉を置いてみようというところで一旦落ち着いている。
情報機器は言うに及ばず、家電にしても、中にはソフトウェアが組み込まれているのが普通であり、裏側の制御に留まらず、インターフェースがソフトウェアになっている製品は徐々に増えている。例えば、冷蔵庫に液晶画面があり、ちょっとした音声メモが取れたり内部の温度設定を変えられたりするものがある。最近のマンションだと給湯設備は風呂と台所セットで統合管理されているのが普通だが、この管理インターフェースも風呂場と台所に共通してあり、ステータス表示をする液晶と操作ボタンという組み合わせが良く見られる。
ハード面に限定されない範囲で、これらの製品群の使い勝手の向上と利用価値を引き出しやすくする設計をしていく人たちの仕事の重要性は確認するまでもない。しかし、適切な名が無いのは伝統的にハード重視で伸びてきた日本の産業の癖を反映しているのか何か分からないが、役割と可能性に光が当たりにくいことになる。
という訳で、また良い呼び名が出てくるかもしれないが、ひとまず「インフォメーション・アーキテクト」という呼称をここに記しておきたい。
◇
ただし、抽象語の掛け算なので、いよいよ持って何を対象とした言葉なのかはっきりしないことは難点ではある。
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