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AMDとATIのディールに見る産業の擬似垂直構造への可能性

2006/07/28 18:05
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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AMDがグラフィックチップメーカーをATIを買収したニュースは、一般人からするとマニアックな出来事の部類に入るが業界関係者では割と話題になっている。Blogを読んでいても面白い意見が散見される。確かに影響範囲も大きく、チップ業界の先行きを描きなおすにも格好のテーマになるところである。

チップセクターがどうなるかという話は様々な方がされているし、今後も続けられるだろうからここでは敢えて触れない。しかし、業界関係者とやりとりしながら一部で議論を深めているテーマが割と面白い展開になっているので簡単に御紹介したい。仮説は、タイトルの通り、産業構造が垂直化するトリガーにもしかしたらなるんじゃないかというところになる。
 
 
ディールの意味
 
チップセクターが単体での機能進化と同時に、周辺機能を取り込んで成長していくのを基本的なパターンとして持っているという話は、2年前に本連載を開始した当月のエントリでも簡単に触れている。大きなところだと、無線LANの機能とインテルがチップに組み込んでしまい、標準の固まった規格はノートPCを買うと外付けカードも無しで普通に使えるようになっているなど、業界のサブセクターに影響を与えるくらいのことは定期的に起きている。

この取り込みの動きのうち、ここ何年か傾向といて出ているなかのひとつがチップの高速化とユーザーの要望、ネットワークの高速化が組み合わさって出てきたグラフィックチップへの需要と緩やかな統合の流れとなる。もちろん、ATIにせよnVIDIAにせよグラフィックチップは計算用途のCPUとはまたちょっと違った作られ方と需要パターンを持っているため専業メーカーとして提供しつつ、アライアンスを組んでCPU側と相互に動作調整を行うといった開発の流れで着ていた。親密度の差こそあれ、別企業としてこれまでやってきたことになる。

とはいえ、外から見ていても、「そろそろ」という動きと気分が出てくることは分からなくもない。規模の経済の効き易いこともあり、販売側に大きな影響がないのなら、事業サイズと開発体制を整理することは成長もしくは生き残りにもプラスになり、プラットフォーム戦略や統合化という連綿と続く流れとも合致する。

というところから、今回AMDが動いたというところだろう。
 
 
Intelの対応
 
当たり前だが、ATIがAMDとの関係を強めるのであれば、上手く行っていたといわれているIntel/ATIの繋がりも再考される可能性が高い。実際、裏取りは出来ていないもののCore Duo 2の発表の席ではnVIDIAの方が扱いが良くなっていたという話が入ってきている。

つまり、急に実現するとは思えないが、方向性としては、Intel/nVIDIAとAMD/ATIの陣営に大手のチップメーカーがグラフィック機能も抱き込んで分かれることになる。
(Intel完全独自路線の道もあるが、話を簡略化するために一旦忘れる)

さて、ここで取引先が迫られるようになるのは、言わずもがなで「どっちか選べ」ということになる。PCメーカーなどある程度コモデティ化したものを取り扱っているという感覚で動いているところはともかく、周辺ハードやソフトについてはチップアーキテクチャー両方に対応させるのが困難な場合はどちらかを中心で動くことになる。また、競争の仕方にも依存するが、ライバル側に肩入れしているサードパーティにはいい顔をしないという展開は考えて良いところだろう。

分かりやすく書くと、チップの支配力の上に、Intel陣営とAMD陣営に業界派閥が生まれる可能性が出てきている。どの層まで影響を及ぼすか判断難しいところだが、水平で動いてきた流れに縦の楔が打ち込まれることになる。最も濃いシナリオを描くとメインフレームに近い世界に行ってしまうことになる(もっとも、ここまで濃いシナリオが実現することはまずないだろう)。
 
 
水平から垂直に移行する産業パターン
 
仮説の上に仮説の上を重ねることになるが、想定通り物事が動いていくとすると、産業が水平パターンから垂直パターンにシフトする事例を見ていることになる。

ある安定した層で競争が起こると、規模の経済が効く場合は特に寡占化が進むことになる。資本市場もまた、収益性と効率を求めるためこの動きを歓迎する。寡占化がどの層の出来事かにも拠るが、一般的には隣接層への影響力を高める。チップにせよ、OSにせよ高いシェアと他規格との互換性の問題があると、隣接層をロックインしてサードパーティの集団を築き上げることになる。

よって、複数陣営の比較的拮抗した勢力がある場合、寡占化した層に引っ張られる形で上下の層がどちらか野陣営に引っ張られる傾向が強まる。結果起きるのは、資本的な強制力があるわけではないが技術的と開発生産の効率上で必然起きる擬似的な垂直構造の出現となる。

今回のディールがそこまでの話に発展するかは実際展開を見てみないと分からない。しかし、初動の気配は既に出ていることと、

さて、それはそれとして。これもふと話題に出たところなのだが、Intel MacでATIチップを採用しているラインがある。例えばiMacの日本語ページのグラフィックについての説明

16レーンバスインターフェイス、PCI ExpressスロットのATI Radeon X1600グラフィックスにより、iMacが飛躍的にスピードアップしました。

いきなり無くなるというようなことはないだろうが、この先どうなるのだろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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