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参加のアーキテクチャーとCSR

2006/07/04 01:12
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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企業のIR担当者、コーポレートサイトの担当者の方とやりとりする機会が時折ある。資本市場からの養成も受けて、CSR(企業の社会的責任)周りのテーマが良く議論されている。一応であるが、あずさ監査法人より定義をお借りすると、このようになる。

CSRは、企業が経済・環境・社会等の幅広い分野における責任を果たすことにより、企業自身の持続的な発展を目指す取組である

定義を引っ張ってくると小難しいが、要すれば、企業も社会の一員であることを踏まえて、地域社会や環境に過度な負荷をかけないように配慮をしつつ事業運営をしていこうという姿勢を指している。経営技術の分類でいうと戦略というよりは、ビジョンの層にあたる高次のものとなる。
 
最近は特に、単に環境報告書をまとめて出しましょうというレベルを越えて、情報発信の根っこにCSRの考え方を取り入れようという動きが出ている。企業活動の根幹に触るものであれば、コーポレートサイトが同様に作り変えられるのは当然という流れである。よって、サイトの担当者もガイドラインのレベルからかなりのところまで神経を注ぐことになっている。
 
 
コンプライアンス重視の流れ
 
細部に分け入ると賛否両論あるのだが、大勢としては、コンプライアンス重視と周辺法の整備が進んでいる。筆頭が日本版SOX法であり、会計処理の基本方針を変えてしまい、大手企業は対応に追われているところである。
 
この動きは、一部はお上のお達しで動いているところはあるとはいえ、食品のトレーサビリティや製造業での部品利用のトラッキングとリコール対応など、フェアな形で経営の透明度を高める動きは法制度の後押し関係なしに行われているところでは行われている。自動車産業での部材管理、化学物質の含有度のチェックなど、調達サイドでの品質維持には単なる気持ちレベルではなく、多額の投資も含めて組織的対応が取られている。モノによっては購買品への依存度がじりじりと上がっているため、文字通り、対応力は企業全体のリスク管理に直接繋がるものとなっている。
 
 
参加のアーキテクチャー
 
さて、反対側で出てくるのが参加のアーキテクチャーなるものである。
 
上段の話とシンプルに繋げると、ネットの世界では、メディア機能をアウトソースしている、あるいはコンテンツを外から調達しているのに等しい。もしくは、同じ外部調達でも、少数のサプライヤーに発注するのではなく、多数のサプライヤーを取りまとめて、バルクで仕入れているのに等しい。
 
両者を比較すると、後者の方が本来は調達時の品質チェックに工数が割かれるはずである。仕入先が少数の場合、交渉上劣位に置かれてない限りは、チェックする相手は少数で済むので、品質管理部門の仕事はシンプルな形に落としやすい。しかし、多数のサプライヤーが入り乱れている場合は、評価モデルからサプライヤー管理のスキーム、加えて日々入ってくる部材のチェックまできっちりした運用体系を作り上げた上で始めて全体品質が保たれる。
 
参加のアーキテクチャーの初期モデルでは、担保の仕組みは大量のデータと自然淘汰によるフィルターがけという説明がされている。例えばPageRank。リンク構造を手繰ると品質の良いものが浮き出てくるというアルゴリズムとなる。eBayによる利用者のフィードバック。類例は多く、利用者の声をフェアに受け付けることで、同じく高い品質のものが上位ランクされるという仕組みとなる。ブックマーク系のサービスも似たようなものか。
 
ここまでは良いとしよう。
 
しかし、最近更に加わっている流れとしては、可視化の進んだ状態で、企業がユーザーを直に引き入れる仕組みが提案され始めている。例えば、Bloggerに直接企業が感想を書くことを求めるパターン。サンプル提供やスポンサードなど形は幾つかパターンはあるが、簡単には何らかの手間賃を出してコンテンツ作成に協力願う仕組みとなる。
 
リスクとしてよく言われるのが、口コミマーケティングでも言われているような、企業がバックアップしていることによってコンテンツの信頼性を疑われ、くるっと巡って企業のブランドにネガティブな影響を与えてしまうこととされる。
 
しかし、その前にもっとシンプルに認識されるべきはステークホルダーとして緩やかに引き入れたユーザーの信頼性、品質が分からないということではないだろうか。例えば、書かれたものが盗作や著作権違反などの問題を書かれている場合、あるいは競合や取引先などへのネガティブなコメントを含んでいる場合は、緩やかな形で責任を追うことに繋がっていく。
 
前段でまとめたような、トレーサビリティへの執拗な動きと対比して両者を並べてみると、左右の重さの違いがしっくりと来ない。
 
短絡的な批判のためにまとめているエントリではないが、企業の活動は右から見た際と左から見た際が違っていて良いというものではないだろう。CSRが求めているのはそんなものではない。また、ブランドを維持し育てる活動もそんな簡単なものではないだろう。
 
というところを普通に基準とすると、最終的に採用されるサービス、あるいはパートナーとして選ばれるユーザーはどのようなものになるのか。細部の話を言い当てるのは難しいが、単にアテンションを得られれば良い、話題になれば良いというところで収まらないのは確かなところとなる。
 

 
おそらく、企業はイメージ蓄積のブランドではなく、コミュニケーションの結果成立するレピュテーションを軸にして動き始めている。
 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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