最終更新時刻:2008年7月7日(月) 8時00分

-

Google化するYahoo! JAPAN :ソフトバンク × ボーダフォンの追記

公開日時:
2006/03/05 16:32
著者:
渡辺聡

週末入る直前に出されたソフトバンクがボーダフォンの日本法人の株式の過半を獲得すべく交渉を進めているというニュースが話題になっている。フラットな整理はR30氏のまとめを借景しつつ「ソフトバンク × ボーダフォンの問題整理」として掲載しているが、深堀りしなかったところをまとめてみたい。
 
本件が多方面に影響を及ぼしうることは一通り読まれている方であればご理解されていることかと思う。Yahoo!(米国を含めばそれこそ大変なことになるが、おそらく日本法人のみの話だろう。追記:米国も含みの様子。)とボーダフォンの提携という話も延長上では出ているので日本市場に閉じた話でもない。

細かい要素を省くと、個人的に推移が気になったのは以下の三点となった。
 1)垂直と水平の入れ替え
 2)Yahoo! JAPANのGoogle化
 3)資本市場への影響
3については、余波で資本の流れが随分変わるかもしれないという話なので箇条書きで留めるとして1と2について。
 
 
垂直から水平
 
これは産業構造の話となる。

垂直なのは携帯業界。キャリアごとにサービスが割られていて、端末製造のメーカーが複数キャリアに跨っている箇所を除くと概ね縦に物事が組まれている。

ソフトバンクの視点で眺めてみると、日本市場において収益の回収装置として、目を引くのがYahoo! JAPANと日本テレコムとなる。もちろん、NTTグループもグループ内にポータル事業(goo=レゾナント)と法人事業(NTTコムウェア、NTTコミュニケーションなど。本体やデータも含めても良い)を持っていたりKDDIグループも法人部門に力を入れているのはもちろんだが、Yahoo! JAPANの存在感は群を抜いて大きい。ポータル市場を軸に水平に物事を捉え、データ通信と音声通信を付帯隣接市場と捉えて全体戦略を再構築するという荒業が可能になる。

この場合、日本テレコムは、固定通信や長距離通信の電話事業を営んでいる事業体というよりは、通信ネットワークインフラと特に法人の営業ルート+料金回収窓口を維持している組織と捉えられる。
(もちろん、これは悪い意味ではなく、今後の流れを予想するに非常にポジティブな見方を意味している。なお、日本テレコムのB2Bライン強化については前回のオラクル記事でも若干触れているのでご参考まで)

Yahoo! JAPANがB2Bに出ようとしている気配は以前から微かにあった。しかし、組織内の優先順やもともとの不慣れなどが重なってと思われるがさほど伸びていない。典型的なネットのサービスの範囲にあらかた収まっている。ソフトバンクグループとして強化されつつあったB2Bの事業ライン(日本テレコム買収も含める)とのシナジーを考えると、そろそろ本格的に考えられて良かったのがYahoo!のサービスを法人向けに持って行くチャネルの構築だった。

ポータルとキャリアのビジネスをデータ通信を軸にして、水平に書き換えを行った場合、そのまま影響を受けるのがモバイルコンテンツの業界となる。敢えてそこだけ残す、という設計も可能だとは思うが、決済インフラがオープン化し始めていること、促進しているプレイヤーの一角が他ならぬYahoo!であることから、わざわざ残すのは却って不自然にみえる。

トリガーが引かれた場合、携帯関連業界は水平構造に移行する力がかかる。
 
 
水平から垂直:Yahoo! JAPANのGoogle化
 
変化をネットの側から捉えると、水平から垂直の流れとなる。

ここしばらくのインターネット業界の暗黙のルールは、結果論も含めて水平に機能提供していくというものになっている。グループ全体を見ると複雑な事業構造を取っているNTTグループなどを例外とすると(それでも、事業体は分かれており法規制もかけられている)、ISPが接続を、他のサービスもしくはコンテンツ事業者がいわゆるインターネットサービスを提供するという形に落ち着いていた。米国でもAOL以降はこの流れが基本となっている。

ところが、再定義する動きが近頃出始めていた。皮切りとして注視していたのがGoogleが無線接続サービスのテスト提供を進めている話だったが、今回のソフトバンクもトリガーを引けば更に明白な垂直型に移行させられる。

分かりやすくバンドル出来るのはYahoo!のポータルサービスを優先接続とする代わりに、携帯のサービスになんらかのプレミアムか割引を付ける形。ポータルサービスのユーザー獲得維持コストとしてキャリアのサービスを提供する形となる。ブラウザを立ち上げたらまず出てくるのはYahoo!というところから、接続コストの融通など下手したら独禁法に触れそうな施策が多く打てる。

これは水平に進められていたネットのサービスに対して、フロント側のデバイスと通信の層にくっつける形で新しく競争軸を設定することとなる。敢えてダメ押ししないでもマス市場では近しい現象が起きているが、契約者にとってすれば、以前よりも日本のインターネット=Yahoo! JAPANという構図で固定することになる。

そして、これは視野に入れているかどうかは分からないがSNSやBlogを中心に動きが出ているパーソナルポータルの流れへのカウンターとも言える。

ネット業界は水平から垂直に力がかかる。
 
 
全体として起きる影響
 
もちろん、上記だけでは単なる言葉遊びとなるが、本気でこの方向性に全体が引っ張られると各業界内のプレイヤーの役割から何から大きく変わる。どこまで変わってしまうのかは現時点では整理しきれていない。また、冒頭のリンク先で触れているように、基本的なところを浚っただけでもキャリアとネットという範囲では物事は収まらない可能性がある。

単なるキャリアの話と片付けるには飛び火する範囲は広くなるのでは、というのが初期の経緯を耳にした際の感想だった。最終的には競争政策策定とモニタリングをしている官庁が一番大変かもしれない。

出来れば本件も含めて、領域横断的な話を集中的に整理出来る場の準備を進めています。正式にはきっちりお伝えする予定ですが、SunをHelpする形で確定です。

本件については、半確定状態ですが、月末に会場グロービスをお借りして開催出来そうな運びです。詳細はまた確定しましたら。

追記:確定いたしました。月末31日開催でパネリストは

森祐治 氏(株式会社シンク 代表取締役)
降旗淳平 氏(日経ビジネスアソシエ 副編集長)
塩川博孝 氏(アスクドットジェーピー社長兼CEO)

の三方となります。お申し込みはこちらからどうぞ

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

このブログについて

ブロガープロフィール

アーカイブ

カテゴリ

ブログネットワーク

アルファブロガー

外資系エグゼクティブの日々はじめまして
外資系エグゼクティブの日々
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」サミット、サミット、そして今こそ!公衆無線LAN
末吉隆彦 ロケーションウェアの「空」と「実」
クロサカタツヤの情報通信インサイトメディアアートの夜
クロサカタツヤの情報通信インサイト
平野敦士カールのアライアンスInsightGoogle化する産業構造の変化にどう対応すべきか?
平野敦士カールのアライアンスInsight
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点暗黙共同体へ−秋葉原事件で考える
佐々木俊尚 ジャーナリストの視点
福徳俊弘のリッチ&リーチメディア論すべてのメディアをネットが囲む時代へ
福徳俊弘のリッチ&リーチメディア論
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance長瀬弘樹という作曲家のこと
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance

読者ブロガー

パクトロス業務日誌CNET支店放送業界ってスゴイ!
パクトロス業務日誌CNET支店
Life with Mac and more.iPhoneに足りないサービス
Life with Mac and more.
夢幻∞大のドリーミングメディア右肩上がり信仰をやめよ
夢幻∞大のドリーミングメディア

企画特集

「未来の、その先」をどう提言していくか「未来の、その先」をどう提言していくか
クラウドコンピューティングが導く新しいシステム
DELL連載第4回〜「Microsoft System Center」DELL連載第4回〜「Microsoft System Center」
PowerEdgeサーバに最適な運用管理ソリューション後編
今知るべき仮想化情報今知るべき仮想化情報
インフラからアプリケーションまで、これを知らずに仮想化は語れない

新着コメント

To コメント#1 (A)“お金と執念と運だけですか?”  hokkyさんが,何を目的に、どの様にまとめたいのか知...
Bill Gatesの引退に関連して 
投稿者:能澤 徹
“iPhone G3”? Where manufacturers?...
【コピペ】 iPhone G3発売日は笑えた! 
投稿者:yamada.ricky
今は反省してます!どうか拙エントリーをお許しください。...
【コピペ】 iPhone G3発売日は笑えた! 
投稿者:尊仁
BeLLさん、コメントありますがございます。 文章が解りにくかったかもしれませんが、私が言いたかったの...
iPhoneに足りないサービス 
投稿者:PowerYOGA
あんた、何が言いたいのかわからない。 Blog書く前に、文章力をつけてきてくれ...
【コピペ】 iPhone G3発売日は笑えた! 
投稿者:christine

ブログネットワークとは?

CNET Japan ブログネットワークは、元はCNET Japanの一読者であった読者ブロガーと、編集部の依頼により執筆されているアルファブロガーたちが、ブログを通じてオンタイムに批評や意見を発信する場である「オピニオンプレイス」、また、オピニオンを交換するブロガーたちが集うソサエティです。

広い視野と鋭い目を持ったブロガーたちが、今日のIT業界や製品に対するビジョンや見解について日々熱く語っています。

あなたもブログを書いてみませんか?

CNET Japanやその他サイトが提供するITニュースやコンテンツへの意見や分析、 ビジネスやテクノロジーに対するビジョンや見解について語っていただける方を 募集しています。ご応募はこちらから

ブログの投稿・管理

ブログの投稿はこちらから(※ブロガー専用)

ブログアワード2007開催決定!

今年最も活躍したブロガーを表彰します。詳細はこちらから

αマークって?

これは、CNET Japan 編集部の依頼に基づいて執筆されているCNET Japan アルファブロガーによるブログの印です。

Good!って?

CNET Japan ブログネットワーク内で拍手の代わりに使用する機能です。ブログを読んで、感激した・役に立ったなど、うれしいと思ったときにクリックしてください。多くGood!を獲得した記事は、より多くの人に読まれるように表示されます。

レビュー

オンリーワンの個性を極めた超薄型テレビ--日立 Wooo UTシリーズ
日立製作所の超薄型液晶テレビWooo UT 770シリーズは2008年6月にラインアップが増強され、さらに日立らしい
[レビュー]“この手があったか”と思わせるパワーユーザーも納得のPCオンデマンド--「VALUESTAR G タイプR Luiモデル」+「Lui RN」詳細レビュー
「VALUESTAR GタイプR Luiモデル+PCリモーター」は、設置場所にとらわれずにPCを使える、NECが新しく提案
[レビュー]東芝「dynabook SS RX」(前編)--社内モバイルのメリットを享受する
世界最軽量の薄型ノートであるdynabook SS RXシリーズに新モデルが登場した。東芝が「モバイルの理想形」と
[レビュー]通勤鞄に忍ばせたい軽さと装着感--マクセルのノイキャンヘッドホン「HP-NC15」
約150gという軽量と折りたためるコンパクトモデルで、通勤・通学に便利なノイズキャンセリングヘッドホン「
今週の新製品総チェック:ノートPCに変動あり--より小さく高性能へ
今週の新製品総チェック:ついに登場、全録レコーダー「SPIDER zero」
北京を見逃すな!--2008年夏、今買うべき「デジタルレコーダー」
今週の新製品総チェック:日本発売7月11日に決定、iPhone旋風が継続
ミニノートブームの本命登場か--日本HP「HP 2133 Mini-Note PC」