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エンタプライズサーチ事始め

2006/02/01 08:39
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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前々回触れたように、FAST社のカンファレンスの取材で機上の人となっている。アップするのはホテルで回線を確保してからになるが、現在乗り換えになるデトロイトに向けて飛んでいる最中にエントリをまとめている。

せっかくの機会なので、出来ればカンファレンスの内容についても良いものがあれば触れて行きたい。まずは、事前の予習として、エンタープライズ市場の現在位置を簡単に。
 
 
再定義される市場
 
この先数年、もしかしたらそれ以上の期間は、Webとエンタープライズの融合が大きなテーマになっていくという話は年末年始から何度か触れている。サーチの分野もその一つと言える。

企業内の業務システム開発に、インターネット環境と同じ技術(ブラウザベースでのサービス提供)が用いられるようになってきた。社内情報、内部連絡をHtml形式で行うことも珍しく無くなった。

例えば、最近地味に企業内SNSの導入が伸びている。インターネットでコンシューマー向けのサービスとしても多数立ち上がっているが、水面下で業務支援ツールとしての検討が各所様々な規模の企業で行われている。

インターネットから転用したイントラネットという表現があるが、まさに企業の中と外が同じような感じになってきている。まさに、ZdNetで飯田さんが「魚は潮の流れの良いところに棲む」と書かれていた通りである。

魚は潮の流れの良いところに棲むという。個々人のネットワーク化と協働作業のプラットフォームが整いつつある中、企業はその流れを阻害する存在である限り、そこにビジネスが集まることもないだろう。むしろ、内外の潮の流れを良くすることで、ビジネスの活性化が促される。

ここで言いたいのは、単に情報開示を強化するとか、顧客の声に耳を傾ける、というようなことではない。こうした企業の枠組みに囚われた状況を踏み越えて、企業の境界線を敢えて曖昧にすることで逆に企業としての価値を高められるのではないか、ということだ。

結果、パッケージソフトとして提供されてきた従来の業務アプリケーションとまた少し違ったアプローチのソフトウェア群が普及する素地が出ている。その中で、OSのファイル検索やRDBに対してのデータベース検索ではなく、ウェブサーチの感覚で社内情報を管理統合するソフトも幾つか提供されている。ウェブサーチにばかり注目が集まっているがGoogleもIBMと提携してさりげなく出しているのは丁寧に同社を追っている方ならご存知のことだろう。

というところで、インターネットを軸に発展してきたサーチサービスは、
 1) 純粋にウェブ上の公開データを対象としたいわゆるサーチ
 2) 個人のローカルドライブも対象としたデスクトップサーチ
 3) 企業内を対象に加えたイントラネットサーチ
と利用範囲が着実に広がっている。

1から3で大きく変わるのは、インデックス情報を作る際のクローリングの範囲と方法となる。範囲については、書いたまま広がっているので特に触れる必要はないだろう。方法については、2だとリンク構造を辿っていくウェブの方法ではなく、ディレクトリを端から調べていく方法となる(技術的には、ウェブのクロールより古いものとも言えるが)。

3だと、やり方にもよるが、今回見に行くFAST社のものだと主要なアプリケーション連動を実装しており、各種のRDBの中まで検索対象となる。こちらも、RDBにSQLを投げて返って来るものを捉えることになるので、ある意味古い技術を統合させたという見方もあるかもしれないが、アプリケーション連動を順に実現させていくのは手間の積み重ねが必要であり、明日からすぐ実装しましょうというものにはならない。
 
 
FASTエンジンの基本アーキテクチャー
 
アーキテクチャーイメージとしては以下のようなものとなる。

クリックすると少し拡大します

左側、インデックス化エンジンの働く領域は、ファイルクローラーというよりは、アプリ連動ツールとなっていることから、簡易なビジネス・インテリジェンスのツールとして位置づけることが出来る。また、右側部分、データ検索と表示結果のテンプレートを合わせて使うと簡易な帳票ツールとすることも出来る。

企業内のデータ管理の流れから別の捉え方も出来る。一時期、特に言われたのが90年代から2000年過ぎて幾ばくかくらいだろうか。社内で分散したデータを統合して取り扱うことで、断片的な意思決定を起こさないよう、データ的にもビジネス全体を捉えて動いていこうとする機運が盛り上がっていた。実装方法としては、ERPのようにアプリケーションとセットで大規模に作り直してしまい、データベースを元からまとめてしまいましょうというものと巨大なデータウェアハウスを別途立てて必要なデータを収集整理していきましょうというアプローチの二つに大きく分かれた。

いずれも、無茶をしなければある程度以上の成果を出すことは出来る。しかし、単一のアプリケーションに業務システムが全て載ることは通常考えられず、DWHにしても集めれば集めるほど急激に巨大化するために、取り扱いはすぐに難しくなる。また、全てカバーするような大きなアプローチは日常のちょっとしたことにはそもそも相性が悪いことが往々にしてある。そして、日常業務で大事なのは、そのちょっとしたことの積み重ねだったりする。

よって、分散したデータベース(もしくは多様なアプリケーション)を対象とし、緩やかに全体を繋げて軽快に情報を取り扱いというニーズが昔と変わらず潜在的にあったところに、ここ数年でのウェブサーチの急速な進化により、ユーザー側にサーチ技術への信頼と期待が培われることとなった。

ざっとまとめると以上のような流れから、エンタープライズサーチは面白い市場になりつつある。”魚は潮の流れの良いところに棲む”ものなのである。

カンファレンスの二日目に近著の「ザ・サーチ」でも知られるジョン・バッテル氏が出られるようです。合わせてIDCのセクタレポートがあったりと非常に楽しみです。(現在、初日が終わって深夜の4時です)

エンタプライズサーチ事始め
ビーイング・メタ・デジタル(1):データからメタデータへ
ビーイング・メタ・デジタル(2):メディアからメタメディアへ
ビーイング・メタ・デジタル(3):サプライからデマンドへ
ビーイング・メタ・デジタル(4):コンサンプションセントリックと流通支配

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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