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FBSカンファレンス:オンラインゲーム上での不動産ビジネス

2005/12/13 18:29
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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先日開催されたFBSカンファレンスに参加して一日どっぷり、終了後の懇親会も含めて関係者の方々からお話を伺い、意見交換をさせて頂いていた。当日の発表内容についてはサマリ記事や関係者のBlogでも多くが語られているので、詳細については譲ることとして派生して出てきている話の幾つかに触れてみたい。

まず、カンファレンスとは直接関係ないのだが、晩の懇親会の席でオンラインゲームで不動産を買い賃貸するビジネスを展開している事例について話題になった。その他、投資業務と呼べるものも出てきている。

これはいったい何なのか。
 
 
バーチャルな不動産
 
デジタルデータを不動産というのは、原理的には正しくない。しかし、バーチャルな世界がSFにせよファンタジーにせよ現実社会のように地理と空間があるとなると、その辺の野原と街中の一等地では価値が異なるという現実社会と同じことが起きる。

そのゲームの世界を提供している会社が突然地図を書き換えたりしない限りは不動産価値がなんらか発生することになる。

というところで、理論的にはゲームのシステムが付いていく限り、不動産だろうが商社だろうがブローカーだろうがメーカーだろうが成立することは理解出来るし、精緻な作りになれば、おそらくゲーム内の財で独自にブランドが成立することになっていくことも予想出来る。

というシナリオは考えるとすぐ出てくるものであるが、現実に事例として出てくるとやはり色々と考えてしまう。
 
 
発生事例
 
話に出ていた事例は概ね以下のようなものとなる。

1)不動産投資
確か宇宙船だったか、現実社会での少なくない金額を投じて購入し、値上がりしたところで売却する。転売目的の不動産投資。

2)不動産賃貸
ゲーム内の不動産を購入し、他のプレイヤーにレンタルする。現実の賃貸ビジネスと基本は同じ。

1)について、ポイントはゲーム内貨幣を一端通貨するとはいえ、現実社会の金融商品と同列に並べられていることにある。株を買うのか、債権が良いのかという話の中に、あるゲームの資産を買うという選択肢が加わってしまっている。これが現実の経済活動と言わずしてなんと呼ぶのか。ゲーム内の通貨を現実社会の通貨に交換する、リアルマネートレードが受け入れられたところからこの投資はゲーム内の遊びではなく、現実の投資として成立する。

もちろん、万人が急に選択出来る商品ではないし、「では来月から我が行でも窓口販売いたしましょうか」などとは決してならない。安定した商品となるかも現時点ではさっぱり分からない。

2)について、補足の必要はないと思うが、現実の賃貸と基本は何も変わらない。
 
 
バーチャルマネーの経済圏
 
両事例とも、ゲームを舞台として、ゲームのルールに従った範囲内で経済活動が行われていることになる。

最近Joiがオンラインゲームに嵌っていて実に面白いというエントリをアップしていた。

ウェイがオークションを運営するというアイデアを出してくれたので、僕はさっそく競売品の値段履歴を保存できるオークション事業者用プラグインをダウンロードし、オークションハウスを作り始めた。それぞれの製品が何のためのものか、すぐには分からないけれども、オンラインフォーラムで聞けば教えてくれるんだ。競売品の値段は、クエストの追加、また必須アイテムやルールの変化に合わせて変動し、製品数も各エリアにいるプレイヤーの数に合わせて変動する。いろんな職業があって、経験を積んで驚くほど複雑なものを作ったりするんだ。

だから、それが何だって?ええと、まず、面白いんだ。ここまでする人はあまりいないから、忍者や海賊を見るなんてことそのものは滅多にない。ほかの大陸に行くために船に乗り込んだり、グループでダンジョンを襲撃するときに、僕はよく忍者に変身する。すると、これまでほとんどの人がゲーム中で忍者を見たことがないので欲しがる人が出てくるんだけど、欲しい人には魚をあげるんだ。すると、忍者と海賊のヘンテコな隊が出来上がるのさ。こんなことをなぜやるのかというと、マーケティングのためなんだ。僕は、この料理をオークションで売っているので、もっと需要を増やそうと考えているんだ。金貨5枚で闇の鉱山への探検用に 20皿ほど買える。ちなみに、レシピの市場価格は金貨50枚で、バレンズにいる獣の0.1%しか持っていない。

前者は簡単な事業開発の話で、後者は商品開発とマーケティングの話となる、変わっているのはゲームの中で行われているため、話がちょっと飛んでいることくらいである。

この話が進んでいくと、オンラインゲームの中で事業が立ち上がり会社が出来ることになる。そのうち金融も銀行も出てくることだろう。

ここで気になるのは、現実社会から見直したときにどのような経済活動になるかである。
 
 
ローカルマネーと為替レート
 
まず、ゲームの中の財、通貨は一種のポイントとなる。量販店などが顧客に配布しているポイントとスタートラインは変わらない。しかし、そのポイントを使って生産活動が行われ、マネーがゲーム内で循環する。循環したマネーの一部は現実社会のお金に変換される。

ポイントと捉えるのなら、信用を支えるのはゲームを運営する会社になるだろう。バランスシートのどこかに「プレイヤーに配布したポイントの引当金」といった感じの項目があって厳密に管理されているというのが支えの形としては素直なところとなる。いわば金本位制か。

しかし、中で生産されている財に人気が出たり、ゲーム全体の経済活動自体への信頼が高まってきたら、その世界自体に信用が生まれてくるとなったらどうなるのか。私達は近々成長の激しい新興国というリストの中に、ウルティマやウォークラフトなどを加えるべきなのかもしれない。

原理的に考えると、ゲーム内通貨と現実の通貨の交換は為替レートの議論を持ってきて考えるのが素直なところなる。ゲーム内通貨の供給量etcに連動して為替レートが調整され(リアルマネートレードのレートが調整され)、経済は均衡を保つ。

気持ち悪いのは、発行体と看做せるゲーム運営会社がどこかの国の法人であり、登記もされていることである。オフショアリングなどを駆使しない限り、ある通貨圏の中収まっていることとなり、さっぱり独立していない。為替レートのモデルとはスタートが異なり、ねじれが発生している。

現時点で話をしているのは、こういった状況認識までであり、特別何か提言なりには至っていない。しかし、このまま行くと何か面白いものが生まれてくるかもしれないという感触を持っている。経済活動がバーチャルエコノミーに移行していくのだとしたら、実体経済とどっちが主となるのか。

という訳で予想通り、タイトルにはつけたもののFBSカンファレンスの中身については触れることなくエントリに仕上がってしまったので、他の話はまたいずれ。

ちょうど、ネットエイジキャピタルの金子さんが隣にいらっしゃったので、本件も含めて意見交換をさせて頂いていたのだが、素直な感想としてどちらともなく漏らしたのが「オンラインゲーム上でベンチャーキャピタルとか出てきたらちょっと嫌ですよね」。

この話が1.0なのか2.0なのか3.0なのかは分からないが、腹に落ちて自然なものと受け取るにはもう少し時間がかかる気配がする。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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