GoogleやWeb2.0周辺の話だけをうろうろと書いていても仕方がないので、少し変わったところを。
千夜千冊をいつも通り眺めていたらゲーム理論についての項があった。読んでいてなんとなく今までしっくりこない感覚を覚えていたところに整理がひとつつき、はた、と膝を打つ感覚を受けたのでご紹介したい。
先にお断りとなるが、ゲーム理論が他のいろいろとどう関連するんだという疑問はあるかと思われる。この問いに対して現時点ではクリアに答えられる言葉が自分の中にまだない。しかし、ピンと来た。おそらく、どこかで繋がってくる面白い要素になるんじゃないかと予感している。このピンと来た感覚を共有出来ればというところである。
前置きはこのくらいにして本題に。
そもそもゲーム理論とは
そもそもの部分から入ると、定義を越えて問題の焦点もいきなり語ってしまっているが、
もともとゲーム理論とは複数の利害関係者がなんらかの意思決定をくだそうとしている状況下で、プレイヤー(player)、戦略(strategy)、利得(payoff)という3つの要素の関係を、論理的かつ理性的に記述するものである。誰がどの決定をくだすかはゲーム理論の範疇にない。ゲームに勝つための理論でもない。それをあたかも勝ち組のためにゲーム理論があるかのように喧伝するのは危険だ。
こうなる。ちなみにwikipediaのページはこちら。
面白いフレームだと思いつつも、ぼんやりと感じていた違和感はこの言葉に近い。
だいたいゲーム理論では、すべてのプレイヤーが完全に理性的で合理的であることを前提にしているのだが、実際の市場競争や金融ゲームやギャンブルやスポーツでは、そんなことは通らない。一人で合理を貫こうとしても相手がそうなるとはかぎらない。MBAたちはそれを相手に押し付けてゲームを強引に進行させようとするのだが、これはゲーム理論の邪道か、あるいはゲーム理論そのものが邪道にはまっているか、そのどちらかなのである。
ロジックとして正しくとも、(善悪基準でなしに)しっくりと来ない場面、モデルを使っての説明が腑に落ちない場面がしばしばあった。
人間はそもそも完全情報を持ってなどいないし、結構気まぐれだし感情的だし、ロジックと合理だけで考えている訳ないじゃないか。脳の振る舞いを見ていてもコンピューター的な動き方をしていない場面は指摘するまでもない。そもそも、身体はアナログデバイスでひどくあやふやじゃないか。
言葉にしてみるとこんなところとなる。もともと曖昧なものをかっちりとしたフレームに収めてゴールとする考え方そのものに対しての違和感と言っても良いかもしれない。
計算の限界
松岡氏がゲーム理論のフレームのどこに弱点があると考えているのかについては全文引用するわけにも行かないので直接お読み頂きたい。途中プロセスは原文にお任せするとして、ポイントだけ抜くと、
1)ゲーム理論は参加者同士のコミュニケーションをモデルから排除している。互いのコミュニケーション行為とその理解がないことは現実から乖離しすぎることもある。
2)プレイヤー間のコミュニケーションを不可能にしているルールと、プレイヤーは意思決定を自由にすることができるというルールとが、プレイヤーにとってもジレンマがおこっていると原因として描かれているがこれは必ずしも参加当事者のジレンマではない。ゲームを外側から眺めているゲーム理論にとってのジレンマと言える。
となる。
もちろん、場面によっては非常に有用ではあるのだが、急にモデルの効力が落ちてしまう場面がある。
資金さえあれば、ニッポン放送やTBSの株のメジャーをとることはできる。それを言葉を交わさずに非協力的に進行させることもできる。けれども、いざTOBやM&Aを成立させようとすると、そこにはとたんにコミュニケーションが介在してくることになる。
「契約の論理を成立させる理性」と「対話の論理を成立させる知性」とは、別々のものなのだ。
例えばで、最近の有名事例としては、M&AやTOBの案件が該当する。
相手がファイナンスのルールを十分に理解して、同じ土俵で動いている、もしくは、ファイナンスのルールで語りきれない何かが残っている場合=ゲーム理論的な処理が出来ない場合は、ストレートな適用は出来ない。「行為が計算に還元できるときだけがゲーム理論の独壇場に光があた」ることとなる。
※ちなみに、テレビ局の買収の件については、なぜ成立しなかったかをゲーム理論的に上手く語る方法もある。
◇
さて、ここまで書いたところで最後にもうひと跳び。
CGMやLongTailなどをアーキテクチャー論でのみ落とそうとするアプローチがあるが本当にそうなのだろうか?システムで人間は全て語りつくせるのだろうか?
メディアや広告、エンターテイメント系の方とやりとりしていると、この疑問は強くなるばかりである。
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