前回のエントリで後半触れた箇所について
では、アクセス解析以外の領域でGoogleが同じ無料化したセンスの良いツールを提供していくという可能性についてはどうだろうか。「アドワーズ、アドセンスを持っているからローエンドアプリは無償提供しても良い。コンピューティングのコストも安い」というポジションに対してどう対抗すればよいのか。自分達の市場も同じ目に合わないという保証はどこから得たら良いのか。合うかもしれないとなったら明日からどう方針転換をすれば良いのか。
アクセス解析市場をケースにして簡単に補足してみる。
その前に。
自社がGoogleとの競争に晒されている可能性があるのが誰か、同じ事態に巻き込まれかねない企業はどこか端的にまとめると、インターネットサービス、ASPサービス及びアプリケーション企業のうち、短期的にはGoogleのラボに掲載されているもの及び買収した企業群の持っているアプリと機能がぶつかるもの。長期的にはGoogleが今後事業開発していく中で機能重複するもの(後者については、Googleの戦略全体をどう理解するかで判断が変わってくる)。潜在的なところも含めるとかなり広い範囲に渡る。
※12月のET研はGoogleのケーススタディですね。そろそろやらないと。
Google Analytics周辺の基本戦略
定石に則れば、収益源としては
1)AdWords/AdSenseの拡販
2)ハイエンドサービスへの課金
の二点が考えられる。無料メールと有料オプションサービスなど、ローエンドは無料で提供し、ある程度以上のプレミアムサービスには課金する事例は山ほどある。この場合、無料のローエンドサービスは一種のプロモーションになっている。単にリスティング広告だけを売っているのと、解析サービスをセットで提供するのとではユーザーは後者を選ぶようになるため、オーバーチュアなどに対しての差別化に繋がる。
2)については、アクセス解析を完全無料化してしまうことはないだろう。Google Maps(Googleローカル)で使われているKeyholeをベースにしたサービスもMapsでは無償版、それ以上のサービスはアプリケーションに課金する体系となっており、この形を踏襲すると考えられる。課金体系をサブスクリプション型には変えていくかもしれないが。
得られるオプションとして、
3)AdWords/AdSenseの精度向上
4)Googleアカウントへのユーザーロック
がまず挙げられる。3)についてはサイトの解析サービスによりユーザー行動を解析出来ると広告出稿の精度を上げられる。
4)については、Gmailやパーソナライズと合わせて個人と中小企業を囲い込みに入っているこれまでの方針を後押しすることになる。一箇所にサービスが集中していると、ユーザーは自然とGoogleを使い続けるようになる。一言で書くとデータでのロックイン。
競合が受ける影響
さて、受けるGoogle競合はどうなるのか。まず、
5)同程度の機能、サービスは無料化に向かう
同じレベルのサービスは課金しづらくなる。当たり前の話であるが、ASPサービス、アプリケーションに直接課金していた場合は影響を直に受けることとなる。
また、Googleの提供している無料サービスが無料の割に性能が高い場合(今回もそんな感じである)、かなりの作りこみがされていない限りは
6)全体として単価が下落する。
ざっとサービススペックや使い始めてみた人の声を追っていると、ローエンドサービスとは言えないレベルのものが提供されている様子である。
5)、6)を受けて複合的に発生するのが、
7)単体ではなく、セットサービスをしないと生き残りにくくなる
今回の場合、リスティング広告とアクセス解析が統合的に提供されることとなるため(しかも随時機能改善されていくため)、アクセス解析機能のみを提供してても勝負の土俵に十分に乗れなくなる。
全体をまとめると、機能競争からプラットフォーム間競争にシフトすることとなり、各社の戦略立案方法が変わることとなる。
全ての候補市場で同じことが起きるとは限らない。しかし、王道の戦略なため、広告収入とのバランスが取れる限りGoogle Analyticsと同じ方法を別のアプリ/サービスの市場でも実施すると考えるのが自然に思える。自社の市場で起きるか起きないかではなく、いつどのような形で起きるかを想定してシナリオを組んだ方が話は早いかもしれない。
◇
さて、対抗策を作るに際し先行事例はあるのか。なにがしか共通点がある、という緩やかな絞りだと結構あると考える。例えば、発生する前に方針が変わってしまったがSkypeは潜在的に同じリスクに晒される可能性を持っていた。買収される道を選択したのは、GoogleTalkが出てきたことが結構理由として大きいのでは、と個人的には考えている。
他、セクターがまったく別になるが、スカイマークエアラインズと他社(JALやANA)の関係が似ている。コスト構造に大きく差が無い場合、スカイマークの参入している路線のみ価格を下げ、他の路線で収益を得る体力勝負を行うとスカイマークは追い込まれる。やりすぎると公取にひっかかったりはしそうな方法だが、単純に競争優位を作るには?と問われると一つの方法となる。この事例が理解には最適というのではなく、あちこちに事例はあるということを理解頂ければ。
対抗方法として何がありそうかも、つらつら考えているが、幾つか考えられる。いい感じでまとまればいずれ。
追記:
とか書いていたらマイクロソフトがアプリの無料化を検討しているとの報がはいりました。産業構造と勝ち残れる企業の条件がこの先1年で急に変わるかもしれません。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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