最終更新時刻:2008年7月7日(月) 8時00分

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Googleは今後どの程度オープン化を進めるのか

公開日時:
2005/10/06 10:38
著者:
渡辺聡

SunとGoogleの提携は出てくるべくして出てきたものとも言え、思ったよりサプライズ感はなかった。もうちょっと早くても良かったのでは、との声も周囲にある。

この件、対マイクロソフトという旧来のSun対MSの構図を彷彿とさせるものはある。このメディアやBloggerが話の種にしそうな視点と合わせて、Googleがオープン/クローズの軸で見てどこに進むかを考えていくヒントとして面白いと考えている。また、合わせてプラットホーム戦略をどのように進めるのかの軸も加えて少し整理してみたい。
 
 
各社ケース

・マイクロソフト

マイクロソフトはクローズの度合いが高い。OSのAPI公開はされているものの、規格は自社独自のものであり、標準ではなく、競争の結果得た事実上の標準、いわゆるデファクトスタンダードのポジションの典型例となる。

プラットホームプレイヤーとしては、オフィスソフトを後発で市場制覇していった経緯を代表として周辺市場への進出を厭わない。今回の正面衝突もOSを中心に既存市場を大きく毀損する可能性のある競合との正面決戦、ネットスケープの歴史を繰り返すか否かが確かに一つ焦点となる。

OSを基点として、クローズの勢力圏を広げていくのが基本戦略となっている。

最近は、オフィスをXML対応を意識して進化させたり、外部からのデータを取り込む流れを作っているところもあり、今後バランスが変わっていく可能性はあるものの、大筋は変化ないだろう。

・シスコ

シスコの進化の歴史をアーキテクチャー面から見ると面白い。まず、基本的に業界標準をサポートし、複数のプロトコル間を繋いでいくことをミッションとしている。マイクロソフトOSのようにコアが独自のもので出来ているのではない。規格もインターフェースも標準準拠が基本となる。

市場のポジションは複数の規格間を繋ぐ複雑性を処理する代行者、ハブの役割から生み出されている。大規模な買収を繰り返していたのは企業として成長するという目標も当然ながら、

そもそも業界標準規格をサポートするところから、スタートラインのクローズ度は低い。その後、あらゆるネットワークを吸収することで独自のポジションを築いてはいるものの、根はオープンに近い。

・Sun(Java)

Sunはソフトウェアのオープン化では老舗と言える。コミュニティでは世界最大クラスのJavaをはじめ、今回の目玉であるOpenOfficeなどソフトウェアのオープン化を企業として進めてきた代表プレイヤーとなる。

元々、Javaも対マイクロソフトのツールとして話されることが多く、実際、OSレイヤーを無効化させるために一枚上に仮想でアプリケーションを支えるメタOSのような機能の提供が基本の役割となっている。戦略上の扱いも長い間そうであった。

しかし、Javaは自社所有物としての扱いから徐々に業界全体の共有財産という位置づけに移行してきている(現在に至る多数の議論や行き違いはもちろんあるが)。業界の標準的な共有財産とし、全体バランスを取りつつも自社との繋がりを残しておく。同時に、BEAの事業領域には入り込まないことで系全体が育つのを緩やかに後押しする。対マイクロソフト戦として育っていたところから徐々に新しい戦略モデルになっていったと理解している。

必ずしも自社ハードに返ってくるとは限らないところが弱点ではあるものの、コモデティ化と標準化が進む数十年の歴史を考えると、オープンコミュニティとの距離感を掴んでいる代表企業とも言える。

Google

Googleのアーキテクチャーは(誤解を招かない表現として受け取って頂きたいが)、内部のクローズ度とインターフェースの公開という二点から見るとマイクロソフトに近い。

とはいえ、オープンソースのように公開する必要が現時点である訳でもないので、代表的な技術文書、仕様の方針が競争力を阻害しない範囲で出されていれば良いところだろう。APIの仕様と動作が分かっていれば、且つ極端に仕様を変えたりしていかない限りは大きな問題にはならない。

また、Googleの情報管理方法は、マイクロソフトに近い印象を受ける。もしくは、クローズド具合とユーザーとの距離感で考えるとアップルでもよいかもしれない。インターブランドの毎年の調査でここ数年上位をアップルと入れ違いのデッドヒートを繰り広げているが、丁度、アップルとマイクロソフトを一定割合で足すと(いまのところ8:2比率くらい?)、Googleブランドに近い感じになるだろう。自社仕様情報はあまり外に出てきていない。

自社仕様で市場の覇権を握るのは、収益性としては最大化に繋がりやすい。ある種夢の領域だろう。財務的な数値を重視するのであれば、如何に達成するか突き詰めて行っても良い方向性である。

これらの前提で今回のSunとの提携を読み直すと幾つか背後の仮説を推測することが出来る。どれが当たりなのかは諸説あるだろうが、つらつら考えてみるのも状況を理解するケースとして面白い。

・Googleは元々そんなに独自の市場覇権という発想は持っていない。押さえるポイントを絞り込み、今回対象となったアプリケーションについては標準対応を行った。中立的対応。

・Eric Schmidtは元々SunでCTOの役割を果たしていたため、オープン化とはなにかについては十分に知り抜いている。積極的に取り込みを行った。

・そもそもWeb上を独自技術で塗りつぶすことは難しく、更にデータフォーマットに依存の高いオフィスアプリケーションをこれから作り出していくことは困難な作業となる。よって、有力代替としてOpenOfficeを採用した。

彼ら自身がどのポジションを志向しているのか、テクノロジー産業が本質的に向かう方向はどこにあると捉えているのか。ほんの少し透けて見えている印象を受けている。

以上にはクライアントサイドとサーバーサイドの議論を加えるべきではあるが、組み合わせが複雑化するため本稿では範囲外とした。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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