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希薄化するレイヤー境界とプラットホーム間競争

2005/08/10 12:09
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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同時多発と言えば良いのか、OS(アプリ)とインターネット層の役割分担について似たような議論が展開されているのに出会った。テーマは異なるのだがまるで同じことを語っているように見えてしまう。面白い対比なので、整理してみたい。
 
 
Yahoo! Widgets/RSS
 
ひとつめは、奥一穂氏のBlogで数回に渡ってやりとりされていた、「Yahoo! Widgets が RSS を駆逐する?」のかどうかとの議論。競合しないとする立場の論拠を一点に集約すると、技術レイヤーが異なるため、となる。

奥氏のコメントは以下の通り。

 レイヤが異なれば競合しないのであれば、 Windows 上で動作するウェブブラウザを作っていたネットスケープはマイクロソフトの脅威ではなかったことになる。しかし、実際には両者は競合していたし、マイクロソフトは全力をもってネットスケープをぶっ潰した。
 両者の、では何が競合していたかというと、そのテクノロジの上で動作するアプリケーションが競合していたのである。

乱暴な言い方をすればユーザーは目的が達成されれば手段は何であっても気にしない。少なくともマスの層に行けば行くほどこの傾向は強まる。東京大阪間を移動するのに飛行機か新幹線か車かを比較するのがユーザーの普通の感覚であるのと似ている。

Yahoo! WidgetsとRSS(+RSSリーダー?)は確かにアプリと規格とレイヤーは異なっている。しかし、ユーザーに快適な情報管理を提供するという目指すところは大きくは違わないため、ベンダー側の思いはともかく、ユーザー側はどっちが便利かを普通に比べることになる。

また、もう少し事業者サイドに話を持っていくと、開発やサービスのプラットホームがどこに集約されるのかという議論に置き換えられる。この点はネタフルのコメントが平易で分かりやすい。

RSSは言葉も難しいし、概念も難しい。だから、なかなか一般に広まるのでは難しいのでは、と思っていたんです。少なくともブラウザが対応するIE 7くらいまでは、ほんの一握りの人たちのものなのではないかと。

そこにYahoo! Widgetsが登場したのですが、確かにRSSを読ませるためのツールとしては、非常にシンプルで分かりやすいのではないかと思います。一番良いのは、RSSを意識させないことでしょう。

Yahoo! が提供するYahoo! WidgetsというOS上で動作するアプリケーション「ウィジェット」として見せることによって、利用者は難しいことを考えずに企業の情報にアクセスすることができるようになります。

更にまとめると、使いやすい形で普及したもの勝ちであり、それはRSSという純粋技術規格よりもYahoo! Widgetsというサービス化させた形である可能性がある、と言い換えられる。

昨晩、先日インタビューさせて頂いたPRTMの小野寺パートナー、山田さんにお会いした際の議論にもちらりと出てきたが、あるレイヤ構造を前提としてではなく、レイヤの構造自体を問う競争、プラットホーム間(レイヤ間)競争が起きているのが現在だと感じている。同種の現象はメディアビジネスにもモバイルビジネスにも見て取れる。
 
 
グーグルOS/マイクロソフトOS
 
二つ目はLonghorn周りの議論の延長でも触れられているLife is beautifulの「Google OS を妄想すると未来が見えてくる!?」。

中身は、インターネット上に公開されているWebサービス、API群が安定したネットワークを前提とするとプラットホームとして機能し、OSの役割を果たすことになるのではないか、平たく書くとGoogleは事実上のOSを作り上げることでマイクロソフトを駆逐してしまうのではないかという昨年から各所で語られている議論。ただし、当のWindowsやIEの開発に関わっていた当事者なので、文章密度が濃くて面白い。

要するに前段と同じ議論の構図になるのだが、このレイヤー間競争は「PC業界の人にこの話をすると理解できない人が意外なほど多い」(kush's blog)。視野に入っていないのだ。同じく、メディアやモバイルの方に構造変化を前提としての競争戦略を問うてみた時も近しい感覚を受けることがある。
 
 
レイヤー越えの競争戦略
 
結局、話としてはこの一点に尽きる。

いわく、テクノロジのレイヤが異なるから、 RSS (データ) と Yahoo! Widgets (UI) は競合しないのだと言う。

この考え方は、純粋に技術を論じる場合には正しいかもしれない。しかし、実際のビジネスにおいては、間違いである。

感覚的には2000年か2001年くらいが始まりと捉えているが、OSIの基本層、あるいはもうちょっと細分化して7層以上に分解したモデルを前提として事業ドメインが決まり、市場が分解されていた前提がゆっくりと崩れ始めている。根っこを辿るとIBMがサービス事業に舵を切ったところまで戻っても良いのだが、直近の切れ目はインターネットバブル前後のどこかだろう。

プレイヤーの側が新しい競争前提になりつつあることを意識できずに従来の思考モデルでのみ考えを進めてしまっていることが良くある。結果、事業方針を決める際、本質的な事業の脅威が検討遡上に挙がらないままに今後の戦略が決まってしまう。

しかし、スタートラインからずれてしまっている場合、幾ら実行フェーズに力を入れても空回ってしまう。環境変化対応が遅れるとシェアが落ちるといったレベルではなく、事業そのものを失ってしまうリスクに晒される。内部関係者ではない視点も加えて事業環境のモニタリングを行うのは当面必要なのだろう。

追記:
Googleがニュースのフィードを出し始めていますね。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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