最終更新時刻:2008年7月25日(金) 21時03分

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より良い製品戦略を求めて:PRTM小野寺寛氏、山田政幸氏インタビュー(1)

公開日時:
2005/07/14 00:06
著者:
渡辺聡

こういうBlogを書いている関係上、『キャズム』や『イノベーションのジレンマ』、『オープンアーキテクチャー戦略』などのテクノロジーマーケティング、テクノロジーマネジメント関連に資料には割と目を通している。

クリステンセンの一連の著作でも重点的に取り上げられているが、技術の変化により産業構造ががらっと変わってしまうのがハイテク産業の特徴となる。ポーターが基礎を固めたリソース配分とポジショニングでは説明のしにくい現象は事例に事欠かない。

構造変化をどう捉えて対応するのかについて、万能包丁とは言わずとも良い整理の方法はないものか探しまわっていたところ、ET研で何度かご一緒させて頂いている山田政幸氏より、手前味噌にはなりますが技術戦略/製品戦略について面白いフレームがありますよということで『プロダクト・ストラテジー』をご紹介頂いた。

目を通してみると、アーキテクチャーへの言及は若干薄い気はするもののちょうど今自分が欲しいと思っていた考え方が整理されている。嬉しい出会いとなったので、「せっかくなので」ということで、背景も含めてPRTMのパートナーの小野寺寛氏にも合わせてインタビューさせて頂いた。PRTMのパートナー職と合わせて、早稲田大学先端科学・健康医療融合研究機構で客員助教授もされている。

 
 
そもそもの経緯
 
--まず、基本的なところからですが、産業界のどのようなニーズを感じて本書、もしくはベースとなるフレームワークは開発されたのでしょう?

PRTMの製品開発に関するフレームワークは、80年代に米国の開発が競争力を失っていた時に、他の国々の企業も含めて、世界的に競争優位に立っている企業の観察することによって形成されてきたものです。それが製品開発におけるビジネスマネジメント、プロジェクトマネジメントのフレームワークであり、本書で述べている製品戦略のプラットフォームです。Right productをright timing で市場に導入する(Do it right, do it fast)を実現するのが企業の競争力の源泉だと認識しています。それを解くためのフレームワークだと考えています。

--適用導入のインパクトはどのようなものが期待されますか?裏返すと、どのような企業に良くマッチするのでしょう?

基本的には、開発型の企業であれば、どのような産業にも適用可能なものです。このフレームワークを適用することによって、より良い製品を早く生み出すことが可能になると考えています。

--導入可能な産業分野(セクター)と、代表的な適用法を幾つか教えてください。

どんなフレームワークでもそうですが、フレームワークが問題のすべてを解決するわけではありません。問題解決をより容易にするための手段に過ぎません。従ってあらゆる産業、企業で、適用は異なってきています。ただし、成功するための核となるコンセプトは、共通ではないでしょうか。

--当初想定していなかった意外な応用事例があれば教えてください。

すぐれた企業は、優れたプラクティスをあらゆる領域に適用しています。製品開発のフレームワークで考えてきたものが、財務の資金調達の意思決定や、人事制度開発に使われたというようなケースもあります。
 
 
日本市場導入について

--シックスシグマを日本企業に導入している方のお話を伺ったことがあるのですが、やはり四半期を大事にする米国と日本ではやり方が違ったりとローカライズが発生している様子です。本フレームワークではローカライズや日本独自の使い方など出てきているものでしょうか?

前述したように、フレームワークを適用すれば、そのまま結果が出てくるというほど、経営は甘いものではありません。米国の企業であっても、フレームワークの適用は各企業の事情によってすべて異なります。ただ、米国の場合は、様々な価値観を持った人たち(宗教も違えば人種も違い、育った環境もまったく違う)をまとめて成果に結び付けていくために、共通の言語、共通のフレームワークを適用するニーズがもともと大きいという事情があるように思います。それに対して、日本では、暗黙知を暗黙知としたままであっても、問わず語らず各要員が全体のことを考えて最適化しようという風土があり、正しいことをやろうとして、結果として正しくなる、という可能性が比較的高いのではないでしょうか。従って、フレームワークを担ぐと、『何をいまさら当たり前のことを』という反応があり、そのような風土、文化に対処しなければならないという難しさがあります。

また一方、日本では、比較的優秀な人たちがどの層にも満遍なくいる、という構造を持っていますので、例えば、できる人たちだけを集めてプラットフォームを構築してそれを展開する、というアプローチの優位性は分かっていても、個々の開発で、より良いものと作ろうとして、結果としてそれができてしまう、という傾向があります。それが強さでもあるのですが、戦略的な製品開発ということでは弱さになるケースもあり得ます。

本書に紹介されているフレームワークについては山田政幸氏に簡単にサマライズ頂いたのだが、非常に長くなってしまったので改めて次回にとして前半のみで簡単にコメントを。
 
 
産業セクターにはそれぞれ癖があるというのは何を今さら指摘するまでもない話であるが、ハイテクはハイテクなりの特徴があり、戦略論にしても漸進的な産業の成長を暗黙の前提で持っているモデルはなかなかに使いにくい。競争のポイントが単に変わるのではなく、産業構造が変わり市場が完全に消えてしまったり、もしくは旧来の技術が一切使えなくなってしまうことが多々あるためとなる。

よって、資源ベースの戦略論(リソース・ベースド・ビュー)とリアルオプションの組み合わせのような見方の方が相性がよくなるのだが、あまり行き過ぎると今度は変にストラテジックなバイアスばかりかかってしまい小手先感が出てしまう。その会社の芯、アイデンティティを捉え難くなってしまうためである。

変わることを前提としつつ、変わらない蓄積を追いたい。単にブランドやビジョンなど上から引っ張るものではなく、もうちょっと低いレイヤーで技術に接点のあるところでその会社の軸を上手く整理する見方があると良い。おそらくプロダクト・ストラテジーが要望された背景も単体技術ではなく、もう少し広い範囲での技術評価も含めて行いたいという似たようなところが混じっているのではなかろうか。当事者の思いまでは分からないが当たらずとも遠からずではないかと思っている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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