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NTTデータはEDS化するのか:アウトソーシングビジネスユニット安藤氏、柳澤氏インタビュー

2004/12/16 11:32
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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先日のエントリ、「IBMに見るアウトソーシング戦略の現状」でも取り上げたが、アウトソーシングからBPOに至る市場が最近また動いている気配を外から見ても感じる。プライベートBlogの方でも少し触れたがIBMのPC事業売却も一種のアウトソーシングだと捉えられなくもない。少なくとも、スキームを見る限り単純なM&Aの形をしていない。

様々周辺市場との連動を考えると一度整理しておいた方がよいのではという思いがこのところ強くなっていたため、悩んだら当事者に聞くべし、の原則に乗っ取り、NTTデータのアウトソーシングビジネスユニットの安藤直樹氏(担当課長)と柳澤義浩氏を訪ねた。

ご存知の方も多いと思うが、NTTデータは日本企業では珍しく、大規模な資本参加も含めた出資比率50%超のアウトソーシング案件を立て続けに発表している。リリースで相手先を時系列に追うと、2002年8月との日本たばこ産業案件、2003年1月の三洋電機案件、同年9月の日本板硝子案件、同年10月から2004年3月のセイコーインスツル案件と5割から8割の出資比率のものを立て続けに発表している。全案件合わせても売上数百億であるため、NTTデータ全体売上の八千億強と比較すると、屋台骨というほど大きくはない。しかし、M&Aと捉えても決して小さなディールではなく、日経金融新聞の2004年6月21日記事等でも今後この動きが加速・強化されることも確かではある。
 
 
--アウトソーシング市場に参入した経緯を教えていただけますか。

ご存知の通り、アウトソーシングは日本IBMが90年代以降活発に動いている領域です。私達は法人分野におけるアウトソーシング市場のプレイヤーとしては後発になります。 NTTデータは公共、金融、法人の三つの事業本部を主軸として市場を捉えています。元々NTT、電電公社ですし、CafisやANSERといった業界横断的なBPOインフラに実績がありますが、その反面NTTに関わりが強いことによる縛りもあり、公共性の高いもの、業界横断型というものが事業領域の主たるところとなっていました。

昭和63年にNTTデータは会社として分社独立し、そこからプレイヤーとして法人市場を攻め始めたのですが、既に市場の勢力図はほぼ決まったあとだったため、上手くアプローチ出来ずにいました。情報システム子会社への資本参加は、そのような市場の中で法人分野の優良顧客(NTTデータでは「プラチナ顧客」と称しています)を獲得する手段の一つとして取組み始めました。また資本参加のもう一つの目的として、NTTデータは自社製ハードウェアを有さないSIerであるため、他のメーカー機能を持ったベンダーと比べて不足していた製造業のノウハウを吸収するという目的もありました。よって資本効率だけを追求する、いわゆる「M&A」のスタイルは取っていません。
 
 
--つまり、きっかけは営業戦略の一環ということでしょうか?

そうなります。
 
 
--資本まで入れるのはなぜでしょう?
 
NTTデータは他社の資本提携スキームとは異なり、情報システム子会社の親会社とNTTデータ間でアウトソーシング契約は結びません。NTTデータはあくまで情報システム子会社の後方支援、共同事業者としての立場となり、元々子会社が持っていた親会社とのサービス提供の契約は残します。

つまり、NTTデータの直接のお客様は親会社ではなく、子会社となります。その各子会社向けに組織している支援専門部隊に要するコストは、NTTデータが営業費用、販管費として負担します。ここから、NTTデータがリターンを得るためには過半数の資本を子会社に入れ、連結で利益を計上することが必要になってくるのです。(旧)親会社にとっても、子会社から提供されるサービスの品質が向上されるため、満足度が高まります。もちろんNTTデータは子会社経由以外でも親会社に対し様々な提案をさせて頂いておりますが、子会社を尊重する姿勢には変わりありません。。
 
 
--このスキームを採用することで出来ることは何になるでしょう?

まず、情報システム子会社の成長に繋がります。NTTデータとの資本提携前は親会社が別の業種に属していたわけですが、NTTデータグループに加わることにより、IT業界の企業として名実共に歩み出すことになります。次に前述の通りNTTデータから各子会社向けに組織された専門部隊によって提案のサポートが行なわれたり、「NTTデータユニバーシティ」による充実した教育研修の機会が提供されたりします。これらを通し、外部の案件へのアクセスが増えますので経験を積む機会が大きくなります。さらに、親会社がNTTデータに変わった後も、これまで通り(旧)親会社に対して主体的に提案できるため、子会社のモチベーション維持にも良いようです。
 
 
--典型的なアウトソーシング契約のパターンと比べて、お客さんの側からみてどちらが良いのか選択基準となるものはありますか。

短期の単純なコストメリットを追求するのであれば、IT業界で一般的に行なわれているアウトソーシング契約の方が有利です。中長期的なサービスレベルの向上や企業の成長を追求するのであれば私達の資本提携を伴うアウトソーシングが良いのではないでしょうか。また、NTTデータの場合、資本提携後に情報システム子会社が(旧)親会社にとってブラックボックス化しないよう、最低でも年に二回は3社(旧親会社、情報システム子会社、NTTデータ)の役員クラスによる会談を設定しており、他にもこちらは部課長クラスになりますが、資本提携によって誕生した子会社同士をネットワーク化し、現在は3つのWGを組織してそれぞれのテーマに基づき活発に活動しています。さらに月に1回、情報システム子会社の社長・常務全員によるITビジネス開発会議を開催し、シナジー効果を追求する仕組みを様々な形で整えています。
 
 
--となると、一業種一社とかいうルールはあるでしょうか。

ノウハウの流出に関しては、業界構造にも依存しますが、厳密に一業界一社ということは、SI事業を見てもそうなってないです。とはいえ、航空のような寡占の傾向が強い業界等では、配慮は必要かもしれません。
 
 
--提携先選定の方針はありますか。

まず、製造業で基幹系に近いところが優先で、業界ごとに組織しているNTTデータのビジネスユニットがあるところから順に進めています。もちろん、相手あってのものですので、考えている通りそのまま進むわけではないのですが。この記事を読まれた情報システム子会社の方々、その親会社の方々からお声がけが来ることを期待しています。(笑)
 
 
--会社として取りたいポジションはありますか。

上流にやはり行かなければならないという意識はあります。7月にITコンサルティング専門の会社、NTTデータシステムデザインを設立しており、特に製造業に造詣の深い優秀な人材を積極的に中途採用しています。
 
 
--再び企業の側に戻って、ユーザー企業側が残るもの、残すべきものは何になるでしょう。

IT戦略の立案については普通残ります。例えば、本当に戦略の構築に特化しているある上場会社のお客様では、3人でIT戦略立案をやっているところがあります。考えるところにフォーカスしている訳です。
 
 
--ユーザー企業から見て、実際の構築や運用管理などは外出しして分けてしまった方が全体としては良くなるのでしょうか。

大きな流れとしてはそうかもしれないですが、現場が分からないと空洞化が起きてしまうので、人事ローテーションで時々子会社に行くなり、あるいは私達のところに出向として来て頂くなどの対応は行う必要はあると思います。
 
 
--それでは逆に、ユーザーから依頼されても受けずに断ることはありますか。

特になし。依頼があればやりますし、戦略構築のサポートもするときはします。例としてリクルートさんは一度記事にもなりましたが、戦略立案のサポートも行っています。(NTTデータでは「ITディレクター」と呼んでおり、複数の企業へ現在も派遣しています)
 
 
--Amazonなどはテクノロジーベンダーとしての機能も持っていますが、競合と見るでしょうか。

お客さんとなるのではないでしょうか。Amazonのバックエンドシステムを支えるというパターンはありそうです。この場合、サービスとアプリケーションまでが先方、インフラについてはデータという形での役割分担となります。Googleのような社内で賄っている場合は確かにありますが、レアケースだと考えられます。
 
 
--それにしても、息の長いビジネスだという印象です。

確かに、スキームの評価が5年10年かかるものなので、タイムスパンは長くなります。結局良かったのかどうかはかなり先になって分かることとなります。
 
 
--
非常に”なるほど”の多いインタビューとなった。一般的に認知されているIBM型のスキームとNTTデータ型のスキームの違いは収益の獲得方法がアウトソーシング契約に基づく支払いか、企業価値と収益力の向上かとのビジネススキームの違いにも出るが、最後の最後、エージェンシー理論のようなところに落ちていく(詳細は、『組織の経済学』あたりを参照ください)。

日本型欧米型というのではなく、目指すものが全く異なる、似て非なるビジネスモデルだというのが結論となる。

外部のアナリスト評価を見ていると、上手く行っているのか行っていないのか評価がしづらいというコメントが見られた。確かに短期のハイインパクトを生むものではなく、グループ化、系列化を推し進めているのに等しい。話が複雑化するという意味では、むしろアナリスト泣かせだろう。

あと、話し始めて十分経たないうちに結論が出てしまったのだが、話の理解としてアウトソーシングやM&Aと同じで括ると却ってややこしくなる。営業戦略上のボトルネックがあり、ネックを取り除くために必要なオペレーションは何か、という問いかけから資本参加という流れを理解するとスムーズに腹に落ちる。この一言を伺えただけでも収穫と言えよう。

安藤さん、柳澤さん、遅い時間にご対応頂きありがとうございました。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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