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インターネットは意思決定の質を高めるのか?

2004/11/09 14:43
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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情報処理産業、情報サービス産業はハードやソフトを、最近ではサービスも提供する産業というのが狭い定義だが、一歩引いて位置づけを考えると、情報=データをどう管理運営するかという見方も出来る。IBMがPWCを買収したから、アクセンチュアが情報サービスビジネスにシフトしているからではなく、そもそもコンサルティングやメディアとは代替商品の関係にある。

ある情報が必要だとする。何かを決めたり考えたりする素材の情報を得る方法は幾つかある。まず、専門家を捕まえて一括外注してしまう。コンサルティングや調査のビジネスであるが、サマライズされ、知見も付加されたレポートなりデータを得ることが出来る。

次に、一次情報をかき集めてきて考えるといったことも出来る。この場合、素材情報の仕入れコストを別とすると、人件費が必要となる。自分で考えるか部下なりパートナーにこなしてもらうかは別として誰か知恵熱を出した分の給与が支払われる。

あるいは、社内情報であればこの傾向が強まるが、コンピューター解析させてもよい。システムにデータを溜め込み、計算なり描画してもらう。この場合、システムの購入費用と運用コストがかかっていくことになる。

「来期の販売計画は?」「発注量はどれくらいが良いのだ?」「顧客動向に変化は出ていないか?」「市場でリスクは高まっていないか?」などなどの設題に対して上記のような幾つかのアプローチでもってヒントとなる情報を得ることが出来る。そして、師匠松岡正剛であればこれらを統合して「編集」という一言で括るのだろう。

というベースの問題意識がこのBlogのコアテーマの一つでもあるのだが、”情報”そのものを真正面から取り扱うということはあまりない。抽象的過ぎて取り扱いづらいからである。
 
 
情報過多と意思決定
 
HBS Working Knowledgeに「The Hidden Cost of Buying Information」という割と正面からテーマ設定した記事が掲載された。

We all need good information to make decisions—that is why consulting is an industry that never goes out of style. But paying for information can carry a hidden cost: We may give it more weight in our decision making than it deserves.

ということで、上記にまとめたテーマ領域設定とかなり近い切り口でまとめられている。

キーポイントを引くとここになる。

The experiment is part of her wider interest in what might be considered a paradox in today's "Information Age": More information isn't always better. "Past research largely focused on the adverse effects of insufficient information. My interest, instead, lies in the potentially harmful effects of too much information, i.e., the conditions under which an additional or excessive amount of information might be detrimental to decision making," she says.

インターネットも含めてシステムが安価で手広く使われるようになり、触れることの出来る情報は日に日に増えている。増えたことによって、意思決定の質が高まったかと問われると、そうでもないというのがハーバード大のFrancesca Ginoの行った調査の結果である。更に踏み込んで、質を上げないどころか情報過多による問題があるのでは、悪影響を与えているのではと指摘している。

なぜ悪影響を与えるのか。一般に、意思決定に際しては意味のある情報が増えれば意思決定の質は高まると考える。集めた情報から「これは使える」と判断したものを篩い分け、決めていくというのが意思決定理論の基本的なモデルとなる。

With the standard model, a decision maker should be willing (and able) to discard (i.e., ignore) information that would not improve the quality of the decision. One of my experimental studies shows that this assumption is not valid: Once one pays for information, it is hard to ignore it.

しかし、実験で示されたのは、篩い分けのプロセスは標準的な仮説が思い描いているほど上手く働いていないということだった。

難しい理屈を言われずとも、納得の出来る話であるが、きちんとした形で検証されたのは面白い。情報が増えることによって、意思決定の質が下がるといった話をシンプルに説明出来ている。

また、情報も獲得経路、出所によって品質判断にバイアスがかかる。、コストをかけて獲得した情報(アドバイス)はより有用に見えるというものである。

Using a within-subjects design (i.e., each subject experiences both the free-advice treatment and the costly-advice condition), I find that decision makers tend to weigh the advice they get significantly more when they pay for it than when they get it for free. This is equivalent to saying that individuals discount others' opinions significantly more when advice is free than they do when advice is costly. I refer to this bias as "information overweight."

これも良く分かる。本が高いとなんだか有り難味があるように感じてしまうなど日常的にも接しているところである。
 
 
アドバイザリーサービス
 
このモデルを企業経営の場面に持ってくるとどうなるか。

And it is hard to think about important management decisions taken without soliciting or receiving advice from colleagues, supervisors, project team members, or from external experts, like consultants. This advice seems to have a really strong influence on which decisions are actually made. Seeking advice often entails some cost either in time, effort, or money. If you travel to another city to seek a second medical opinion, you likely incur a significant cost. Or, if your company hires a consulting firm or investment bank to provide advice on a strategy decision, there are significant costs involved.

企業のトップやマネージャーが外部のプロにアドバイスを求める場面はしばしばある。コンサルティングや金融関連、もちろん情報化投資にも何らかのアドバイサリー業務は付き物である(例え、表面上の値付けは他の名称であったとしても)。

残念ながら、企業内でバイアスがかかった情報処理、システム的な情報処理ではなく、マネジメントの意思決定としての情報処理が行われいるかの実証研究は存在していないという。しかし、

one often hears managers lament the tendency of their companies to listen to the advice of consultants over the advice of internal people. In real-world settings, of course, many factors may be at work. In some cases, the second medical opinion may actually be a better quality opinion. Or, the consultant may have advice based on better information or a more objective view.

類似例の傾向や肌感覚からして、どうやらあるんじゃないかという雰囲気が漂う。

また、このコスト意識は実際のお金以外のコストにも拡張することが恐らく出来る。

I do believe information overweight would occur in non-monetary situations. Often the role money plays in decision making is not different from the one played by time or effort. Think for instance about the psychology of sunk costs. Whether the investment that has been made is in money, effort, or time, the fact that it has been made results in a tendency to continue the endeavor. Similarly, it is reasonable to expect that if we spend a lot of time looking for information, once we have it available we are more inclined to use it.

コストとして拡張対象になるのは、時間や労力である。時間をかけて考えたことは良い品質であると思いがちであり、また頑張って決めたことはなんだか良い決定なように感じてしまう。

デバイスやらネットワークやら、如何にもというテーマからたまにはちょっと外れたところから。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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