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ジョン・ヘーゲル?世の予言

2004/11/05 01:58
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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バブルの頃に仮説的に言われていたことが現実化している、もしくは現実が当時の想定を越えているという事態は身の回りで珍しくなくなっている。モバイルで服が売れてしまうご時世である。何が起きても驚かないというくらいで良いのかもしれない。その他、最近昔言われていたが今どうなっているのか、と検証にかけている事項がちらほらある。突然古い文献を取り出してきて読んでみたりといった具合である。
 
 
企業解体論
 
資料を振り返っていて組織論、ワークスタイル絡みで最近ふと思い出して気になっている論文がある。当時マッキンゼーのコンサルタントだったジョン・ヘーゲル?世が2000年に出した「アンバンドリング:大企業が解体されるとき」(Unbandling the Corporation)と題された一本である。ハーバード・ビジネス・レビュー、当時はダイヤモンド・ハーバード・ビジネスの2000年5月号に掲載されている。

簡単にサマライズすると、情報化が進むと組織は機能別に解体されやすくなる。情報処理コストが下がると、コアプロセスの基本的な違いにより、最適なエコノミクスが変化し、組織の割り方も再定義されるというものである。類型として、

 1)イノベーション業務
  エコノミクス:市場参入スピードが勝負
  組織文化:スター社員を優遇する
  競争:人材獲得競争と小規模プレイヤーの乱立

 2)カスタマー・リレーション業務
  エコノミクス:スコープの経済、顧客シェアが勝負
  組織文化:サービス志向
  競争:スケールの拡大、統合が進行

 3)インフラ管理業務
  エコノミクス:固定費が高い、スケールの経済
  組織文化:標準化とコスト効率重視
  競争:スケールの拡大、統合が進行

の三つが基本軸に挙げられている。

モデルは特に奇をてらったものではない。論文自体は、情報の流通方法と蓄積ポイントがどこになるかで競争優位性の築かれ方が変わってくるという指摘と合わせてのものとなる。今回詳しくは触れないが、「そうそう、分かる分かる」と言いたくなるモデルである。シスコ、インテルやYahoo、Googleなどの巨大企業と周辺の企業群やIBMなどのエンタープライズ向けサービスを行っている企業群などの役割を当てはめてみると素直に頷ける。基本的な見方として、今でも結構使えるなというモデルである。

上記は基本モデルとなるが、情報の流れ方が変わると組織や仕事の流れ、人の流れも変わりうることは様々な顕れ方をしている。例を挙げつつ。
 
 
どこでも働けるはずだったのでは?
 
CNET御手洗社長のBlog、Log the Endless Worldに「長野へ」というエントリがあった。ガリレオという翻訳サービスを中心に提供している長野の会社の訪問記録である。

ガリレオという会社に私が興味を持ったのには理由があります。ガリレオは、長野にありながら、多くのフリー翻訳者の方々や都心の企業と連携し、ビジネスを拡張されています。言わばインターネット黎明期に言われた「リモートオフィス」を地で行っている会社として一定の成功をおさめている訳です(以前リモート環境で働かれる方々のための労務管理システムを見せて頂きましたが、発注から納品、支払管理等々、よく出来ているなぁと感心した覚えがあります)。長い不況の中にある地方経済にとって、ガリレオのモデルは1つの有効なケースとして考えることが出来るかもしれないと、最初に赤木社長にお会いした際に、会社のお話を伺って感じていました。

サテライトオフィス、リモートオフィスというのは言われ始めて久しいが、まともに導入されている例というのはそう耳にしない。諸外国でも幾つか事例は出ており、不可能というのではないことは示されているが、一般的に普及しているとはとても言えない状況である。私達は”IT革命”で素晴らしく便利な世の中を手にするのではなかったのか。満員電車や交通渋滞から無縁の生活を享受出来るのではなかったのか。

この点、中間のロジックは省いて結論に飛んでしまうが、適応出来る人と出来ない人がいると考えている。ウェブで、遠隔でというのは独特のコミュニケーション感覚が要求される。テキスト情報の比率が増えたり、音声の比率が増えたりする状況でお互いの顔色を伺いつつといった感覚をウェブでも持てるような人であれば特に差は無いというケースもあるだろう。しかし、世の中全てが技術の進化とともにスムーズに変わっていくというものではない。慣れと適応の平均値が幾らか高まるまでは当面今と大差ない状況は続くことだろう。

とはいえ、見えないハードルは高いものの、現実的に事例も出てきているのは確かである。
 
 
ネットワーク型組織
 
再び、ジョン・ヘーゲルの近い所に。

先日、編集工学研究所の方と意見交換を兼ねて話をする機会があった。主事業(?)として編集学校を運営しているが、ここの組織はかなりネットワーク型の設計になっている。現在直接参加はしていないが、生徒だったことがあり、馴染みの繋がりである。

他にもプライベートで関わっている組織でネットワーク型になっているものが幾つかある。ガバナンス設計まで含めてもフラットな作りになっているものもある。情報インフラが安価になり、常時接続が当たり前になり、ダイレクトに誰かと繋がって何かをするという機会が多くなった。簡単に言うとプロジェクトチームと同じような組織設計になる。一緒に何かをするコンテクスト、目標を揃えた後にリソースを適時それぞれの都合の範囲で投入していく。チームは、コンテクストに沿って合う合わないを個々人が判断した上で組まれる。入りと出も比較的緩やかでオープンな設計を取る。個々人が費やしている通信ネットワークの維持コストを無視すると、固定費の少ない組織となる。

情報系の業界に属しているため、かつ身の回りにも似た系統の人の割合が多い。世の中の状況の平均値では間違いなくないだろう。しかし、傾向として、オープンかつフラットというやり取りは増える感覚を受けている。テーマごとに別々のチームを組んでそれぞれを維持するのも昨今非常に簡単である。細かい意識合わせなどはやはり直接会っての方が話が早いこともあるが、要所要所以外はネットワーク経由で済む割合が増え、かつ繋がりを維持する手間は小さくなっている。

長野の事例ほど目覚しくは無いが、なんだかんだ言いながらも知らぬ間に結構物事は進んでいるという実感をここしばらく受けている。身体的には、所属の感覚に変化が起きている。
 
 
新しい仮説
 
最後に類型に戻って少しだけ。小さなチームを効率よく回す、しかも複数パラレルというのは楽になった。しかし反面、2と3が置き去りにされている感覚を受ける。インフラやシェアード・サービス的な部分は需要が高まりつつあるのでは?というのが、新しく持ちつつある仮説となる。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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