ウェブログがマーケティングツールとして利用される事例が出つつある。「まだトライアル段階」という声がじわじわと伝わってきているところであり、利用法については目下模索中という様子が伺える。
「I ♥ 困ったさんコンテスト」と題していち早くキャンペーンに取り入れたのがP&Gである。ドメイン名が「komatta3.jp」というところまで面白い。
どのような意図と状況認識のもとでこのようなキャンペーンを実施するに至ったのか、ウェブがメディアとして台頭する状況でどのような変化を見据えているのか、マーケティング本部、ブランドマネージャーの伊東正明氏にお話を伺った。
--Blogを利用するキャンペーンは米国でもそうたくさんの事例がないかと思いますが、踏み切って採用したのはどのような理由でしょうか
「わが家のラブリー困ったさん」という基本コンセプトがアリエールの新商品発売キャンペーンとしてありました。この基本コンセプトを具現化するために各媒体特性に合わせたコミュニケーション展開を検討しました。「我が家の」というアイディア自身が「消費者自身を巻き込む」必要があり、消費者とのインタラクティブなコミュニケーションが実践できるインターネットの媒体特性に着目しました。その特性を最大限に活かした消費者参加型企画を実施し、従来のTVやラジオ広告と組み合わせる包括的マーケティング施策を実現させたいと考えました。
ブログを選んだ時、過去に社内外事例があったかどうかは気にしていませんでした。逆に今まで使っている企業が少ない理由のほうが気になりましたが。ただ、そのツールの特性から(口コミ効果を生みやすいトラックバック機能など)今回の企画に最も適しているからと判断したためです。
--4マス5マスと言われ、メディアのパワーバランスの変化が感じられる中で、インターネット、モバイルを広告媒体としてどのような位置づけで捉えられてますでしょうか。そのような役割を期待していますでしょうか。
我々のような日用雑貨品で主婦をメインターゲットにするカテゴリーでは、広告媒体としては4マスに比べるとリーチが低いという欠点があります。それはインターネットやモバイルの媒体特性がプッシュ型ではなくプル型であるという点に起因すると考えます。ただ、リーチは低くなりがちですが、4マスに比べて比較にならないほどDepth(深い)コミュニケーションをとる事が可能です。そういった深いコミュニケーションを実施し、消費者とブランドのリレーションを築く事が可能なメディアとしての役割を期待しております。
--全体として、どういうキャンペーン設計なのでしょうか、Blogはキャンペーンの中でどういった役割を果たしていますでしょうか
TVCMではタレントを起用し「ラブリー困ったさん」の世界観を見せながら、商品特性を訴求します。インターネットでは消費者の方々から「わが家のラブリー困ったさんエピソード」を募集し、毎日応募されたエピソードをブログへ掲載していく事でブランドとの距離を縮めていく事を狙っています。ラジオでは通常のラジオCMに加えて、番組内でナビゲーターが komatta3.jp にて掲載されている最新エピソードを紹介し、サイトへの誘引及びコンテストへの参加を促します。店頭ではキャンペーンポスターと応募ハガキを用意し、インターネットへアクセスできない方もコンテストへ参加できるような受け皿も用意しました。
--どういった経緯よりblogを使おうという話になったのでしょうか。ツールとしてどのようなことを期待していますでしょうか。
経緯は最初の質問でお答えした内容の通りです。
ツールとしての期待は以下の通りです。
1. トラックバックによって生まれる企業と消費者をつなぐ新しい形態のコミュニケーションツール。
2. 低コストでかつスピーディにウェブサイトが構築できるツールとしての進化。
--差し支えない範囲で、ずばり、キャンペーンの成功はどのように定義出来るのでしょうか。
包括的マーケティングを通じて、洗剤にも除菌力が重要であるという事を幅広く消費者の方々へ認識してもらう事。そして、アリエールは優れた除菌力を持つ洗剤であると認知してもらう事。これができれば成功だといえます。
当然、それぞれの活動の単体での効果測定はしますが、それは、今後のプランの変更・発展には使いますが、キャンペーンの成功自身は包括的活動による効果でおこないます。
--世界有数のマーケティング巧者の企業として、今後どのようにすれば消費者とのコミュニケーションを図りブランドを構築していけるとお考えでしょうか。
「Consumer is Boss」という言葉のとおり、まずは消費者をとにかく深く理解することです。ここで80%は決まっていると思います。その上で競合状況を考慮し、クリエイティブとメディアミックス戦略をそれぞれのケースに合わせて効果的と思われる方法で包括的にアプローチをしていきます。すなわち、消費者への各コンタクトポイントにおいて統一したコミュニケーションコンセプトを用いて、それぞれ最適な方法でブランドメッセージの訴求を有機的に組み合わせていくことが重要だと考えております。
あまりにもベーシックなアプローチに聞こえるかもしれませんが、戦略立案の基本は変わらないのでは?ブログのような新しいツールはその実現を助けるものだと思っています。
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P&Gがメディアの変化を注視し、マーケティング活動を刻々と変化させている様子は度々レポーティングされている。例えば、梅田氏の連載でも「消えゆくマスマーケットとミレニアルズ世代」として詳細に語られている。本キャンペーンでも、それぞれのメディア特性から上手く使い分けを行っている様子が伺える。
いち早くマーケティングサポートサービスを展開しているカレンの四家氏とも意見交換をしていて話題になったのだが、企業と個人の距離感の取り方など、実際に使ってみると細かい壁も多い。しばらくは新し物好きというフェーズが続き、その後小さな反動の時期を越えて、普及サイクルに入っていくことだろう。その後どの程度のシェアに至るのかはツールが持つ本質的な力に依存する。
伊東様、お忙しい中ご対応頂きありがとうございました。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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