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日本人として海外アウトソーシングに向き合うと

2004/10/13 05:19
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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マイクロソフトのXP Media Centerの話をどこで区切るかを裏で思案しつつの軽いエントリを。

海外アウトソーシング、オフショア・アウトソーシングについて日本(のメディア)であまり真剣に議論されることは無い。海外投資をしている人が多少気にしていたり、テクノロジーセクターで一部話題にされていたりというのはあるが、明日はわが身という切迫感は感じ取れない。

とはいえ、対岸の火事と完全に切り取っておしまいという訳にもいかず、聞き耳は立てて状況判断くらいはしておきたいと、多少は気になるトピックでもある。

H-Yamaguchi.netにて「海外アウトソーシング:結局問題は何なのか?」という包括的なまとめがあったので簡単にご紹介したい。本件、そわそわしてしまうのは、

日本の場合も、かつては日本語の特殊性という面から、アメリカとは事情がちがう(事務系の業務は海外には出せない)といわれていたが、大連の企業がどんどん日本人を雇っているし、中国人に日本語を学ばせるケースも増えているから、必ずしもそうとはいえないようだ。

ということで、日本語の障壁が絶対とも言い切れないことが事例でも示されつつあるからである。積極的に事業として進出、取り込んでいる日本企業も少なからずある。

詳細については是非直接お読みいただくとして、何点かポイントを。

1.海外アウトソーシングは国内の雇用を奪う
2.海外アウトソーシングはむしろ経済を発展させ、雇用を増やす

この二つの軸を立て、メディアでの資料を整理の上こうまとめられている。

よく読んでみると、1と2の議論はどうもかみあっていないようにみえる。「雇用」の種類がだ。雇用が奪われるという意見は、「自分たちの職」が奪われるという不安からきている。特定の仕事、つまり自分が今やっている仕事が海外に流れるという不安だ。これに対し、雇用を生み出すという意見は、必ずしもどんな種類の雇用かを明確にはしていない。「新たな雇用」が生み出されるとしても、それが同じ職種、同じ給与であるという保証はない。プログラマーの職が奪われた後にあるのは、よりハイクラスのシステムエンジニアか、売り子のような低付加価値のサービス業、といったあたりが典型的な構図だろう。一方からいえば、職は充分にある。しかしそれは、もう一方からいえば、残った職は手が届かないか自分には役不足、ということだ。

典型的なミクロの議論とマクロの議論の不一致の例で、雇用は全体として増えたとしても私が失業するとなると、反対するのが人間の自然な感情だろう。典型的な政治問題である。

さて、ここから論点は更に二点追加されているのだが、最後の一つからもう一文だけ引きたい。

大騒ぎしていた問題の少なくとも一部は、雇用構造の変化やらグローバル化やらといった「大きな」テーマの問題ではなく、単なる景気の問題だったということだ。何の解決にもならないことは同じだが、少なくとも自国の大企業や途上国の労働者を責める筋合いのものではない要素がある、ということは意識しておくべきだと思う。

不景気と中国を結びつける議論と同じ構図になる。統計上、問題の根本は国内需要にあるというのは、貿易論では良く聞く話となる。分かりやすい切り口を見てしまうとつい流されてしまうという話は、森祐治さんなどとも議論をしているところであるが(他にもこちら参照)、一種のメディアリテラシーと言っても良いのだろう。借金を返すべきものという文化規範に乗っていると資本コストの最適化の議論と合わない箇所が出てくるなど、類例は多数ある。例えば、こちらのエントリにある、企業が借金を返済して株価が下がるという話をスムーズに受け取れるだろうか?ファイナンスの基礎論を押さえていないと答えの出ないところになる。

以前このようなエントリをまとめたこともあり、意見表明については、過去ログに譲ることとして以上簡単に。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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