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A9とは何か:John Battelleの見立て

2004/09/20 20:24
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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すっかり連載になってしまったA9をトリガーにしてのサーチの動きについて。ようやくであるが、John Battelleが何を見ているのかを追ってみたい。既に内容的にはまとめてしまったところと重複もあるためにコンパクトにバランスを取りつつ。

A9は大きな変化を意味しようとしているのではないかと考えるのはJohn Battelleも同様である。

the experience of using A9 feels quite distinct from the traditional approach we've come to know at sites like Google.

既存のサーチとは異なるものを提示しようとしているのがA9であると総評している。
 
 
UIの変更
 
UIについてはまず、既存のサーチとの差異から入っている。

Let me explain what I mean by that. Search, as we've come to know it, has for years been stuck in what many call the "C prompt" phase. Like DOS before the graphical user interface, search's user interface is pretty much command driven: You punch in a query, you get a list of results. Many companies have attempted to address this shortcoming (Groxis and Vivisimo, for example), but they lack the key element necessary to truly make an interface breakthrough in search.

いままでのサーチサービスは、非常にコンピューター的だったといえる。「"C prompt" phase」という表現を用いているが、コマンドを叩いて結果のリストを得る。これまでの競争ではリストの精度、ランク付けが重要ポイントとしてフォーカスされる流れが強く、サーチのトラフィックの増大とランキングシステムの解析とが合わさってSEO/SEMという事業分野が生み出された。ランキングのアルゴリズムという一つの「宣託」に如何に追随するかという勝負である。Googleダンスなど派生の話題も多い。

この方式が悪い訳ではないが、情報量が多くなるとなんとか上手く整理出来ないかという需要が生まれる。文中に出ているGroxisVivisimoは方法論は違うがどちらもユーザーのフロント側で情報の見せ方に知恵を絞ったエンジンである。どちらもグルーピング、クラスタリングを行うのだが、前者はこちらのサンプル画面でも分かるように図化して整理を行うもので、後者は「コナン」での検索事例が、名探偵コナン、未来少年コナン、コナン・ドイルなどと分かれているように、ディレクトリの自動生成のような分類表示を行う。

話は一瞬脇道にそれるが、こうしてフロント周りのイノベーションが研究されている反対側で、そもそものランキング精度に問題を感じて作られたGoogleが強い市場ポジションを獲得しているのは面白い。見せ方ではなく、データそのものに問題があるために、データ品質を突き詰めるアプローチにどこか似ている。大抵の場合、人間そう複雑なものが必要な訳ではないということだろうか。

話を元に戻すと、A9はこの「見せ方をなんとかしよう」という系譜に属する。この点においてGoogle、Yahoo、MSNが繰り広げている競争とは軸が異なり共存関係が成立する。

見せ方の中でも、ある検索のトリガーからどの情報を出すのかのキーがユーザーの利用履歴になる。

That key element, I believe, is your click stream, or what A9 calls your history. By tracking not only what searches you do but also what sites you visit, A9 builds a real-time profile of your interests and past Web use. It then folds that profile into both your search results and the search interface itself, making for what can become, with regular use, an entirely new approach to searching.

A9だと「history」と利用しての「Discover」が該当する。これまでの世論の流れからすると、間違いなくプライバシーの問題にぶつかる。例えば、Searchblogのエントリ「Amazon Gives A9 Users a Discount」のコメント欄においても、

I'll be in the minority. I don't like the idea. The idea that my real name, address etc will be tied not only to what I purchase but what search terms I use, websites I visit, what links I save ... if I decide to install the toolbar A9 tracks all searches done regardless of whether they are from A9 or not.

との懸念が示されている。同じ感覚の人は間違いなくいることだろう。

UI、フロントインターフェースについてまとめると、

What Manber & Co. have built with A9 is more of a Web information management interface, with search as its principal navigational tool.

「Web information management」。サーチではあるが、イノベーションとしては少々違うものだというのが総括になる。
 
 
DeepWeb

そもそも、DeepWebとは何かという話については梅田さんのエントリ「検索できないコンテンツは存在していない?」に詳しい。メディアと関連した部分については私自身も以前、「非公開情報と水面下の世界」という形でまとめている。要するに、サーチエンジンのクローラー(ロボット)がindexデータとして取得しないデータが世の中にはたくさんあるが、サーチの利用シェアが高まるにつれて、これら深いところにある情報が人の目に触れなくなってきて、いわば死蔵データとなっている問題である。

単純な解決法としては、インデックスしてしまえば良い。例えば、少し古くなるが、以前まとめたように、Yahooはサーチを上手く自社コンテンツへの誘導に使い、利用可能な独自のデータベースと統合させようとしている。

Amazonが保有しているのは、当然のごとく商品データベースと最近始めた書籍内検索である「Search Inside the Book」。後者については、A9の以前のバージョンからサービス範囲に含まれている。その他、レファレンスや動画検索については、こうまとめられている。

Among other things in the new A9.com, the inclusion of GuruNet is notable. This subscription-based "answer engine" combines hundreds of authoritative sources -- from dictionaries to encyclopedias to maps -- in one place through a simple query-based interface. Though it's won raves from search insiders, so far it hasn't broken out into the mainstream.

キーは「authoritative sources」で、DeepWebの話のキータームでもある。

そもそも、サーチエンジンというのは個別の結果ページの内容と品質については保証していない。何らかのアルゴリズムに従ってページが出されるだけであり、最後はユーザーが自分で判断しなければならない範囲が大きい。辞書や書籍の情報と異なるのが、コンテンツに人のチェックが浅い場合がしばしばあるということである。

サーチ結果の品質を上げるための方策としては、1)アルゴリズムをより良くして、正しい情報が出るように設計する=Googleアプローチ、2)正しいとされる情報を検索結果として表示する、の二つが考えられるがA9はもちろん後者となる。通常検索をサポートする形で、信頼性の高い情報を並行して出すことで辞書を引きながら読み物をするような環境を提供しているサービスだと位置づけられる。

長くなったので、一旦これにて。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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