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ハイプカーブを越えて:ネットイヤー石黒不二代CEOインタビュー

2004/08/30 12:49
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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ネットイヤーと聞いて何を思い出すだろうか。近いところを遡ると一番濃い記憶はやはり第三者割当増資に関わった一連の報道となる。その後、時折社名を目にすることはあっても、「そういえば最近耳にしなくなったな」という白とも黒ともつかない印象のまま今日に至っていた。

きっかけは先々週のこととなる。とあるパーティにゲストスピーカーとして代表の石黒不二代さんがいらっしゃっており、自己紹介と合わせて事業の現状やどのような会社なのかなども説明されていた。この内容が自分の中にあったネットイヤーというイメージと合わない。もしかして、実体を捉え損ねているのでは、と思いお話を伺おうという気になってお邪魔させて頂いた。

つまるところ、ネットイヤーとは何者なのか。

◆この前も主なところは伺いましたが、改めて略歴を。特に、ネットイヤーとの出会いの部分をお願いします。

元々は、スタンフォードを卒業後、シリコンバレーでコンサルティング会社を設立、経営していました。日本と米国の技術のトランスファーに関わっていたり、小池さんとも接点はそこかしこであり、いろんなところで顔をあわせていました。

電通国際情報サービスの一部門からMBOして独立した企業となったときに、一緒にやる機会が出来ました。起業するとなるとリスクが高くなる。それまでやっていた仕事と比べて拡張性、選択出来るオプションが広がることから参加したのがきっかけです。

◆会社のこれまでの流れはいかがでしょう。

コンサルティングと投資を合わせて行うという話も当初からしており、投資家向けの説明どおりには来ています。資本市場とIT市場のどちらもクローズしてしまい上場予定が延びたので、きちんとした形に一度持っていくべく資源をコンサルに集約し、投資部門を完全分離させて堅いビジネスモデルにシフトさせました。SIPS事業部の内部投資についても一旦止めていました。これが二年前になります。その後、提携も含めて残った契約や関係の整理作業を行い、これに一年を要しました。完全に切り替わってきたのは一年前のことです。

◆今の事業ライン。コアビジネスに変化はあるのか。

ビジネスモデルの切り離しと合わせて、SIPSでコンサルに力を入れています。

コンサルティング会社のような階層が上がるに連れてセールスの機能を担うようになり、売上責任を持っていくようなやり方になっていたのですが、バランスとフォーカスが分かれてしまっていたために、上手く機能しないことが分かり営業部門を分けました。営業部門のミッションは数字を取ることです。営業部門だけでも半分コンサルティングを行っているかのような提案をすることも出来ますが、これは部門の本来的な役割ではありません。

サービスラインも拡張しています。サイトを設計構築して出来るプロモーションとの接点が拡張して、メディアに近い仕事をするようにもなり正式にサービスラインに加えられました。同じく、メールマーケティング、データベースマーケティングも新しいサービスラインとして機能しています。しかし、あくまでもコアは戦略チーム、デザインチーム、eビジネスのチームが開発のディレクター集団として動いていくことであり、これらの中でのサービスラインを増やしてくことが初期の成長課題です。

また、最近は新規事業を立ち上げるべく投資フェーズに少し入っています。事業体になるべく動き始めているところです。インターネット関連にフォーカスして、コンサルティングやアドバイスだけでなく、サービスそのものを自社で提供してしまうのが目標です。新しい事業の立ち上げには自社内に蓄積したノウハウを転用しつつ、外部から事業の分かる人間も採用しています。人事評価ではコア部分がよくも悪くも固まっているために、バランスを見つつ進めています。

◆割当増資以降、社内で何が起こっていたのでしょう。二社の役割分担はどのようなものになるのでしょう。

増資を行った際に、ソランの方から約束して頂いたのは、変なコントロールはしない、経営は任せる、思うとおりにといったところです。人が資産の会社なので、外から手を入れると壊してしまう可能性はあるからそこに口出しをするようなことはせずに協力出来る部分で協力していく。なるべく早く上場して欲しいというのはあります。

私達はSIの会社でもないので、開発機能を中に持つつもりはありません。最終的には開発能力がいることは多いですが、内部で持つ選択はありません。そうすると、どこかと組まざるを得ないので、パートナーが必然必要になるのですが、資本関係のある開発会社でないとお金の取り合いのような形になってしまったりで上手く行かないだろうと考えていました。

開発の必要が出てきたら、開発の依頼を出す。ソラン側からはユーザーが悩んでいるという話があればコンサルティングの依頼が来るという形になっています。

◆割当増資は戦略的にも上手く行ったということでしょうか。

売上にはいまのところインパクトはそう出ている訳ではないですが、上手く行っています。今後期待しているのは顧客データベースの統合案件。インターネットの出現でチャネル管理がバラバラであることが事業の足かせになることがはっきりと分かってきて開発ニーズが高まっています。
 

◆企業のビジネス上、ウェブの重要性は高まっているという感じは受けますか。

もちろん、企業によって位置づけは変わってくるので「ウェブの位置づけは」という問いに対して紋切り型の回答はありません。ただ、メディアとしての存在感は高まっています。販売チャネルとしての成長は言うまでもなく、個々にリーチする媒体としての存在感、またマス広告としての機能さえ高まっています。ポータルのフロントはもはやマス媒体と言えます。

ユーザーの行動でもマスで告知を行ったあと、得た情報をネットで確認をしてから店なりに来るということが普通になっています。企業にとってサイトは、流入してくる人のコンバージョンを高めるツールと言えます。
 
 
◆ネットイヤーのポジションはどういったものでしょう。

機能がバラバラなのを揃えて統合的に提供するところがコア。SIPS企業のなかでも戦略、マーケに強いポジションになっています。SI会社と比べると行く部署が異なります。私達は情シスと仕事をするのは結果的に稀になっています。企画や広報部門とお仕事させていただくことが多いです。コンサルティング会社と比べるとブランディング、マーケティングに強いのが特徴です。

◆インターネットの会社というイメージがありますが、モバイルはどのように位置づけているでしょう。

必要であれば普通に取り入れるといった風になります。案件で効果が高いことが分かれば採用します。

◆会社としての先々目指したいところはありますか。

個人的なポリシー的なところもありますが規模的に大きくしたいと思っています。今のサイズを維持しつつ、高品質のアウトプットを維持するという道も確かにあります。しかし、ある程度の規模、シェアにならないと事業の効率性がでてきません。結果、相対優位が失われていってしまうという構図です。ですから、規模はこの分野では必須だと思っています。しかも、高品質なアウトプットをしていくバランスが重要です。

◆サイズとなると今の事業内容では壁もあるのではないでしょうか。

ここは事業ポートフォリオを組んでいくことになります。一つはSI型の伸び方。サービスをパッケージにしていく、横展開をしていく動きです。次は多角化で立ち上げを行っている新規事業が該当します。とはいえ、IPOを予定していることもあり、一時期に大きな投資をすることが出来ないため収益の維持と立ち上げのバランスをどう取るかが難しい舵取りになっています。

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一通りお話を伺ったあと、「他に伝えたいことはありますか」との問いに対して、特に無い旨の返答が返って来た。最後の最後になって、なるほどと腹に落ちたのがこの一言だった。石黒さんのパーソナリティの影響もあるのだろうが、周囲が思い描いている以上に普通に、きっちりと動いてきた会社だと言えるのだろう。数年後に予定しているIPOについては、資金調達は大して期待しておらずIPO出来たという実績と信用力を得たいとの言葉が返って来た。

現在までの足跡、環境認識、打ち手のどれを取っても説明を受けるとセオリー通りと言っても良いくらいの経緯でここまで来ている。途中から話があまりにフラットなために面食らってしまったくらいである。

タイトルにはハイプカーブという言葉を交えた。しかし、この言葉は技術や事業の実体ではなく、外部の思い込みと期待の変化により引き起こされる現象である。ハイプカーブの波に該当するテクノロジーでも現場はカーブほど波に洗われていないことは良くある。ネットイヤーの場合も粛々と物事は進められていたというのが、一通り伺っての結論となる。そうしょっちゅう表に出てくる企業ではないので、ウォッチするのも結構大変なのだが、IPOも含めてまたしばらく追ってみたい。

石黒さん、遅い時間にも関わらず快くご対応頂きありがとうございました。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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