Blog、SNSをきっかけに人と会う機会が増えている。人と知り合う機会はいろいろなところであるが、実感としてシェアが高まりと効率の良いチャネルに進化している感触がある。今日も一つ、「Curated Consumptionまたは、べき乗の法則」でやりとりのあった方々が意見交換会、平たく書くとオフ会を開催されるとのことでお邪魔してきた。CNETでコラムを書かれている森祐治さんも参加されており、ようやくの初顔合わせともなった。Blogやコラムでの雰囲気の通り、良い意味でアカデミズム色の濃い、きちっとした方である。
内容についてはそれぞれのBlogで随時更新されるだろうことから譲るとして、H-Yamaguchi.netの山口さんの取り上げたオンラインゲームの最近の動向が琴線に引っかかったのでテーマとして。
※ネタ元の文章「An Analysis of Virtual Currencies in Online Games (オンラインゲームの中の仮想通貨の分析)」はこちらになります。合わせて参照ください。
立ち上がる原始市場システム
オンラインゲームの中で社会が生まれつつあることはメディアでも記事になっており良く知られている。取引から犯罪から結婚から何から現実社会で起きていることはコピーされ、出来ないのは実際に中で生活するくらいという程の勢いである。人がいて財がありやり取りがあると、そこには市場も出来てゆく。現代の資本市場のような精巧な仕組みのものではもちろんないが、「市」のようなものは既に出来ている。
さて、このよちよち歩きの市場がどのようなものなのか、どういうメカニズムを内包しているのかがプレゼンのテーマであり、同時に昨今ゲーム会社から一部政府が気になって議論しているところとなる。
端的にまとめると、オンラインゲームの中の市場は、中世型の狩猟経済に近い。まず、金融機関がない。中央銀行もない。ギルド的に動いている金融集団や商業商人はいるだろうが、専門機関として社会インフラレベルで機能するものは組み込まれていない。マネーの発行体は、ゲーム会社であり、組み込んだプログラムそのものとなる。
貨幣を獲得するには、モンスターを撃退するなど、なんらかのゲームイベントをクリアすることが必要になる。モンスターの発生量が制限されていなければ、プレイヤーが頑張ってプレイする限り通貨の発行量は時間とともに増えて行き、アイテムの量も自由に買えるものは増えていく一方となる(厳密に考えると、途中でプレイをやめてしまったプレイヤーのアイテムと通貨はそのまま市場に出てこないタンス預金的なものになるのだが、ここは割愛する)。要するに中央銀行が無いこととイコールになるのだが、マネーサプライはコントロールされていない状態にある。
拡大モデル
以上はクローズなゲームの世界までの解析となるが、現実はここで止まらない。同じく良く知られていることだが、ゲームのアイテムはオークションで取引され、リアルマネーが飛び交っている。
私人間の取引は法に触れない限り、ありとあらゆるものがやり取りされる。ゲームアイテムが取引されることそのものは別に大した話ではない。ポイントになるのはオンラインゲームの世界が市場化されつつあることであり、独自の貨幣体系、価格体系を持っていることである。「つまりこれは、現実の通貨とゲームの財を交換している一種の貿易ということです」(山口氏)。
この貿易は、単一で見ると財の貿易でもあるが、異なった管理単位の通貨間でのやり取りとなるため大きく捉えると為替取引となる。調査した人がいるのかは知らないが、何らかのロジックに基づいて機能する為替レートに近いものが存在しているに違いない。
経済モデルとして捉えると、今のところ足りない機能は例えばeBayが橋渡しする形で補完している。現実社会で取引されるゲームの中の財はオークションその他の仕組みで価格設定される。現実の貨幣が真面目に管理されているため、延長上でゲームの中の財も間接的に適切なプライシングをされていく。補完するのは、上記で指摘した為替レートになる。単体でみると通貨としては機能が足りないが、ここまでをモデルとして捉えると、要素はだいたい揃っていることになる。
かくして、ゲームの世界はめでたく現実社会と繋がり、リアルな経済活動とリンクしていく。例えば、非常に効率よくゲーム内での希少財を獲得できるプレイヤーがいたとして、リアルマネーとの交換が保証されていればそれはもう職業になってしまう。そして、たかがゲーム、たかがネットではなくなっているのはゲーム内の経済活動に対しての課税を政府が検討し始めていることからもフォローされる。
その他。最近の研究では、広義の経済活動であるオンラインゲームへの投下時間と現実の自分の活動への時間投下の最適配分の効用関数をモデル化する試みが進められ、ゲームの中でのキャラクターへの侮辱や名誉毀損は現実社会での名誉毀損として法的処理されるべきかなども検討されている。冗談にも聞こえてしまうが、インターネットが実体経済への影響を与え始め、サイズを大きくしていくと共に存在感を増していった動きを再現しているようである。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。
新着コメント
以前日経エレにCellの開発秘話が連載されていたのを思い出しました。設計の現......
PS3のCellが、なぜ日本のスパコンにならないか理由を調べてみた
投稿者 : a.ohshima
どもsugibeyaです。 草木生さんがなせこんな当たり前の話し(≒人は空気吸って......
大企業は社内調整が忙しくて、顧客に構っている暇はない
投稿者 : sugibeya
なんかこう… コンピューターのベンチマークで世界一なんて、イマイチ冴えない......
スパコンよりもダイコン 夢に金をかける時代は終わったのか
投稿者 : なななお
何でもごっちゃにして、面白がってくれればそれでいい的な、既存マスメディア......
スパコンの話を五輪招致みたいにしちゃいけないと思う
投稿者 : 森のクマさん
こんなにブックマークが付いたのは初めてですな。 面白い現象だ。...
大企業は社内調整が忙しくて、顧客に構っている暇はない
投稿者 : 草木生(そうもくしょう)