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CNET Japan ブログ

Blog、インターネットで広告業界はどう変わるのか?

2004/08/13 20:41
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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情報産業というのは情報を取り扱う産業である。当たり前であるが、システムを納める産業という定義とは本来は微妙に異なる。情報はテキストデータだったり数値だったり、画像映像だったりすることもあるが、エンターテイメントなど消費目的やコミュニケーションを純粋に目標としたものではない、ビジネス文脈の情報は基本的に、行動か意思決定かどちらかを促す。社内システムだと戦略が生まれ、顧客対応が行われ、社外に向かうと取引が行われ、顧客の購買を促す。

4マスから5マスへと言われ、メディア間のパワーシフトがデータ的にも現れつつある中、インターネットは広告チャネルとしてどう位置づけられているのか現場評価が疑問になっていた。そんな折にたまたまビーコン・コミュニケーションズの渡辺英輝さんとやりとりする機会があったので、ヒアリングさせて頂くこととした。Blog界隈のことに詳しい方であれば「オフサイド取引の」という枕の方が響くだろうか。Blog、29man the radical dubberの「中の人」である。

以前からあったビーコンという会社への興味も手伝い、時間を頂いてお話を伺った。

まず、ビーコンという会社の位置づけから。一言で言うと広告代理店。社員数300人、2002年度の売上(取扱高)が366億円で国内外資系ではマッキャンエリクソンに続く第二位のポジションにつけている。代表事例として、アイフルのチワワ、コカコーラの「明日があるさ」のキャンペーン、ライフカードの広末CM、最近ではP&Gのハーバルエッセンスなど。ああ、あれが、というのが多いのではないだろうか。「ちょっと面白いもの、尖ったものをという要望を持ったクライアントからの仕事が多い」とのことである。電博のように媒体を押さえて、媒体流通を収益源としている会社ではない。クリエイティブ力、プランニング力でシンプルに勝負している。そう考えると、アセットを持たない企業という理解の方法もあるかもしれない。

渡辺さんは--と書くと私も渡辺なのでややこしいのだか--ニューメディアなどとも括られるインターネットを中心として仕事をされている。広告業界、クライアントと合わせて現場で感じている変化を肩肘張らず、最近どうでしょう?という感じで話して頂いた。
 
 
--ビーコンという名前を初めて聞いたのはBCGのコンサルタントの方からです。マーケティングコストの最適化というテーマで、メディアバイイングの前にプランニングを挟むと効率が上がることが多い、というテーマでプレイヤーの例としてビーコンの名前が挙がっていました。というところで、最近の動きからメディアの使い分けや広告全般の変化はどんな感じでしょう?

よく社内では「ホリスティック・マーケティング」という言い方をするのですが、今までは広告と販促が分かれていました。クライアントでも担当部署が広報とマーケティングがばらばらに仕事をしていたのが、最近はメッセージや与える印象を揃えたりと繋がるようになってきてます。全体通してのプランニングの重要さが言われるようになっています。これが出来るようになったのが媒体通しを繋げる触媒としてインターネットが伸びてきたのが一つ。今だと新聞でも何でもサイトURLを出して誘導するのが普通になってきていて、それぞれでプロモーションというのではなくなってきており、また、組み合わせをした方が効果が出やすいということも分かってきています。モバイルもそうなんですが、個別の活動のハブとして機能しているのがインターネットだと考えています。
 
 
--最近、ウェブログが日本でも普及し始めたりと色々ありますが、メディアとしてどう位置づけていますか。使い分けとかはあるものでしょうか?

Blogで言うと、Joiさんが「Shureのイヤフォンがいい」と書いたら世界中で反応があって売上が上がったという話がこの前ありましたが、媒体として「使う」というのではなく、ビーグル、社内では「エンドーサー」という表現を使っているのですが自然と広まっていくものだと思います。口コミが誘発されやすく、起きていることを捕捉もしやすいのが特徴です。例えば、ジャパネットたかたのナイキベッドの例。一瞬だけマス広告を打って、その後は話題が話題を呼ぶという展開になりました。上手く行くかどうか結構賭けもあったのではと思いますが、面白いです。あと、広告全般にマスのリーチよりもターゲティングを重視する傾向を感じていますが、インターネットはターゲティングを行いやすいモデルです。

使い分けを行うには、ターゲットが見えていればよりターゲットを絞って届けることの出来る雑誌やイベントなど、特定ターゲットではなく、津々浦々まで届ける必要のあるものはこれまで通り汎用的なマスメディアを使うという風に分けるようになってきています。

メディア間の比較としては、この前梅田さんが取り上げていたP&Gを事例としたエコノミストの記事は面白かったです。
 
 
--少し前のエントリで、Curated Consumptionというモデルを紹介したのですが、こういう「あなたも私もぷちマーサ・スチュアート」という風な流れは感じていますか?

流れとしては分かります。ちょっとした有名人というのが出やすくなっていて、且つ補足しやすい。そういう影響力のある人を上手く巻き込むようなことが出来て行ければとあれこれトライしています。ただ、口コミというけれども、起きるかどうかは分からないしそれだけに全幅の信頼を置くのはリスクが高い。普通に媒体も使ってプロモーションを行いつつもウェブを絡めて行く方法がメインになると思います。
 
 
--効果測定とか現場ではどういう風にやっているものでしょう?

基本的に全ての広告はROIを要求されてきます。ウェブも例外ではありません。伝統的なメディアは効果測定の方法論も確立しているので、どの程度の効果があったかは決まったメジャメント方法に乗ることになりますが、ウェブだと前例がなかったりするので、類似キャンペーンとの相対比較を行ったり前年比で比べたり、何もやってなかった場合と比べたりと方法から作っている状態です。ただ、何を指標とするのかはやはり難しくて、例えば応募型のキャンペーンでも応募数が一つ基準になりますが、最終的な目的である購買までを考えるとどこで測るかは考えてしまいます。
 
 
--広告の狙いとして具体的な購買ではなく、ブランドの確立という目的もありますが、ここは効果測定対象となっていますか。

厳密にはECをやらない限りは購買への効果測定は出来ないので、その前段階としてブランドイメージが向上した、つまり購買の率が上がっただろうというところは見ます。複数媒体を使えば使うほど、効果測定は難しくなります。測るにはやはりプロモーション後にアンケートを取ったりすることになります。
 
 
--ずばりで認知を得るのとイメージを高めるとはどっちが難しいと感じていますか。

イメージを高める方です。認知を得るのは、広告費用をかけて、目立つことをやればある程度得られます。しかし、認知が高まっても悪評だったら意味が無いわけで、ブランドイメージを高める方が大変です。多くの情報量を伝え、コミュニケーションをしてとなるとウェブが得意なところなので、ブランド向上のツールとしてウェブは使われていくのかもしれません。先駆者といえるのかは分かりませんが、ナイキはテレビでの広告を打たなくなりました。その代わり、ウェブには大量の予算を投じています。
 
 
--最後はブランド管理をどうすべきかというところに戻ってしまいますね。

そうなります。
 
 
--リーチの単価で言うとまだまだテレビの方が効率がいいという話を時々聞きますけど、どんなもんでしょう?

クリエイティブにも依存するので、必ずしもテレビがいいかと言われるとそうでもない面もあります。やっぱり外してしまうとROIはそう良くないです。何をどう伝えるかというところは大事です。
 
 
--ということで、ビーコンに仕事が行く、と(笑)

そういうこともあるかもしれません(笑)
 
 
--個別の話になりますが、iTuneのサイトは媒体と化してきていますが、どう考えていますか?例えば、宇多田ヒカルがサンプルを流してチャートの四位につけたというような話もありました。

さっきの口コミの話もそうですけれども、iTuneだけというのではなく、組み合わせにやはりなると思います。宇多田ヒカルのケースで言うと、広告打つよりも先に出しているので、位置づけとするとテストマーケティングでしょうか。テストの一手法が加わったというくらいでいいのではないでしょうか。

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現場の意見というのは大抵何かが面白い。必ずしも高尚な理論ではないかもしれないが、起きつつある何かを知るには身を浸している人の声を拾うのが何よりも良い。一つ本質的な事例を見つけられれば、その他の動きは骨から捉えることも出来る。

また、このBlogは単なる個人的な情報発信の場ではなく、産業界というよりはビジネスの現場の声が集まる場に育てて行きたい。こうして現場の方の話を伺い、紹介していく活動は今後も続けて行きたい。

話の途中で、インターネットに望むものは?と問いかけると、道具として捉えているので技術的にどうというのはあまり考えたことが無い、強いて言えばもっと簡単になってテレビくらい使いやすくなって欲しい、という返答が返ってきたのが印象的だった。簡単、直感的に使えるというのはウェブアプリを中心に追求されているテーマである。ツールがコモデティ化し、複雑性を背後に隠し始めてサービス化を果たした時の姿、ハイテク業界の未来の姿はもしかすると広告業界に見つけられるのかもしれない。エスター・ダイソンが見ている未来像、そして、ベンダーサイドに問いかけてみたい設題でもある。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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