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ビット化の進む音楽業界:プラットホーム化するiPod

2004/08/05 23:29
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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iPod、iTuneがトリガーとなり、音楽の流通消費のデジタル化、ビット化が着実に進んでいる。そろそろキャズムを越えてメインストリームに入りつつあるのでは、というコンセンサスが出来つつあると同時に、音楽の利用形態が今後どのように変わっていくのか盛んに議論が交わされている。中でもまとまりのよいplasticbag.orgの「The New Musical Functionality: Portability and access」より。

変化のポイントとして四つ指摘されている。

(1) portability and access, (2) navigation, (3) self-presentation/social uses and (4) data use and privacy.

このうち、本エントリがフォーカスしているのが(1)のポータビリティとアクセスについて。他のテーマはテーマ連載として随時取り上げていく予定になっているとのことである。

iPodとこれまでのCDプレイヤーの違い

the core difference between an iPod and a CD Walkman isn't audio quality.

this is the first significant change of popular audio format that actually made the sound quality worse (vinyl fans have been criticising the CD for that for years), but it does at least seem to be one of the first where claims of improved sound haven't been a major selling point.

プレイヤーの進化は携帯性と音質の二点が勝負だった。iPodは音質よりも携帯性(更に書くとユーザービリティになるのだが)に強くフォーカスしている。CMでもまったくアピールしていない。MDを除くと積極的に音質を落としたプレイヤーが高速で普及したのは面白い。

The reason that people are buying iPods is because they want 10,000 songs in their pockets. They want access to music wherever they are in the world. More still - they want access to all their music everywhere. Every last bit. Every last place.

iPodは事実上持てるだけの曲全てを好きなように持ち歩けることを可能にしている。この点、企業間の規格競争やデザイン性といった良く耳にする話に細かく分け入ってしまうと見過ごされてしまいがちであるが、ポイントは高い。テープでもCDでも、録音媒体と複数持ち歩き、聞きたいものに毎度毎度入れ替える作業の必要がなくなり、音楽へのアクセシビリティは高まったのがiPod以降の本質と言える。CD/MDプレイヤーで中心になっていた、小型化、長時間再生、音質、デザインとは異なる新しい競争軸を加えたことになる。

ここまでは割と普通に語られている、これまでのサマリとなる。では、次にどこに行くのか。

容量の拡大

The first two options for future product directions around this stuff are (1) larger capacities and (2) smaller form factors. We have already seen movements in both of these directions (iPod Mini / 60Gb iPod coming).

著者は事例としてPC産業を挙げているが、日本人ならウォークマンなどの携帯音楽プレイヤーから携帯電話まで多数を思い浮かべることだろう。基本的にこの方向性は何度も繰り返されてきているので異論はない。

では、大容量化がこれからしばらく進むとして、どの程度までが売りとして通用するのだろうか。

10,000 songs is about a month of solid listening. 100,000 songs would be getting on for a year. 1,000,000 songs a lifetime. Somewhere between a month and lifetime, the marginal utility of another song being on your iPod reaches zero (even assuming that physics lets you get to that size in the first place).

今のiPodは一万曲入り、一ヶ月丸々聞ける換算になる。十万曲で一年ほど。百万曲になったとすると(これは集積の向上速度からすると早々無い数字となる)、丸々十年。事実上一生分とも言える。つまり、容量が三桁ギガ中盤を越えた辺りから「これ以上増えても意味が無い」というポイントが出てくる。一部は録音品質の向上に費やされることが予想されるが、使い方が変わらない限り、容量の競争は性能向上の速度から逆算した期間のみ競争のポイントとなる。

小型化

Here again there are limits to utility. There would seem to be a size under which a device ceases to be practical - that size being directly related to the size of interface elements, screens and buttons, which in turn relate directly to the size of fingers and thumbs and the limits of human vision.

小型化の限界は簡単である。人間が手で持って指で操作する限り、消しゴムや米粒のような大きさにする訳には行かない。タバコや携帯電話あたりの大きさ以下には、インターフェースで劇的な革命がおきない限り人間工学的制約から小さくならない。

というところから、上記二点の進化は早晩頭打つ。打った次に行くのは、もしくは同時的に行くのは機能競争である。

as the phones became almost unmanageably small, people's attention moved instead to enhancing functionality and adding in cameras, PDAs, web-browsers, comms equipment, bluetooth and the like. This had the effect of keeping the form factors at manageable sizes while still allowing competition and product development to occur.

機能競争は携帯電話をイメージすると分かりやすい。というより、これ以上一言も説明する必要がない。米デューク大で新入生にiPodが配られたという話は音楽端末としてではなく、情報端末としてである。

Much of this hybridisation results in useful connections and possible new products emerging from music devices that are permanently network-enabled.

教室およびキャンパス内コミュニティーの両方でさらに広く情報を活用できるようにすることも、目標の1つだと話している。大学側では、教師や学生からiPodを活用した独創的なアイディアが出てくるのを楽しみにしているという。

この領域はトライアル&エラーから面白い物が出てくることになるだろう。

しかし、ここまで来るとiPodは音楽端末ではない。もう少し定義を広く考えた方が良い。対岸のソニーが練りに練って発表したVAIO pocketはルーツがVAIOでありWinXPが動いていることから一皮めくるとコンピューターそのままであるが、iPodは携帯的である。iモードやFelicaと進化過程は似て、プラットホーム戦略が似合う。突き詰めると、この辺の話は単なるiPod論ではなく、端末からみたアーキテクチャー論である。

また、どこかのインタビューでアップル日本法人の方が「MacのアクセサリーがiPodなのではなくむしろ逆」という趣旨の発言をされていた。顧客接点の作り方が勝負どころになっている領域は多いが、最もユーザーに近いポジションを得た機器として理解するのがより本質に近い捉え方になるのだろう。ぶつかるのは同業の携帯プレイヤーもそうだが、むしろ携帯やPDAといえる。

書き残した分については、シリーズテーマ化してまた後日改めて。

なお、来週からしばらくは不定期更新となります。過去エントリの整理やまとめなど普段はやりにくい作業を行いつつ、気楽にエントリを行います。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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