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コモデティ化するソフトウェア(2):コモデティ化の基本理論Ross版

2004/07/20 23:32
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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「Really good post」。昨日紹介したSun MicrosystemsのCOO、Jonathan SchwartzがRoss Mayfieldのエントリ「Tech Commodities 101」に対してつけた評価である。読んでみたが素晴らしく良い。取り扱い範囲の広い論考なため、全部を完璧に理解出来ているのか怪しいところもあるが、出来る限りでご紹介したい。

Rossがこの分野での発言に価値があるのには訳がある。

I know a little too much about commoditization from a former life, co-founding a commodity exchange for bandwidth and leading a risk management software company for a time.

While building an exchange, we had to work with energy and other commodity traders to understand their fundamentals and apply them to markets otherwise driven by innovation.

彼はコモデティの取引を支援する会社を過去設立している。コモデティの取引がどのようになされるのかの知見を十分に吸い取った人である。
 
 
コモデティ市場の定義 
 
まず、コモデティ市場の定義について。

・There is a common definition of the good and standardized contract. This includes its quality or service level and keep in mind there are over 100 gradients of West Texas Intermediate Crude, the most liquid oil contract.
モノの定義(規格と言い換えてもいいだろう)があり、標準化された契約が存在する。サービス品質もまた定義付けられている。

・There is enough liquidity, or volume of trading in the market
 十分な流動性が確保されている。

・There is no concentration in supply
 供給が集中的でない(=独占/寡占市場ではない)。

・There is no concentration in demand
 需要もまた集中的でない。

・Pricing is volitile and indexed
 価格は変動的であり、指数化されている。

インターネットは情報の流動性を高めるためにコモデティ化を促進させ、価格の下落圧力を生む。価格の方向性とイノベーションの関連についてはこう触れられている。

A market where prices have a rising trend is in contango, when prices trend to zero the market is in backwardation. Innovation creates new products and bundles that are initially in contango, but backwardation raises its ugly head at increasing speed with competition.

議論的には、イノベーションの素材としてコモデティ化を位置づける意見と同値か。
 
 
症状の進行とリスクへの対処
 
コモデティ化の結果としてもう一つ。

when commoditization occurs the market grows in volume. Inflection points usually happen when there is a market failure that identifies new risks. When new risks are factored into models, the new risk management practice enables greater liquidity.

発生後は取引ボリュームが増え、市場の失敗によるリスクが顕在化する。新種のリスクは適切にコントロールされると多量の取引を可能とする。上記に挙げられているRossの前の会社はこの辺りの見立てに基づいて設立されたものなのだろう(そう考えると、初志貫徹な性格である)。

コントロール対象のリスクは四分類されている。
・Market risk -- price volatility
 市場リスク。価格のボラティリティ。

・Technology risk -- obsolescence
 技術のリスク。陳腐化。

・Operational risk -- execution
 オペレーショナルリスク。

・Credit risk -- counterparties and exposure
 信用リスク。

金融の世界で語られるリスクにTechnology riskが加えられている。エネルギーでは存在しないかもしれないが(厳密に言うと存在するはずだろうが詳しくないので割愛)、通信あたりからは出てくる要件だろう。

コモデティ市場から収益を得る指針として、
・Volume, through realizing economies of scale and speed
 規模の経済の獲得と、速度での差別化

・Trading, through arbitrage
 トレーディング、裁定。

・Bundling, through realizing economies of scope and span with an adaptive infrastructure
 スコープの経済の経済からバンドルを利用しての経済性の獲得。インフラの最適化が指摘されているのが面白い。適用事例を探すとYahooとGoogleが挙げられる。

・Risk Management, through offering your customers bundles that shield them from volatility. Above all, this is managing complexity
 リスク管理。ボラティリティを前提にしての安定化。エンロンもそもそものコアサービスはここにあった。エンロンについては不正取引をせず普通に成長していたら今どうなっているのだろうか、と時々考える。

エントリの後半でソフト産業への当てはめがあるのだが、改めて。

--
コモデティ化への対処で面白い指摘がされている。バリューチェーン内の移動を図るのがセオリーとされているが、先にすることがあると。

Instead, the first step is to address risks and inefficiencies -- to innovate in marketing, not as in spin, but value chain orchestration and commercial configuration. Embrace commoditization, since it is inevitable.

マーケティングのやり方を変える、コンフィギュレーションの能力を高めるなどコモデティ化を上手く利用するような道があるのだと。Dellが事例となる。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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