今後の情報環境の進化を見定めるに当たって、モバイル端末の検討は避けて通れない。メインフレームが世界の中心だった時代から、PCが覇権を握る世界となっているが、更に一歩進んで携帯が下から侵食しているのが現状だろう。昨日TrackBackを頂いたお隣の江島さんのエントリで
Appleが次期OS Tigerの新機能Dashboardとしてパクったとされる騒動で一躍知られるようになったKonfabulatorのような、参照中心のロジックレスお手軽GUI開発が次のフロンティアではないかと考えている。
とフロント側のイノベーション余地を意識したコメントがあったが、ソフト面に限らず、ハード面でもイノベーションの余地はあり、その中心は当面携帯になることだろう。ディスプレイサイズやキーボードなどPC中心の評価軸で考えると不十分と言える面もあるが、持ち運びのしやすさと扱いの手軽さは他の追随を許さない。ユーザビリティの高い状態でユーザーフロントを押さえきることの利点はGoogleが証明済みである。ちょっとした作業を行うに携帯の持つアドバンテージは大きい。
注意して見ている切り口は、端末進化ももちろんだが、PCを中心としたIPネットワークと今後どのように繋がっていくかである。
端末シームレスに向かうコンテンツ
コンテンツ面でいうと先日「携帯端末のオープン化を仕掛けるOperaのビジョン」にて取り上げたブラウザの共通化。京ポンのユーザーの使用感なども聞きつつ考えを整理しているが、テキスト情報の参照だと、PCのリーチ出来ない使用場面でも使えるため(ex電車の待ち時間)やはり強い。主要端末に標準搭載となったときにどのような変化が起きるのかちょっとした見ものである。
OperaブラウザはPCコンテンツを参照出来るとはいえ、ディスプレイサイズの制約が残るため、フル活用するにはある程度コンテンツそのものも端末意識をした上で作られる必要がある。とはいえ、PC向けサイトに加えての制作は重複投資にもなりうる。この点は端末数が増えて市場サイズが大きくなれば誰かが参入するだろうと見ているとIBMとNECがアプローチし始めている。
IBMの方は
WEMPは、音声やデータ情報などのコンテンツを、PDAや携帯電話などのモバイル端末にあわせた形式で配信できるというもの。例えば、3種類のモバイル端末が存在する場合、これまではそれぞれの画面表示に適した形式でコンテンツを開発する必要があったが、WEMPを使えば1種類のコンテンツ開発のみで3種類の端末に対応することができるため、開発コストが約3分の1になるという。
端末の多様性を吸収するもの。類似のソフトは前例があるもののWebSphereブランドの一角として標準的に展開されていくとなると、世への影響力は大きい。NECのプロダクトは画像フォーマット変換にフォーカスしているが、狙いは単一のコンテンツを多様な端末に対応させるもの。どちらも範囲は異なるが、達成しようとしている心の部分は同じである。そのうち、完全シームレスをめざして周辺領域も取り込んでいくに違いない。
タイムスパンははっきりしないが、大きな方向性としては見えてきている。
リアル世界とネット広告の連動
さて、前段はこれまでとして、取り上げたかったGoodpicの「お財布ケータイの行動連鎖マーケティングで利益還元」を。ここ一年で携帯はこれまでにない、PCともPDAとも違う進化を遂げているなと思える場面が何度かあったが、その一つが決済プラットホーム回りといえる。Felicaについては以前のBlogから何度も取り上げているが、今回は決済に絡めてクーポンの形で広告配信を行おうという試みとなる。クーポンの電子的な配布は例えばスーパーで買い物をした時にレシートに印刷されていたりで見かけたことのある方も多いことだろう。今回の目新しさは、
携帯Felicaで支払いを済ませたユーザーに、次にお金を使いそうなサービスのクーポン広告を配信することで、ユーザーの行動を連鎖的に導いていく。と言うと、自分がリモコンでコントロールされているようで、ちょっと恐ろしいような気もしますが、効果的であることは間違いなさそう。
とあるように
・利用タイミングに非常に近く
・地理的、空間的にも近接した
条件から、まさに消費のストーリーを描けることになる。属性や趣味趣向などどちらかと言うと脳的な繋がりのPC広告と違い、移動を伴うので身体的である。立て看板やビル広告にむしろ近い。建物内で、ナビゲーション情報以外はあまり出さずにデザインを大事にしたい場合、ピンポイントでの利用者での情報伝達が出来るとなると、空間のありようにも影響が出る。利用法は広く考えられる。また、
基本的には一回のユーザー行動に対して、一つの広告配信を行うというトランザクション形式なので、ユーザーデータベースは持たなくてもいいのかも。個別のユーザーIDを発行して、行動をすべて記録したりすると、大変な量のプライバシーデータをサービス提供者が抱え込んでしまうわけで、昨今の顧客情報流出騒ぎや、システムの運用コストを考えると、「プライバシーに関する情報は一切記録しません」と宣言したほうがメリットも大きいのではないでしょうか?
利用場面が強いコンテクストとなるために、ユーザー情報を持たずともピンポイントでの情報配信が行えるメリットもある。パーソナライズを強く志向しているウェブ広告には実現しにくいところでもある。
そんなこんなで、小さく軽いモバイルの世界は大きな可能性へと繋がりつつある。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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