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大型M&Aから読むエンタープライズ市場の変化(2)

2004/07/13 04:38
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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前回に引き続いてCNETの記事SAP-Microsoft talks underscore harsh market realityを題材に。

SAPとマイクロソフトの交渉はこれまでを前段として、更に前回触れなかったERP市場で数年来の試みを合わせると読めてくる。
 
 
成長限界の超え方
 
大企業向けだけでは成長限界があるとの認識は数年前から既に行われている。SAPに限らず、中堅企業向けのパッケージやサービスラインを整え、積極的な販売を行っている。しかし、全プレイヤーが同じような試みに出ていることと、これまでのやり方と根本からアプローチの異なる部分があることから、それなりには上手く行っているものの莫大な成功を収めているという状況ではない。

全国津々浦々、中小にまで渡る確実なリーチを得ているソフト企業というとマイクロソフトの右に出るところはないだろう。

The proposed merger would have given SAP reach into the relatively untapped small- and midsize-business market, which all enterprise software makers covet. The theory is that unlike large enterprises, smaller companies haven't yet decided on their primary business applications.

SAPにとっては同質的競争を避け、新市場にさっさと打って出るためのチャネルとなる。

マイクロソフトにとってのメリットはあるのか。

For Microsoft, the merger discussion with SAP was driven by the company's long-standing desire to jump-start its own enterprise applications business and offset slowing growth in its traditional strongholds of operating systems and desktop software.

まず、彼ら自身が成長性の壁に当たっているのは例えば梅田さんのこちらのエントリにも現れている。ついでに、株価もここしばらく行ったり来たりでぱっとしない。また、成長性を求めて汎用アプリであるOfficeから業務アプリの世界に進出を企てているが今ひとつ進展がはかばかしくない。巨大なユーザーベースを持つ企業と手を組むことは一つの選択肢となるが、お互いにカニバリゼーションを起こしにくいSAPはいいパートナーとなる。

"Obviously, SAP does not have much experience in the low end of the market with high-volume, low-cost sales--that's what Microsoft is very good at."

”上手く進めば”OracleとPeopleSoftよりもいい組み合わせと言える。
 
 
希少資源を求めて
 
さて、ここで改めて究極何を争っているのかと問いかけてみると、

Documents introduced as evidence in the Oracle trial also show that Microsoft saw a deal with SAP as a way to hedge against any further incursion into its database business, should Oracle succeed in its pursuit of PeopleSoft. The company also sought to acquire SAP before rival IBM could make its own bid, the documents showed.

データベースへのアクセス権と捉えるのが綺麗である。資料を読み始めたころはストレートに「顧客基盤か?」と考えていたが、こちらの説明の方が情報産業の力学にも嵌まってしっくりとくる。データベース市場というよりは、数字的にはほぼ等しくなるが、稼動データベースシェアとでも言うのだろうか。

マイクロソフトとSAPの組み合わせはOS+Officeに業務アプリとDBを組み合わせることで、競争軸を変えてしまう試みとも読み解ける。
 
 
Beyond Enterprise Market
 
最後にBeyondVCに戻って。

ここまでくると考えざるを得ないのが中小市場で基盤を築きつつあるSalesforce.comと同種の新興企業群である。今のところ、ERPも含めたハイエンドの市場とはぶつかっていないが、上からの動きと下からの動きを重ねあわせるだけでもそのうち起こる未来であることは予想するまでもないところである。少々の技術的障害があろうと、両者が成長を求める限り必ずどこかで同じ顧客を争うことになる。

In our mind it just requires a rethinking of what business models will work and why. Think seed and harvest - lower price points, more volume, lots of upsell over time. Think of software models with leverage - hosted software and modular software which can be resold, OEMed, and/or appliancized (if that is a word).

市場のハイエンドの動きを延命と捉えるのであれば、本質はビジネスモデルの変更に求められる。さっさと転進の可能性を探っているSAPの方が道は険しそうだが賢いのかもしれない。エントリーポイントが低く、数が捌け、アップセルの余地がある。前二要素まではマイクロソフトが保有している資産である。アップセルを足せるかがどうかが当面の挑戦課題になる。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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