最終更新時刻:2008年7月24日(木) 23時08分

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BlogとSECIモデル再び

公開日時:
2004/06/21 12:26
著者:
渡辺聡

河村さんのインタビュー追記を頂いた
Ross Mayfieldが面白い指摘をしていたので、そちらを取り上げようかとも考えたが、まずは話題をきっちり閉じる方を優先として話の続きを。

補足していただいたのはコミュニティの形成過程について。先のエントリ

ウェブの世界の捉え方として、個人が情報を発信し、繋がり、一緒に何かを作り上げ、作り上げたものが公開されるというサイクルでコミュニケーションやサービスを捉えているだという話が印象的に残っている。

の部分に該当する。

このモデルがコミュニティとかコミュニケーションを考えるときの僕の基本型になっている。出会い(参入)の機会→対話・コミュニケーション→コラボレーション(共創)→公開・表現→それがきっかけになって新たな出会い、参入...この繰り返し。ブログというツールはこのサイクルの重要な部分を司っていて、今、巷で大流行?のソーシャルネットワーキングもまさにこのサイクルを回すための一つの道具。

というのは随分前に野中郁次郎教授のSECIモデルをベースにしてBlogの役割について整理していた話に丁度重なる。デジャブのような感覚を受けながらやり取りをしていた。

前のBlogからになるが、引きつつ再度考えてみたい。モデルを再度引くと

まず、個人の暗黙知から組織の暗黙知に変換する過程があります。これを、共同化(socialization)と呼びます。これは身体五感を駆使して、直接経験を通じて、暗黙知を共有し創出するプロセスです。次に、それをきちっと言語化していきます。これは暗黙知から形式知に変換するわけでありますけれども、これを表出化(externalization)と言います。これは対話とか思索によって、概念、言語、デザインなどを創造する、こういう世界であるわけで、主なプロセスとしまして、対話ということが課題になります。

最後に、形式知から暗黙知への変換。形式知を行動実践のレベルで伝達、新たな暗黙知として学習していくというプロセスとして、内面化(internalization)があります。共有化、表出化、連結化、そして最後に内面化という、形式知を行動実践のレベルで伝達、新たな暗黙知として学習していくプロセスがナレッジ・マネジメントの全過程です。この頭文字、Socialization、Externalization、Combination、Internalizationをとりまして、SECIモデルと言っております。

となる。

当時(というほど実は昔ではないが)のコメントでは

さて、このモデルを援用するとBlogがどのように見えてくるのか。
まず、スタートラインは個々人がエントリするところから始まる。何かニュースなり出来事なり自分から伝えたいことなど何がしかのトリガーがあって一つのエントリは生まれる。「共同化」にある暗黙知の獲得もチラッと感じられるが、形式化のプロセスになるだろう。5の暗黙知の表出、5の翻訳と形式知化が行われている。

書かれたエントリは仲間のBloggerを中心に互いに情報交換される。7の獲得と統合、8の伝達が行われ、コメントとトラックバックによりまず小さく9の編集が行われることで「連結化」の過程を経る。しかし、「連結化」とはまんまである。

ここまではBloggerなら体感出来ていることだろう。あと、ある程度の期間書いていると

「内面化」のプロセスについてはBlogには組み込まれていない。元々組織論のモデルなので、ツールとしてのBlogのカバー出来る領域ではない。ただ、ある程度長い自分にとっての行動記録として見ると意外と効果がある気がする。体験、体化のステップを検証出来るひとりコーチングのような役割は果たせる。

実は書き残していくことで、メリットがあるのは自分である。書く時点で頭の整理が行え、あとから振り返ると微妙な考え方の変化や昔考えていたアイデアなどと今のを比較チェックするなど外部記憶として機能してくれる。

「共同化」の枠が弱いと考えているが、例えばSNSが解決しているかと問われると解決していない。じっくりゆっくりの対話は出来るが、結局、シンプルにメーリングリストか会って話す方が圧倒的に早い(メッセンジャーは情報量の関係からさほど使っていない。ちょっとした確認にはショートメッセージと合わせて良く使うが)。Blogは当面、意思決定ツールではないというのが実感値である。

ビジネスの現場は決め事と実行が大事になるので、この「決め事」の部分にアプローチ出来るかどうかが一つポイントだろう。なんらかいい提案が出来れば面白い展開が望める。中央集権型のナレッジマネジメントの仕組みで上手く回らない部分が分散型でカバーされるのであれば、再び野中教授は忙しくなるのかもしれない。

--
余談だが、野中教授は英文のクラスで詩を詠んだりと面白い。読解資料に哲学書(しかも英文)が出てきて生徒は揃って泣いていたそうだ。ちなみに、ICSの学生からは「野中先生、なんでもSECIモデルで説明してしまう。ずるい。」との鋭く指摘されている偉大な教授である。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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